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秋葉原ヲタク白書16 ランボー(者) 怒りの秋葉原

作者: ヘンリィ

主人公は、SF作家を夢見るサラリーマン。

相棒は、老舗メイドバーの美しきメイド長。


このコンビが、秋葉原で起こる事件を次々と解決するという、オヤジの妄想満載な「オヤジのオヤジによるオヤジのためのラノベ」シリーズ第16作です。


今回は、援交シンジケートのマダムが逮捕されますが、お客のリストを手に入れた誰かが、シンジケートを乗っ取って…


お楽しみいただければ幸せです。

第1章 〝マダム〟はランボー(者)


ミユリさんは、怒ってイル←


僕が、その、まぁ何と逝うか、スピアと外階段でキスして以来のギクシャクなんだ。

だから、まぁ、つまり、僕が全て悪いワケなんだがホントに面倒臭いょな、女って←


意を決してメイドバーに御帰宅(らいてん)すると、彼女はカウンターの向こうに無言で立つ。

僕は僕なりに気を使って「何事もなかったかのように」明るくオーダーとかしてみる。


ミユリさんがつくるのはアルコールがダメな僕専用の彼女のオリジナル・カクテルだ。

最後が「〜パンチ」で終わる名のオリカクには彼女の可愛いエアパンチが付いて来る。


いつもなら、僕は彼女のエアパンチに大袈裟に仰け反って見せるのがお約束なのだが…


「ゴキッ!」


今宵は、肉が骨を打つ激しい音がして、瞬間、店内がシンと静まり返る!


ミユリさんとしては寸止めのつもりナンだろうが、微妙に直撃してるょ!

僕はホンキで仰け反って、居合わせた常連が思わず息を飲んで後ずさる。


カウンターの中でヘルプのつぼみさん(愛称:つぼみん)が笑いをこらえ、無言で腹を抱えているのが実に気に入らない。


「まぁ一体どぉしちゃったの?いつもの仲良しアキバ最強コンビは何処へ逝ってしまったのかしら?」

「ソレが、いきなり…」

「男子は黙ってて。御主人様でも時に首をハネられるってコト、よーく覚えておきなさい」


ジュリだ。


アラサーだけどJKコーデの彼女は、昭和通りを〆るストリートギャングのヘッドの妹。

そもそも、自分の刃傷沙汰の後始末要員としてスピアと僕に引き合わせた諸悪の根源←


「浮気者を御主人様に持つとメイドの苦労は絶えないわょね」

「…」

「というワケで、実は私も旦那様に振り回されて大変なの。ねぇ、またお2人に助けてもらえないかしら?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


アイドル通り沿いの雑居ビル3Fにある店は、薄暗い室内を半個室的にカーテンで仕切ったキャバ(クラ)タイプのメイドカフェだ。


恐らく、受付で金を払って小1時間程、他愛ない会話やゲームに興じるのだろう。

隣と隔てるのはカーテンだけだから、御主人様と逝えども滅多なコトは出来ない。


まぁ気の小さいヲタク専門の半個室メイドキャバと逝ったトコロだ。


ところが!


今や、全てのカーテンはズタズタに引き裂かれ、フロア型のソファやチェアが散乱。

ひん曲がったカーテンレール、横倒しのソファ、クッションは破け中がハミ出てる。


まるで狭い店内を巨大ハリケーンが横切って逝ったかのような大惨状だ。


「ヤクザの御礼参りでもあったのか?いや、国税の査察か?おい!正直に言え!」

「滅相もありませんわ、刑事さん。リニューアルしてただけですのょ」

「眠たいコト、歌ってんじゃねぇ!それじゃお前らの怪我は工事中の労災か?」


「鮫」が吠えている。


ジュリの彼氏は「新橋鮫」と恐れられた敏腕刑事で今回新橋署から万世警察へ人事異動。

対するのはメイド2名だけど…ん?ありす&えりす?こんなトコロでお店やってんだ?


