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犬と花飾りの鏡

鏡の前で主人の帰りを待つワンコの話イイハナシ( ;∀;)ではなく悩める主人公犬島の話。いや自分で書いていてなんだけどあんまり悩んでないみたい(´・ω・`)さて円環少女の秘密に迫る物語いよいよ佳境へ。では始めます(〃^ー^〃)




窓ガラスの修理もΨに頼んだ。


「あいつ…最近仕事言いつけても屋敷にいないと思ったら!」


彼女に暇を告げ部屋を出る時犬島は思った。自分の召喚能力と彼女のそれはリンクする。犬島の屋敷が鎖で繋いであるのは屋敷にしているベヒーモスが危うく呼ばれそうになったからだ。


部屋にいた異界の者にも犬島との契約を結んだ神獣や悪魔達が少なからずいた。


召喚にも契約にもかなり骨を折った。

なのに彼女は。彼女という存在が破格である事は疑う余地は無い。


果たして真実を彼女に伝えるべきなのか。部屋を出ると見知らぬ中年の女性が戸口に立っていた。


「どなたですか」


犬島を見るなり驚いた声を上げた。


「そちらこそ」


犬島が言い返す。


「ここは私の屋敷ですが」


女性の口が「あ」と小さい声を漏らす。

そしてなんども頭を下げ。


「すみません」と詫びた。


以前のこの屋敷の所有者でつい立ち寄ってしまったのだという。


「亡くなった娘の事が忘れられず。今でも、この屋敷の娘の部屋に来れば娘に会える気がして」


「そうですか」


「あの…あつかましいようですが、娘の部屋に入っても」



「お子さんの事を思わない親御さんなどおりません。どうぞ、ご自由になさって下さい」


婦人は部屋の前にかけられたプレ-トの掠れて消えかけた名前を指でなぞっていた。



「この部屋を開けても娘さんはいません。多分お母さんのそばか天国にいらっしゃると思います」


「主人にもそう言ってしかられます。実は私度々こちらにお邪魔して…部屋を開けても何も無いのに」


婦人は部屋にかかったプレートを外し丁寧にハンカチでくるんだ。


立ち去る婦人の背中を見送った後で、犬島は部屋の扉を開けた。


お見送りのミノタウルスが立っていた。ハンカチで目頭を押さえている。


「お前ちょっとどけ」


彼女は窓際に立って表を見ていた。


「姿なんて見せないよ。だって私は化け物なんでしょ」


「誓って言うが」


「生きてる時は苦労ばかりかけて」


「君は化け物なんかじゃない」


「お願い…あの人達から私の記憶を消して!貴方なら出来るはず」


「断る」


「なぜ」


「それは既に経験済みだ」


犬島は呟いた。自ら言い聞かせるように。


「そしてそれはとても辛い事なんだよ」


犬島の世界はある時期を境に問いかけても誰も答えをくれない世界に変貌した。


守るものは今もある。


でも妹はベッドで眠りについたまま犬島の呼び掛けに答えない。


また一つだけ死んだはずの犬島の世界に守るべきものが一つ。


今犬島の腕の中にいて消え入りそうな声で泣く彼女の声を聞いていた。部屋の前にかけられていた掠れて読めない名前を犬島は呼んでやる事は出来無かった。


屋敷に一人戻った犬島はただ.じっとして彼女が訪れる日を待った。


待ちながら。


「期限を切ればよかった」


そう思ったりもした。


部屋に丸い花飾りのついた鏡を買った。ここを通って彼女は来はしないか。彼女が犬島の屋島を訪れる姿を想像した。


人を待つ事など今までした事が無い。


彼女に全てを打ち明けるか考えた。


まだ答えは出なかった。


次回犬島と少女に一つの節目を迎える【円環奇譚 鳥籠姫】また読んで頂ければ幸いです(〃^ー^〃)今回もお読み下さってありがとうございます(〃^ー^〃)(六葉翼)

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