朝食
ギャグ成分を増やすことにしました。
既に日は登りきり、重厚な石造りの塔の内部では肉の焼ける匂いとグツグツとスープが煮える音が爽やかな朝を演出している。
スコルは辟易とした顔でサヤの部屋に向かい、ドアを叩く。
「朝じゃぞ、サヤ。起きんか、せっかくの朝ごはんが冷めてしまうじゃろう!」
部屋の中から慌てた様子で走り回る足音が聞こえる。
やっと起きたか寝坊助め、とスコルが愚痴をこぼす。
「すみませんスコルさん、熟睡してました……」
スコルはサヤの頭髪の乱れ具合から彼女の熟睡度を推測する。昨日の今日で熟睡できるとは中々に肝っ玉の据わった子じゃの、と口に出さず思考にとどめる。
いそいそとサヤが食器を机に並べ、コーヒードリップから抽出する様を見てスコルはさらに笑みを深める。
サヤは彼が想定していたより理想的な存在だった。
お人好しで馬鹿で間抜けの欲張り三点セット。へらへら笑う顔は相手に警戒心を抱かせないだろう。
まずは腹ごしらえからだ。何事にも順序があり、その順序を守る限り必ず結果は約束されている。それがスコルの長い人生から得た教訓だった。セッティングされた食卓の椅子に腰掛ける。
皿の上に置かれた料理とスープはスコルの自信作だ。豆と野菜をふんだんに使ったスープから湯気が立っている。
「それでは、頂こうかの」
「はい、頂きます」
手を合わせるサヤの姿を盗み見て、スコルはさらに感激する。なんとこの若さで糧とする生命に感謝するとは、なんと心やさしき娘なのか。
スコルの経験ではサヤ程の年齢層は刹那的に生きる者が多く、食卓に祈りを捧げるのは貴族や聖職者ぐらいだった。
想定より身分の高い人間を召喚できたことに喜ぶ。高ぶる心とにやけそうになる頰を誤魔化すためにコーヒーに口をつけた。
「異世界にもベーコンと豆のスープってあるんだなぁ」
当の本人は自分の世界との類似点を見つめ、しみじみとした様子で朝食を食べていた。
時々物珍しげにサラダに入れたハーブや色鮮やかなティッタ(野菜の一種)を眺め、口に入れて咀嚼し、目を丸くしていた。まるで純真無垢な子供のようだ、とスカルは微笑ましい気持ちになる。
ーああ、本当にアイツに似ているー
沈みかけた気持ちを持ち直すため、すっかり朝食を平らげたサヤに話しかける。
「1つ提案があるんじゃ。身を守る術として魔法をオヌシに教えようと思うんじゃがどうかの?」
「え、いいんですか?是非!」
決まりじゃな、とスコルは笑った。
軽い説明回でした。次も多分説明回です。多分その次も説明回です。あーあ、読者の脳内に直接設定送信できねぇかなぁ!!
ところでスコルさんのお茶目部分がようやくかけました。楽しいです。
お茶目な年上に生活見てもらえる上にご教授いただけるとは沙耶さんやりますねぇ!!