メイドブーム初期のアキバで、双子の美少女メイドとして鳴らしたありす&えりすだ。

しかしヒドいな!ありすは青アザが眼帯からハミ出し、えりすは…ムチウチのギブス。


「実は天井のペンキ塗りをしてた妹がハシゴから落ちて私の顔の上に…」

「フザけるな!バシカン(女子校)でズベ公やってた頃から武闘派で鳴らしたお前らをココまでボコった奴は誰なんだ?!」

「だからリフォーム中の事故ですって。被害届なんて出せないわ」


何を隠してるのかは知らないが、堂々とシラを切る双子を前に、新橋鮫も打つ手がない。

ジュリに現場へ連れてこられた僕とミユリさんに「お手上げだ」という顔をしてみせる。


「店から被害届が出ない限り、ヲレには手が出せねぇ。何とかしてくれ」

「ええっ?本人達が被害がないって逝ってんだから、このままでいいんじゃないの?」

「ソレがそうも逝かねぇんだ。実は前からこの店は…」


新橋鮫はグッと小声になって(ささや)く。


「ドラッグディーラーの溜まり場だったそうだ。売春の噂もアル。しかも双子には暴行、ユスリ、恐喝の前歴までありやがる」

「何ソレ?前任者からの引き継ぎ案件ってコト?着任早々から張り切るねぇ、鮫の旦那」

「おぅ。推しの前だからな」


新橋鮫の傍らには、愛しの王子様を見上げる少女の眼差しだが実はアラサーのジュリ。

目の前には眼帯にギブスながらコレまた海千山千で一筋縄では逝かない双子のメイド。


やれやれ。またしても気がつけば厄介事の渦中にいるんだけど、とりあえずミユリさんに作戦タイムを取ろうと目配せしてみる。


ミユリさんは無言でうなずき、店の外の狭いEVホールに出てくれる。

(スピアとのキスは水に流し)やっとコンビ復活か?と思った矢先にお邪魔虫が入る。


「テリィ様?テリィ様ですょね?あぁココでお会い出来るなんて。実は〝ランボー(者)〟からお言伝をお預かりしてイルのです」

「え?ランボー(者)?誰?ソレに何で僕達がココに来るってわかったのかな。その…ランボー(者)さんは?」

「コレだけの大騒ぎを起こせば、必ずコンビで現れるからって。貴方達お2人にお任せするしかないって」


恐らく双子メイドの店のキャバ(メイド)なのだろう、長い髪が黒いだけでヤタラ清楚に見えるお得な和風顔の子だ。


「コレをお預かりしています」


何やら少し厚みを帯びた封筒を手渡される。

ん?微妙な重さだけど…おぉ!キャッシュ?


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


封筒の中には、手紙とカードキー。

残念なコトに現金のゲの字もナイ。


手紙には日時と場所、そしてソコで僕に読み上げて欲しいと逝う文章が記されている。

日時は…まぁ「今」なんだけど、場所は中央通りの裏にあるコンビニのイートインだ。


ところで、最近のイートインのハイグレード化には、眼を見張るモノがある。

殺伐イメージを一新、天井で回るファンの風に観葉植物が揺れる快適空間だ。


早速、絶賛ギクシャク中のミユリさん(結局まだ口聞いてくれナイ)と出かけたのだが…


ソコには実に多様な女性10数名が待っている。


クラブシーンから抜け出たようなファッションの子もいるがユニクロン(UNIQLO愛用者)もいて、年齢もJKからおばさんまで多種多様。


統一感とか規則性とかと全く無縁な不思議な集団だが、1点だけ共通点がある。

それは…全員が僕達を待ち、何かを語るのを待っているというコトだ。


(絶対的にギクシャク中で未だ口を聞かない)ミユリさんが僕の方をチラ見する。

うーん。どうやら封筒に入っていた手紙の通りにコトを運ぶしかないみたいだ。


ままょと僕は手紙を読み上げる。


「ADのみんなへ。今日でADは解散です。ADの全ては封印しました。今、この瞬間から、みんなはみんなの道を歩いてください」


何だコレ?ADって何?


