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宿屋ディーネ

ひょんなことから茶目っ気たっぷり小悪魔的オジサマのスコルピィに異世界召喚されちゃったピチピチの超美人女子大生こと私、小並沙耶!



日本に帰れないで落ち込んでいた私を励ましてくれたスコルさん。

気がついたら真摯な思いと童心溢れる笑顔に惹かれててたの。



オジサマの過去を知り、揺れ動く私の乙女心。

でも、私もう決めたんです!

どんなことがあってもスコルさんの事、信じます!

都会から少し離れた場所にあるディーン村。

なだらかな丘と豊かな森の外観は美しく、この村を訪れる旅行者は多い。比較的穏やかなモンスターが多いこともあり、近代化が進むこの村で唯一の宿屋がある。

その宿屋の受付に青年が仏頂面で座っていた。仏頂面の青年、コースはクライピオンの鳴き声をうっとおしいと思いながら机の帳簿を捲る。

宿泊客を計算し、金額を記入していく。両親は宿泊客の昼食の準備に追われ、厨房にこもりきりとなっている。

弟のアルスは受付の裏で言いつけ通りに聖書を読んでいる。時々窓を眺めてぼーっとするので拳骨を落とすと渋々聖書の頁を捲る。

ドアに取り付けられたベルが揺れ、客の訪れを伝えた。


「いらっしゃい、宿屋ディーネへよーこそ」


宿泊の料金を案内しようと表を出しながら顔をあげる。視界に飛び込んだ白い装束と刺繍を見て反射的に椅子から立ち上がる。


「大変失礼致しました。本日はどのようなご用件でしょうか?」


頭を下げ、男が話しかけるまで待つ。


「宿泊したい。空き部屋はあるか?」


コースは素早く帳簿を捲り、空き部屋を確認する。


「はい、特別室は現在空いております。」

「では3日ほど部屋を借りよう。鍵は開けたままで頼む」


机にとりつけられた引き出し、鍵付きの引き出しを開ける。滅多なことでは使わない上質紙と銀細工のペンを男の前に置く。上質紙には宿屋を利用するにあたる注意事項がつらつらと述べられている。


「畏まりました。それでは約款に署名をお願いします」

「ああ」


無言で約款に目を通し、署名する男を眺めながらコースは冷や汗が背中を流れていくのを感じた。男は記入が終わるとコースに紙とペンを返却し、背中を向ける。


「ご利用ありがとうございます。それでは行ってらっしゃいませ」


扉を開け、男の背中に向かって頭を下げる。

足音が遠ざかってからようやくコースは顔をあげる。男の遠ざかる背中を見つめ、向かう先を見つめる。

森の中、聳え立つ重厚な石の塔。恩を仇で返してもうしわけありません。心の中でスコルピィに謝罪する。

強く拳を握り、歯をくいしばる。


「なあ、兄ちゃん。今の人、前金はらってないぞ」


弟の声にびっくりするコース。アルスは不思議そうな顔で男の背中を見る。


「あのお方は特別なんだからいいんだよ。いいか、アルス。俺との約束は覚えてるか?」


頭をコクコクと縦にふるアルス。自慢げに胸を張り、腰に手を当てる。


「兄ちゃんとの男の約束、忘れてないぜ!」

「ならいい、絶対にあの塔に行ったことは誰にも喋ってないな?」

「モチロン!!」

ぬええええ長いし矛盾してそうだよぉぉぉひえええええええええゆるしてえええええ

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