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カレンデュラ

クマりましたから手直ししました。大筋は変わっていませんがカインくんとサヤちゃんの気色悪いところを多少ましなレベルにまで直しました。読んでいただけると嬉しい



 ローザの道案内で洞穴の中を歩く。洞穴の中は蟻の巣のように複数の階層から構成されている。救いなのは一本の通路から部屋に分岐するので迷い辛いというところだろうか。水はけを考慮してなのかは定かではないが奥に行くにつれて緩やかな坂になっている。

 その通路の突き当たりにある一番奥の部屋。その幾重にも貼られた布には金の刺繍糸やら玉石といった豪華な細工が施されている。その前に立ち止まり、振り返る。


「貴女様はこちらのお部屋をお使いください」


 ローザはとてもにこやかにルチアに告げた。そしてこちらに向き直ると笑みが消え、冷たい眼差しで見る。


「そこのお二方はあの部屋を貸しましょう」


 顎でクイっと指し示した先には簡素な布が垂れ下がった布で仕切られた部屋がある。


「ここですね。ありがとうございます」


 サヤはルチアとの対応の違いに首を傾げつつもローザに礼を述べる。


「何かありましたら近くの者に申しつけください。それでは私はこれで」


 振り返ることなく立ち去るローザの背中をカインが睨みつけていた。対応の違いにムカついたのは事実だが部屋を貸してもらっている以上は礼を失するべきではない。肘で小突きやめるように促す。盛大な舌打ちとともに今度は私が睨まれる番になった。

 居心地の悪さをごまかすためグイグイとカインの背中を押して部屋に押し込む。


「カイン、私長耳族エルフについてよく知らないんだけどなにかあったの?」


 荷物を床におろしつつ部屋を見回す。アルコーブベッドと明かりが一つの実に質素な部屋だ。明かりはガラス製の容器に照明用の魔法陣が刻まれた石がはめ込まれたものだ。


「長耳族は人間族を毛嫌いしている。あのルチアとかいう女は別らしいがな」


 盛大な舌打ちとともにカインが教えてくれた。早速レイピアの手入れを始めていた。集中しているところを邪魔するのも悪いので話しかけるのをやめる。


 やることもないので収納袋から『見聞録』を開いて中身に目を通す。ミカゲとの戦いの後にも確認したがやはり可読部分が増加していた。その部分を指でなぞり心の中で読み上げる。


『死霊術師は実現し得ない奇跡である死者蘇生を餌に信徒を誑かす邪悪な存在である。死の尊厳を踏みにじり生きる者の悔恨を弄ぶ輩を許すことなかれ』


 死の尊厳を踏みにじったという点ではサヤも他の死霊術師と同じだ。殺害されたカインを生き返らせた。正当防衛を理由にアメリアを殺した。クペ・エクペレ集落の住民を守るためにミカゲ殺害に加担した。


 きっと他に手段はあっただろう、それでもサヤはそうする事を決断した。自分は正義だと開き直るつもりも悲劇のヒロインぶるつもりもない。けれどもこれらのことは死ぬその時まで胸にしまっておこう。


「サヤちゃんちょっといい?」


 布の向こう、通路の方からルチアの声が聞こえたので本を仕舞う。


「今外に沢山花が咲いている場所があるって聞いたの。そこには蝶々がいるのよ、良かったら一緒に見に行きましょ?」


 通路に出るとルチアが興奮した様子でまくしたててきた。服を着ているのでとても違和感があったが赤色の髪に橙色のジャンパードレスがよく似合っている。


「蝶々、好きなんですか?」

「ええ、風が見えるもの!」


 布越しにカインの了承を得たのでルチアに従って歩き出す。洞穴の外に出て少し歩いた所に花の群生地があった。柵の外周はざっと1キロはあるだろう。かなり大きい花畑だ。


「わああ、やっぱりここの花は綺麗ねぇ!」


 感嘆の声をあげながらルチアがしゃがみこみ花を覗き込む。存外子供らしい様子に親近感を持ちながらサヤも隣に片膝をつく。

 植えられた花はオレンジ色の八重の花弁が特徴だった。たんぽぽに似ているがそれよりも大きい。


「サヤちゃん、このオレンジ色の花はカレンデュラというのよ。この花の化粧水は私の愛用品なの」


 相槌を打ちながらルチアの顔を伺う。とても嬉しそうな横顔はカレンデュラに飛び交う蝶々を眺めていた。


「ルチアさんはこの村に来たことがあるんですか?」

「いいえ、初めて来たわ」

「あ、そうだったんですか」


 エンザやローザの対応からてっきり旧知の仲なのかと思っていたサヤは驚く。村に訪れた理由を尋ねるとルチアは指に止まった蝶々を見て微笑みながら答えてくれた。


「祭りがあるのは知ってるでしょ?それに参加するために来たの」

「そういうことだったんですね。そういえば祭りってどんなものなんですか?」


 この時期に催される祭りというと豊作祈願の類だろうかとサヤは考えた。


「この地に住まう精霊を鎮める祭りよ」


 ルチアがサヤの顔を見た。夕暮れに照らされた臙脂色の髪が風で舞い上がる。青色の残る空を背景に微笑むルチアはまるで絵画のような美しさがあった。


「さ、日が暮れ落ちる前に村に戻りましょ」

「それもそうですね」

ルチアさんが服を着るなんて……!!まずいブクマ剥がれが加速する!!!!!!

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