読み上げてはみたが、僕には何が何やら全くわからない。

傍らのミユリさんも、得意のポーカーフェイスをキメてるが、恐らく何もわかってない。


しかし、僕がADと呼んだ10数名の女性達には、それで十分だったようだ。

ある者は大きく頷き、ある者は溜息をつき、またある者は無言で立ち上がる。


そのまま立ち去る者もいたが、胸の前で小さく手を振ったり、海外TVみたいに互いに指差し合って1人、また1人と去って逝く。


そして、最後に「彼女」が残る。


「ありがと。テリィさん、ミユリさん。やっと終わりました。貴方達が終わりにしてくれた」


ソコには、双子のメイドキャバで僕達を呼び止めた「彼女」がいる。

あれ?泣いてるの?なぜ泣くのかな。


彼女は小さな震える声で逝う。

僕の目を真っ直ぐに見据えて。


「ADは…援助交際のシンジケートでした」


第2章 〝裏マダム〟の影


「彼女」の話は続く。


AD(アキハバラドリーマーズ)は、業界ではランボー(者)と呼ばれている女性が仕切っているシンジケートなのです」

「ランボー(者)?」

「あ、決して本人は乱暴な人ではないんです。私達にはとても優しくて理解のある人。ただ腕っぷしはかなり強くて無双状態でした」


どうやら、アキバには「その手のシンジケート」が複数存在し、微妙な力関係のバランスの上に共存しているようだ。


当然、中には背景がブラックなシンジケートもナイとは限らない。

ランボー(者)が女だてらに腕力に訴える機会もあったコトだろう。


「でも、ランボー(者)は、そうした暴力を私達にふるうコトはなかった。ピンハネもナシ。いつも私達を守ってくれる人だった」

「君の名は?」

「セリナ。ADの副マダム」


セリナは、ポツポツと語り出す。

ソレは、よくある援交女子の身の上話。


彼女は、実は家出少女で中学を卒業した日に千葉市内のゲーセンで夜を明かし、アテもないまま総武線の始発で東京を目指す。


途中、アニメキャラクターのポップがあふれる早朝の秋葉原で、意味もなく下車。

当時盛んだった爆買いの中国人が量販店の前に行列をつくる以外は人影のない朝。


電気街口を出て、ひとり立ち尽くすセリナに声をかけたのがランボー(者)だ。


「アキバは初めて?」

「はい」

「一回りしてみる?」


ランボー(者)は、AKB劇場横の駐輪場から錆びた青い自転車を出すと、セリナを後ろに乗せ、(ようや)く朝日に輝き出した街へと漕ぎ出す。


高層ビルの谷底を走る中央通りには、早朝とあって車はもちろん人影すらない。

ランボー(者)は8車線をジグザグに走り蔵前橋通りを左折、1本裏のパーツ通りに入る。


今度は、遠く神田明神下の通りまで、中小の雑居ビルが延々と続く。

通りに張り出す萌え系の様々な看板の間をカラスが往き来している。


「コッチの方がアキバっぽいと思う」


ランボー(者)が振り返って微笑むので、セリナ(当時は別の名だった)も微笑みを返す。

松住町架道橋の下で、ランボー(者)はあっさり自転車を乗り捨ててファミレスに入る。


24時間営業のその店には、アキバで夜を明かした様々な人々が溜まっている。

ナイトのシフトが明けた者、始発の時間が過ぎて、なお時間を潰し続ける者…


「ココのモーニングが断然お得なんだ」

「…コーヒーって無理」

「飲みなょ。目が醒めるし…おかわり無料だょ?」


そう逝って悪戯っぽく笑うランボー(者)は、何だかとってもフレンドリーに思える。

ランボー(者)は、いつか声優になると夢を語り、彼女の夢にセリナも共感を覚える。


その日から、セリナは声優を目指すランボー(者)の「仕事」を進んで手伝うようになる。

そのまま、今日と逝う日まで、幾許(いくばく)かの時が流れたが、時折思うコトがある。


あの時、架道橋の下で乗り捨てた青い自転車は、その後どうなったのだろう。

見知らぬ誰かの夢を乗せて、今も、この街の何処かを走っているのかな、と。


第2章 夢見るJK達


「ココじゃお話が出来ないし」


スピアは、何とかして僕を御屋敷(メイドバー)の外に連れ出そうとしている。

悪夢の再現だ。また外階段の踊り場で僕にキスを迫るつもりに違いない←


その夜、ミユリさんの御屋敷(メイドバー)でボンヤリしているとスピアが来て、僕が頼んだ仕事が上がったと逝う。


スピアには、セリナから渡された封筒に入ってたカードキーを調べてもらっている。

何しろスピアは、凄腕のサイバー屋なので電子系の厄介ゴトは何でもお任せなんだ。


で、スピアは、僕の困った顔と…恐らくミユリさんの殺気を帯びたデス光線を全身に浴びて僕を御屋敷(メイドバー)の外へ連れ出すのを断念して喋り出す。


「基本的にはコインロッカーのカードキーと思ってもらっていいの」

「カード式のロッカーキー?」

「最近、スイカで払えるコインロッカーとか増えてるでしょ?でもね、コレはただの電子キーじゃないの。JRの電子マネーに暗号化された仮想通貨を組み合わせるコトでJRのコインロッカーを自分専用の電子金庫にしてる。しかも、JRには全く知られるコトがないの。コレを考えた人、結構ヤバい」


誰かがヤバいコトだけはわかった笑。


「なるほど!やたらヤバそうだから、そのロッカーは開けないコトにするょ!」

「何逝ってんの?それじゃ私に調べさせた意味ナイじゃん!可愛いJKがテリィに託したんでしょ?アンタが開けなきゃ誰が開けんの?大丈夫!私がカバー(援護)するから!」


小柄だけど立派な巨乳を突き出し胸を張る(彼女はトランジスタグラマーなんだ)スピアを前に、僕はますます心を決めかねる。


悩みに悩んでミユリさんを振り向くと、案の定、彼女はソッポを向いている。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


翌日の昼下がり、僕はJR秋葉原駅の総武線上りホームにいる。

フト振り向くと、相変わらずソッポを向いたままのミユリさん。


彼女は、何故かデートでもないのに、淡いパステルカラーの清楚な勝負ワンピ。

でも、恐らくカーディガンの下はタンクトップのブラウスというギャップ狙い。


うーん。コレは完全に僕ウケのファッションではないか!?


