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50 VS 5+1?

「何だレン。お前は亡者の門を知らんのか。」


「すいません、田舎ばかりを回っていて、こっちに来たのは初めて何でして。」


「仕方ない。クリストフ、こいつに教えてやれ。」


「はい、お嬢様。

 レン、亡者の門というのは・・・。」


 俺が不安そうな顔をしていると、お嬢様が俺の正面に座る執事のクリストフさんに教える様に言ってくれた。


 簡単に言うと亡者の門というのは、別にアンデッドモンスターの巣窟とか、冥界と繋がっているワームホールとかではなく、もっと単純に道が蛇行し崖が張り出した森の中で、襲撃のベストポジションとなっている場所の事らしい。何でそんなに物騒な名前かというと、あまりにも襲撃に適した場所で、何百年も前からそこで無数に襲撃が行われ、誰もその亡骸を弔う事すら諦める程にあまりにも多くの亡骸が埋もれているからだと言う。

 普通、特に貴族はここを迂回するのだが、お嬢様にはここを通ってでもどうしても、どうしても王都に着かなければいけない用事があるらしい。


「ああ、なるほど。いますね。50人、いえ49人かな。」


「ふむ、やはりいるか。クリストフ、馬車を止めよ。」


 馬車が止まると、すぐにバルナバスさんが近づいてくる。俺は敵の位置をバルナバスさんに説明する。


「向こうの森の中に7人と5人。

 それからあちらの崖の上に5人と3人、反対の崖の上にも6人と3人。

 奥の右手に4人と3人、左手に8人、さらに奥に5人いますね。」


「なるほど、手前にいる者達は一旦我らを通し、奥の15人が足を止める。

 そこで崖の上から矢を射かけ、手前の12人が後ろから挟撃。

 という事は・・・。」




 バルナバスさんの立てた作戦は各個撃破(かっこげきは)。馬車はクリストフさんとメイド、御者達に任せ、あの街で最後の射手を倒した足の速い騎士フリッツさんが左手から回り込み、お嬢様達も含めた残りの全員で右手側から回り込む。森に伏せた襲撃者と崖の上の射手を倒しながらに奥へと進み、最後に奥の襲撃者をフリッツさんと合流して倒す。

 そして作戦は始まった。




「な、何だお前達は。」


 森の中にいた襲撃者は、後ろから近づいてきたバルナバスさん達に驚愕し、動きが止まったところをほとんど反撃も出来ずに斬り倒されていった。


 余裕っすね。俺がそう思っていると、バルナバスさんにどやされた。


「レン、次だ。早く指示しろ。」


「あっ、はい。

 あの、あそこの崖の中腹に張り出した岩陰に6人です。」


「よし、アルノー、エルネスタ、裏から崖を上るぞ。

 レンとギードはここでお嬢様達の護衛だ。」


 そう言うとバルナバスさん達が崖を登っていく。ちなみにギードさんっていうのは、中年の騎士でなんというか一番特徴のない人だ。この人は…、って考えている内にバルナバスさん達が帰ってくる。


 ピーーーッ。ピーーーッ。


 甲高い笛の音が二度周囲一帯に響き渡る。崖上の次の3人にさすがに気付かれたか。


「レン、森の奥の者達に動きはあるか。」


「はい。前へと出てきました。」


「ならば…、お前達は崖の下で待っていよ。

 うぉおおおおおっ。」


 それだけ言うと、バルナバスさんが次の崖に向けて駆け出す。て、テンション高いなぁ~。熱い男って感じだぜ。すると今度は、ギードさんが鏡を出し背後の馬車へと合図を送る。

 これは馬車に残ったメンバーと別れる時に決めていた事だった。もし予定通りに進まなかった場合、馬車が前進し注目を集める。これによってクリストフさん達は危険に(さら)されるが、お嬢様を守る為に全員覚悟している事だった。


「では、お嬢様。行きましょう。」


「うむ。」


 ギードさんの号令で皆が早足で進むと、崖の上で3人の射手を倒したバルナバスさんが下りてきて言った。


「よし、それではフリッツと合流するぞ。」




 俺達が街道近くに戻った時、これまでの伏兵の様な装備がバラバラの者ではなく、装備の整った騎士と思われる集団が馬車を取り囲んでいた。馬車の扉が壊れ、車輪は脱輪し、その周囲には御者達が傷つき倒れている。


「馬車にはジークリンデはいないぞ。

 早くコイツを倒して探すんだ。恐らく右手の森の中だ。」


「だが、コイツは瞬足のフリッツだぞ。」


「はっ、速い。速すぎる。化け物か。」


 なんかそこではフリッツさんが無双していた。なんすか、その瞬足って。しかしさすがのフリッツさんも、包囲されていると止めを刺す前に後ろから切りつけられるので、決め切れずに背後の対応をしたりで膠着していた。それにしても、一人で俺達より早く(俺達の進行方向から見て)右手の敵を殲滅して、街道まで辿り着いたのか。すげーな。


「おい、フリッツ。動くな。

 動けばコイツの命は無いぞ。」


「きゃっ、きゃぁあっ。」


 馬車から敵騎士が年少メイドのコジマちゃんの腕を掴み、その首に短剣の刃を当てて出てくる。


「好きにしろ。」


 それでもフリッツさんは止まらなかった。


「な、きちゃま、婦女子を見捨てるとは、騎士の風上にも置けないやつめ。」


 敵騎士は動揺したのか、声が裏返って噛んでいる。しかもハゲのおっさんが噛んでもどこにも需要は無いぞ。人質取ってるヤツが騎士の風上とか言うし。フリッツさんはもはや言葉を返す事なく戦い続ける。

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