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魔槍ゲープハルトとフリートヘルム王子

「商会ってのはダーミッシュ商会か。」


「そうだぜ。

 俺達はほとんどダーミッシュ商会に持ち込んでいたからな。」


 明日会うダーミッシュ商会は、少なくともソレの正体を知っていたのだろう。ひょっとしたら今回のアントナイトの買取も、商会の興味はそっちにあるのかもしれない。う~ん、やっぱり商会に会う前にもうちょっと調べて置きたいな。

 トビアスのおっさんが知っているのはこれで限界っぽいから、他を当たるか。


「ありがとよ。

 じゃあ、邪魔したな。」


「おい、待てよ。」


 ん、俺がアレを持っている事に気付いたか。しつこく聞き過ぎたか。


「ここまで話したんだ。屋台を家に運ぶのを手伝いやがれ。」


 俺達は前と同じ様にトビアスの手伝いをやらされた。まあ、情報の価値からいえば安い物だが。まだ日は暮れてないし、もう一度エゴンさんの店に行って聞いてみるか。

 だがエゴンさんは金細工師の顔役とは言っても、俺と商会だったら商会を取るだろうからな。かと言って、他に鉱石に詳しそうな知人はいないし。俺が歩きながら悩んでいると、不意に横を歩くヴァルブルガが小声で話し掛けて来た。


「なあ、ご主人様。

 ご主人様は今朝、仕分けした綺麗な方の鉱石について調べたいのか。」


「まあ、そうだな。

 何か知っているのか。」


「いや、自信を持って言える訳ではないのだが。

 というか、こんな事を言って笑われるかもしれないが。」


「う~ん、一応言ってみ。」


「あれ、ミスリル銀じゃないか。」


 (ホワッツ)


「『(シャインニング)ける太陽(ソーラー)(ウィング)』の物語でフリートヘルム王子が持っていた槍ゲープハルトの穂先が、ミスリル銀で青く輝く銀色だったハズなのだ。」


 マジか。指輪がキーアイテムの小説では、鉄より硬くて軽くて金の10倍の価値があるっていうメジャーなファンタジー物質じゃないか。本当かよ。

 それにしても、またそのキラキラ物語か。俺もその内ちゃんと読もう。痛々しいが、結構この世界の事が出てるっぽいんだよな。


「おい、いつそう思った。

 それに何で黙っていたんだ。」


「いや朝、日の光で見た時に思ったんだが、

 ご主人様がこれについては一切話すなと言っていたから。」


 うん、言った。金になりそうだったから、他に漏れるとマズイからね。でも、俺には言えよ。


「なあ、ミスリル銀ってどれくらい珍しいんだ。」


「う~ん、私は見た事は無いが、

 王族や上級貴族なら家宝としてミスリル銀の剣や鎧を持っているのではないか。

 あとは名のある騎士や冒険者なんかも持っている者もいると思うぞ。」


 なるほど、騎士全員がミスリル銀で武装してるという程でもないが、家宝の名刀レベルでまあまあ保有されているという事か。それなら大手や老舗の武器屋でも置いてそうだな。一見(いちげん)の客に見せてもらえるとは思えないが。

 今回採掘した製錬前の鉱石が約1㎏。製錬して500gだとしても金と等価なら金貨25~50枚。うん、これが本当にミスリル銀なら最低金貨50枚(500万円)以上になるのではあるまいか。皮算用は止めよう。これがミスリル銀と決まった訳じゃあない。




 俺とヴァルはその後、日が暮れるまでペルレの武器屋回りをしてみたが、鉄の剣しか見せてもらえなかった。ただ見せてくれと言っても見せてもらえそうも無かったので、名前は出せない王都の貴族の指示で今度 元服(成人)する嫡男の守り刀を探している、という小芝居までしたんだが本当に無いのか胡散臭さかったか。

 もう諦めて宿に帰ろうとした時、顔見知り2人を見掛けた。一人目はディルク。丁度、大通りの外れで見掛けたが、向こうはこちらに気付いていない様だった。彼は最初に会った時の酒場『酔いどれ狸亭』で見たチンピラ達に肩を組まれて裏通りへと連れ込まれ様としていた。だが、気にはなるがヴァルだけだと不安もあるし、自分が怪我してでも助ける程の義理も無かったので、無事を祈りつつ黙って彼の後ろ姿を見送った。




「あっ、レンさんとヴァルさん。お久しぶりですぅ。」


「どうもアリスさん。ご無沙汰しています。」


 2人目は日本からの転移者アリスだった。前に俺が渡した物ではなく、赤や黄色の華やかな柄の外套(マント)を着ているが、中はセーラー服のままの様だった。外套の隙間から覗く太腿(ふともも)(なま)めかしい。

 今は同じ宿には泊まっていないが久しぶりだからと『幸運のブーツ亭』で一緒に夕食を取る事になった。今日はウサギのミートパイなので当たりの方だ。

 近況をお互い話す傍ら、仲間に凄い武器を持っている人はいなか聞いてみるとあっさり、答えが返って来た。


「うん、コルドゥラさんがミスリル銀の剣を持ってるよ。」


 俺にもご都合主義が来たか!?まあ、トップ冒険者なら持っていてもおかしくないか。


 アリスにはパーティーメンバに会わせてもらえないかと聞いてみたが、明日の夜なら大丈夫そうだとあっさり了承してくれた。

 他にもアリス達のパーティーがどっちに行っているのか聞くと、3層の21区まで行っていた様だった。3層まで行くと8区のあの恐怖蟷螂(テラーマンティス)より恐ろしい魔物がいる様で、絶対行きたくないと思った。まあリターンも法外な様だが。

 うん、アリスってすんごい情報源だよね。縁は是非とも繋いでおこう。俺達はアリスが帰るのを見送ると、その日は休むのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんかこの主人公って可愛げがないよな。人を褒めたりすることもないし。なんかなあ。
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