手にした酪王ハイカフェオレをそっと手渡してくれルンだが口は聞いてくれない。

彼女との距離感を掴めナイまま僕は長い長ーい溜め息をつきハイオレを飲み干す。


あ、酪王カフェオレは、福島県民のソウルドリンクで史上最強のコーヒー牛乳だ。

ハイオレは、そのカフェイン強化バージョンだが東京ではなかなか手に入らない。


でも総武線ホームには、珍しい酪王専用自販機があり、そうと知ってるミユリさんは僕に…


あぁ!ミユリさんと2人で飲んだ酪王オレの想い出が走馬灯のようにフラッシュバック。

僕は、さらに長い長い長い長ーい溜め息をつきロッカーにカードキーを(さら)そうと…


あ、電話だ。電話が鳴ってる?珍しいな。

僕の番号は誰も(僕も笑)知らないのに。


「あ、もしもし…」

「罠よっ!逃げて、テリィ!」

「えっ?」


次の瞬間、世界中の人々が僕を振り返り、何ゴトかを大声で叫んで襲いかかってくる。

僕は、瞬時にホームに叩きつけられ背中には何人もの人が乗り腕を逆手に捻じ上げる。


「警視庁公安部だ!動くな!」

「抵抗するな!いや、お前じゃなくて連れの女だ!何とかしろ!」

「お前には権利がある!」


いや、絶対に何の権利もナイでしょ僕に!

ってか何コレ?万引か何かしたのか僕は?


ミユリさんの方は、ロッカーを背に格闘中で駅員とサラリーマンが足元でウメき、なおもキヨスク店員とOL相手に一歩も引かない。


あれ?倒れた駅員もサラリーマンもイヤホンしてるけど…この人達は何者?

あぁ!わかったから背中からどいてくれょ!ミユリさんには僕が逝うから!


僕が目配せすると、ミユリさんは悲しそうな顔をして闘いを止め、綺麗な勝負服のまま膝を折り大人しく僕の横に腹這いになる。


たちまち、キヨスク店員やらOLやらが殺到し手錠をかけ、コチラは明らかにホッとした様子だが…やはり全員がイヤホンをしてる。


何処か鈍重な感じのする掃除のおばさんが、袖に口を近づけ誇らしげに交信している。


「容疑者、確保」


え?僕達は容疑者なのか?何の容疑者?と思いながらも、場違いな妄想が止まらない。


手錠の令嬢、ミユリさん…コレは萌える←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


もともと何も悪いコトはしてナイのだから当然と逝えば当然だが僕達の容疑は晴れる。

取調官は、さかんに官有資産の不正取引とか国家の安全侵害とか逝ってたが意味不明。


そして、僕達の目の前で文字通り号泣しているスピアが泣き止む気配は…一向にない。


「ごめんなさい!ごめんなさい、私がカバーするって逝ったのに!私、油断して…」

「しかし、外事警察の張り込みとか僕の電話番号とか、よく気がついたね」

「テリィのカバー(援護)で駅の監視カメラをハッキングしてたらヤタラ袖口に話す変な連中がいたの。だから警察無線を傍受したら…テリィの電話番号は、何なら今、教えてあげるけど?」


いゃ、いいょ電話は苦手なんだ。

かけるのも、かかって来るのも。


ココは、僕達のアキバのアドレス(溜り場)、マチガイダ・サンドウィッチズ。

釈放?された僕達は、アキバの仲間に囲まれて、ホットドッグを食べている。


「いやぁ、カッコよかったっス。ミユリさんが襲いかかる私服警官をバッタバッタとなぎ倒し、さらに追いすがる公安に凛と一言、御主人様に手を出す者は私の屍を越えて逝け、と睨みつけるや、さしもの警視庁の精鋭も後ずさり、誰一人として動く者はなく…」

「おいおい!ソコのインチキ講談師、ミユリさんはソンなコト逝ってないだろう?そもそも僕は、とっくに手は出されるわ、組み伏せられるわで大変だったんだぜ」

「いやぁ好男子だなんて…とにかく!不甲斐ない御主人様を守り闘うミユリさんはメイドの(かがみ)だ!テリィさんがアキバで最高メイドのTO(トップヲタク)だなんて信じられない、いや信じたくない!この幸せ者っ!」


手にしたホットドッグを食べもせず、講談まがいの一席をぶるのはサマーさんだ。

彼は、半年前は腐女子向けテレクラにいたが今は総武線ホームの駅ソバに勤務中。


どうやら、カウンターでウドンを茹でながらホームの一部始終を見ていたようだ。

一方、ミユリさん絶賛の嵐が吹き荒れる中でスピアの泣き声は一段と大きくなる。


それでも、ミユリさんは一言も発さずに、そんなスピアを静かに見下ろすだけだ。

さすがはミユリさんだょ勝負あった…


「おぉ、強気のスク水ハッカーをココまで泣かしたのは誰だ?逮捕するぞ」

「鮫の旦那、勘弁してょ。今宵は不当逮捕を糾弾する清く正しい市民集会なんだからさ」

「全く3課の連中も所轄に黙って捕物を打つからアキバのヲタクにヤラレんだょ。桜田門(警視庁)じゃ、いい笑い者になってるらしいぞ」


のっそりと店に入って来たのは新橋鮫だ。

せっかくだから、所轄(万世警察)の御意見とやらも拝聴してみよう。


「第3課?今度は半島系じゃないんだ?蔵前橋通り(の洗体)の件で第2課とは仲良くなったけどね」

「警視庁公安部外事第3課の担当エリアは、中近東だ。今回は例のロッカーに、どうやら『イ』の字で始まる国の核開発に係る資料が秘匿されてたらしい」

「ええっ?だってロッカーの中はUSBメモリだったんでしょ?援交シンジケートの客名簿だったんじゃないの?」

「ソレが中東情勢を一変させかねないトンデモナイ資料が眠ってたワケだ。大方、客がJK相手に寝物語で自慢してたんだろう」

「外事警察って、そんな機密漏洩までカバーしてルンだ?」

「奴等、太平洋の向こうで大統領が変わって以来、霊南坂(アメリカ大使館)から『イ』で始まる国を干せって毎日ハッパかけられて大変らしいょ」

「『イ』の字で始まる国?何処だろう…あ!インドかっ!インドだねっ?!」


サマーさんが惜しみなく教養を披露してくれるが、誰も相手にしない(出来ない笑)。

しかし、たかだか援助交際の黒幕探しに最近じゃ国際情勢まで絡んで来るとはなw


「で、例のランボー(者)だけどさ。もうすぐ出て来るみたいだょ」

「ええっ?もう保釈?」

「確かに少し早いょな。司法取引でもしたんだろう?最近の流行りだからな」

「うーんソレならソレで構わないけど、せっかく保釈で出てきても彼女のシンジケートは解散しちゃったんだょね」

「…ソレがさ。どうも解散してナイみたいなんだょな。噂、聞いてるか?」

「旦那、やめてょ。援交のコトなんか知るハズないでしょ?僕は推し一途なんだ」


ワザと聞こえるように逝って、僕はチラリとミユリさんの方を見たが、ミユリさんは、すかさずソッポを向き聞こえないフリをする。


あぁ女ってホント面倒臭い←


「未だ生きてルンだょ、ランボー(者)の援交シンジケート。裏マダムが客のリストを引き継いで仕切ってるみたいだ」

「ええっ?裏マダムって誰?」

「ソレがわかれば苦労はない。だけど、ソイツは、シンジケートを引き継いだのか乗っ取ったのか知らんけど、想定外だったろうな。こんなにも早くランボー(者)が保釈になるなんて」


そこまで一気に話して終え、新橋鮫は出来たてのチリドッグに大口を開けて食らいつく。

コレはマチガイダの全ての客に等しく与えられる基本的人権なので何者も邪魔出来ない。


僕は、ヨダレを抑えて、彼がチリドックを平らげるのを待つしかない。

すると、僕の目の前にスマホがかざされて、とある画像が示される。


ソレは、路面に向かって開いた身障者用のEV(エレベーター)に乗る女子の後ろ姿だ。

ん?この後ろ姿は…セリナ?ランボー(者)のトコロの副マダムのセリナだ。


「中央口の再開発ビルに入ったシティホテルのフロントに通じる身障者用EVです」

「プライム24ホテル?あのホテルのフロントって1Fじゃナイの?」

「1Fはスタバで、2Fがフロントなんです。でも、路面からこのEVに乗れば2Fをスルーして、直接、客室へ逝けるつくりになっているみたいです」


あ、あれ?ミユリさんの愛らしい細い目が僕の顔を覗き込んでいる?

おおっ!僕は今、ミユリさんと話している!


「というコトは、どうやらこのEVを使う身障者は色んな女の子と一緒になりそうだね」

「援交やデリ(ヘル)をやる子達も、ある意味では傷を負ってると逝うコトかもしれません」

「深い言葉だな。しかし、ミユリさん、よく気がついたね」

「テリィ様と秋葉原駅のコインロッカーへ逝く途中でソッポを向いたら…たまたま目に入って笑。写メしておいてよかった」


ミユリさんは、僕の目の奥を覗き込むように話して、悪戯っ子っぽく微笑む。

思わず抱きしめたくなったけど、またスピアが泣き出すと面倒なのでやめる。


「セリナは裏マダムとやらの指示で動いてるんだろうな」

「彼女に会いますか?ADは、いつかのコンビニのイートインで毎週群れてるから、今日辺り逝けば会えるカモ」

「シンジケートを乗っ取った裏マダムの正体を暴かなきゃ。ミユリさん、一緒に来てくれるょね?」


ミユリさんはコクリとうなずき、僕は初めて彼女をお茶に誘った午後を思い出す。

よしっ!コンビ復活だ!裏マダムを追うぞ!


AD(アキハバラドリーマーズ)は生きている。

夢は、未だ終わらない。


第3章 裏マダムの影


セリナも、怒ってイル←


「許せない!いったい誰なの?ランボー(者)のシンジケートを乗っ取ったのは?」

「でもさ、援交シンジケートって、そんな簡単に乗っ取れるモノなのかな?」

「口座番号が入った客名簿と女の子のリストがあれば、誰でも何処でも仕切れるわ。援交のシンジケートなんてそんなモノ」


ところで、アキバって実は住所的には千代田区外神田なんだけど、ココは文字通り正真正銘の秋葉原、ただし台東区なんだけどね。


というワケでアキバ的には、かなり外れに出来た新しいオフィスビル1Fのコンビニ。

お洒落カフェみたいなイートインコーナーにAD(アキハバラドリーマーズ)の女の子達が集っている。


コンビニドリンク片手におしゃべりしたり、無料コンセントを使ってヘアアイロンやらコテやら…何とカーラー巻いてる子までいる。


「ソレに、こんなに早くランボー(者)が保釈になるなんて聞いてなーい!何か怪しいって感じ」

「そんなコトより、みんな、未だ援交やってるの?誰か裏マダムが誰か知ってる人、いないかなー?」

「援交やってるー。相変わらず客とも会ってるけど、電話くれる人(裏マダム)が誰かなんて難しいコト、よくわかんなーい」


真ん中だけが僕のリアル発言で、前後は複数の発言を最小公倍数的にまとめたモノだ。

面倒臭いので、セリナと僕の一問一答形式に改めて整理すると大体こんな感じになる。


「ADの子達に、数日前から電話が入るようになったの。シンジケートが復活したのょ」

「みんなへの電話は誰からかかって来るのかな?」

「女の人。私達は、ランボー(者)の頃と同じネームで呼ばれ、同じお客をあてがわれてる。電話の主は、明らかに客名簿&女の子リストを見ながら電話して来てる」

「客名簿&女の子リストが誰かに流出したのかな?」

「仮に流出したのなら、とっくに客も私達も一網打尽になってる。ランボー(者)が獄中から営業再開したって噂だけど」

「ナンボ何でもソレは無理。日本の刑務所もそこまでは甘くない」

「でも、ランボー(者)は保釈になるんでしょ?彼女は、きっと警察と何か取引したに違いないわ。私達を警察に売ったのょ」

「うーん。ランボー(者)って未だ1度も会ったコトないんだけど、そんな人にも思えナイんだょなぁ」

「ううん、絶対そうに決まってる!ランボー(者)は我が身可愛さに私達を警察に売って自分だけ保釈されるつもりょ!きっとそうだってみんな話してる。私達はもうお終いょ!」


フト気がつくと、僕とミユリさんは、周りをADの子達にグルリと取り囲まれている。

異様な雰囲気のイートインからサボり中の外回りや勉強中の学生が逃げ出して逝く。


何だか万事休すって感じ。

ソコへ僕のスマホが鳴る。


「テリィ、お話があるの」


スピアだw


「あのなぁ!僕のスマホに電話するの、スピアだけナンだけど、もうやめてくれナイか?今、ミユリさんと2人でお取り込み中(ウソじゃないょね笑)なんだけど!」

「ごめんなさい。でも、テリィがミユリさんと仲直りしてADのセリナに逢いに逝ったって聞いたら…私、私…何か格下げになったみたいで…」

「あ、そう逝う重い話、勘弁だから。じゃ切るょバイビー」

「違うの。ただ私、その前にテリィにだけは、一言、話しておきたかったの…」

「わかったわかった!また今度!」

「…セリナは…」


スピアの声が急に小さくなってしまって、上手く聞き取れなくなる。

ちゃうどイイや、切っちゃえ電話!と思ったトコロへADの子の叫び声。


彼女は群れずに1人、スマホ片手に誰かと話しながらメーキャップしてたんだけど、セミロングの茶髪にはカーラーが揺れたままだ。


「大変ょ!ランボー(者)が!」

「え?刑務所で大暴れしてるとか?」

「いいえ!アキバで大暴れしてるみたい!」


第4章 夢見る者の正義

アイドル通りの1角に赤ランプを点滅させたパトカーが2台、斜めに止まっている。

双子の「元」美少女メイドありす&えりすの御屋敷が入っている雑居ビルの前だ。


路面から階上へ上がるEV(エレベーター)の前には、何と黄色いテープで阻止線が張られて若い警官が1人、立哨している。


「ダメダメ!野次馬は黄色いテープの中には入れないょ!遊ぶんだったら他へ逝きな!」

「何事ですか!殺人でもあったような騒ぎじゃないですか?」

「いやいや、そんなんじゃない。いいから向こうへ逝きなさい」


そんなコト逝われてキレイに解散する野次馬なんているハズがない。

僕達が、ヤイノヤイノ逝いながら踏ん張っているとEVが降りて来る。


「ああっ!ランボー(者)!保釈されたのに、また逮捕されちゃったの?!いったい何があったの?」

「うるさい!野次馬はどけ!道を開けろ!」

「何だ?お前達、万世警察か?横暴だ!新橋鮫を出せ!」


両脇を警官に抱えられたジーンズに黒パーカーのフードを被った女性が降りて来る。

恐らく、彼女がランボー(者)なのだろう、僕の周りのADの子達が一斉に色めきたつ。


色白長身の恐らく…美人だ。

勝手に筋骨隆々のボディビル系日焼け女子を空想してたケドお門が違う。


彼女は、野次馬を一瞥し、その中の誰かに向かい(あれ?ミユリさんか?)軽く(うなず)いてみせる。

そして、パトカーの後部座席に押し込まれる瞬間に手錠された両手を高々と掲げダブルピース!


続いて次のEVで降りて来たのは…おおっ?ありす&えりすじゃないか?

何と2人共警官に両脇を固められて…ありゃ?手錠をかけられてるょ?


しかも、先頭を切り、得意顔でパトカーへと急ぐのは我等が新橋鮫だ。

そして、鮫が…今度は、間違いなくミユリさんに向かってハッキリと(うなず)いてみせる。


コレはどうしたコトだ?どうして、誰も彼もが、僕の推しに挨拶するのかな?

呆然と見送る僕達を尻目に2台のパトカーはサイレンは鳴らさずに走り去る。


いや、ホントに僕は呆然と見送るばかりだ。

その視野の隅をよぎりセリナが路地に消える。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その女は、ファミレスの喫煙エリアで充電しながら孤独な男達からの電話を待っている。

アメリカンダイナーを模したそのファミレスには、何故か喫煙エリアにしか電源がない。


暫くして、彼女のスマホが明滅する。


「こんにちわ!また前回と同じイケイケにしますか?それともタマには御令嬢タイプとか如何ですか?」

「実は…厨二系の家出少女がイイんだけど」

「えっ?ソレはまた激しい方向転換」

「あ、無理かな。無理なら…」

「とんでもない!絶対ガッカリさせませんょ」


女は、マイクを手で覆って溜息をついてから大急ぎでタブレットで情報検索を始める。

さらにデータを絞り込み、ウンザリ顔のままだが、声だけは明るく営業トークを再開。


「よかったー!ウチの厨二エースがスケ(ジュール)調整が上手く逝きそう!お客様なら彼女もきっと喜ぶわ!オプションはどうしましょうか?」

「厨二のオプションってどんなの?」

「先ずはセーラーorブレザー辺りから始めません?」

「あ、ソレならスペシャルなリクエストがあるんだけど!」

「なんなりとおっしゃって」


僕は少し深く呼吸してから応える。

彼女の背中に向かってユックリと。


「3年前に桜が散った頃、青い自転車で夜明けの秋葉原を駆け抜けた子、いるかな」


その瞬間、彼女の背中がビクッと震える。

そして、彼女はユックリと僕を振り向く…


「セリナ。やはり君が裏マダムか」


そう逝う僕の隣にはミユリさんがいて、その周りにはADの女の子達が立っている。

セリナは、顔面蒼白になりヨロヨロ立ち上がるが、崩れるようにイスに倒れ込む。


その瞳から大粒の涙がボロボロ溢れ出す。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


最初は、セリナの出来心なんだ。


セリナは、双子のメイドキャバで働く内に、同僚メイドをシンジケートに誘うようになる。

しかし、セリナのリクルーター活動は同僚の不注意から程なく双子に知られてしまう。


この種の行為は、業界では引き抜きと見なされ最も忌むべき行為とされている。

双子は、セリナを路地裏に呼び出し暴行を加え法外な違約金?の支払いを迫る。


そして、セリナの顔以外のパーツをアザだらけにしてから狡猾な提案を持ち出す。

援交女子の上前をハネて自分達に上納させる仕組みを作りセリナに強要したのだ。


女が金を稼ぐってコトがどぉゆぅコトなのかお前のカラダがよく知ってるだろう?

脅されたセリナは、ランボー(者)には内緒で援交女子の上前をハネて双子に貢ぐ。


この手の話は噂になるのが早い。

双子のメイドキャバが「援交のデキる店」として有名になるのに、そうは時間はかからない。


一方、当のランボー(者)は、そうした噂を耳にするのと自分がセリナに裏切られて売上げを中抜きされてたと知るのが、ほぼ同時。


実は直情型のランボー(者)は、乗り込んだメイドキャバで大乱闘を起こし逮捕されてしまう。

すると、双子は渡りに船とセリナに、お前が裏マダムとなりADを乗っ取れと(そそのか)す。


「結局、セリナの秋葉原ドリームはいつの間にか援交シンジケートの裏マダムになるコトにすり替わってしまってたんだね」

「そうとも逝えないみたいです。彼女は援交女子に自分の夢を託して、声優の養成所とかに紹介してたみたい」

「あ、そう逝えばランボー(者)も元を正せば声優志望だったっけ」


ココは、裏アキバにある24時間営業のファミレスで、今は深夜タイム。

僕は、ミユリさんとのアフター(閉店後の店外デート)を楽しんでいる。


ん?ミユリさんは…淡いパステルカラーの令嬢風ワンピだと?

コレは、いつぞやの勝負服では…


「しかし、よくそんなコトがわかったね」

「かわいいサイバー屋さんのお陰です。テリィ様が御贔屓(ごひいき)にしてる、あ・の・()

「えっ?スピア?勘弁してょもう」


ミユリさんは、テーブルの向こうから僕を真っ直ぐに見据えてニッコリ微笑む。


双子のメイドキャバが、援交サロン化したコトは地獄耳の(わ!睨まれた!僕の考えてるコトは筒抜け?)ミユリさんも知っている。


そこで、昔の仲間のツテでメイドキャバの経理端末(つまり双子の使ってるPCのコトだね)のIPアドレスを調べ出してスピアに伝える。


外事警察の張込みを見落とし、意気消沈してたスピアは失地回復のチャンスに飛びつく。

ハッキングにハッキングを重ね、双子の入金記録から裏マダムのIPアドレスを特定する。


ソレがセリナだ。


スピアは、そのままセリナのスマホを乗っ取りGPSからセリナがオフィスがわりに使っているファミレスを割り出す。


ある日、前任からの厄介な引継案件に頭を痛めていた新橋鮫に匿名のタレコミがある。

ソレは先日、メイドと作家のコンビに頼んだ案件なので匿名ではあるがコレは恐らく…


「何だょ。ソレじゃ今回の件は、鮫の旦那が点数稼いで終わりってコト?何かウルトラ面白くナイんですけど」

「そうでもナイです。鮫さんは、ちゃんとお約束を守りました、匿名さんとの」

「そうか…ソレで彼女の新しい御屋敷の名前がサロン・ド・キティなのか」


キティは、実在の、その、まぁ、何と逝うか、ハッキリ逝うと高級娼館なワケだ。

ベルリンにありナチスが娼婦を使って客から情報収集などを行なっていたとされる。


新橋鮫は、援交の黒幕は全て双子という絵を描いてから逮捕して自分の大手柄とする。

一方で、ランボー(者)は建造物侵入罪だけが問われるコトになって早々と保釈になる。


娑婆に出たランボー(者)は、双子のメイドキャバを居抜きで買って自らオーナーとなる。

「援交のメッカ」という噂の立った御屋敷で何が行われているかは想像に難くない。


ところが、双子にはアレだけ厳罰で臨んだ御当局もランボー(者)には全くお(とが)めナシだ。

どうやら、ココは新橋鮫は約束を守ったと逝う「美談」で終わるべきトコロなのかもしれない。


まぁ、でもさ!みんな、サロン・ド・キティで遊ぶ時には気をつけろょな。

盗聴や盗撮、あとコレが結構厄介なんだけどピロートークで自慢話とかね。


だって、AD(アキハバラドリーマーズ)は生きている。

夢は、まだまだ終わらない…


カチャ!


その時、軽い金属音がしてミユリさんがテーブルの向こうで腰を浮かす。

見ると、彼女は器用に後ろ手に自分に手錠をかけ、僕に向かって…その、あの…


目を瞑ってキスのおねだり←


もう、僕は最高に嬉しくなってしまって、テーブルに手をついてミユリさんにキス。

だって、手錠した令嬢風のミユリさんだぜ!コレってもうキスするしかないょね←


で、その夜のキスは、僕にとっては人生最高のキスの1つになったんだけど…

後でつぼみんに聞いたら、ミユリさんは冷静で、しっかり目も開けてたらしいw


あ、つぼみんは、ミユリさんの御屋敷(メイドバー)のヘルプなんだけど。

彼女は、僕達のキスシーンを見ていたワケだ、それもスピアと一緒に。


つまり、スピアがファミレスの店内カメラをハッキング、ライブ画像で御屋敷(メイドバー)でみんなと見てたらしいんだょな←


だから、もう拍手喝采だったって。

キスの瞬間、とかさ。


バカみたいに目を瞑って幸せそうにキスしてる僕に対して、ミユリさんはカメラに向かって余裕のウィンクだったらしい。


ヤレヤレ。どうやら僕は、ミユリさんのスピアへの仕返しに使われてしまったようだ。

まぁ、ソレも何だか僕らしくていいや。


だって、アキバは僕達が夢を見る街だから。

そして、僕達の夢はまだまだ終わらない。



おしまい

今回は、援交シンジケートのマダムや副マダム、聖地で働く双子メイドなどが登場し、第12話で登場した敏腕?刑事の新橋鮫が万世警察に異動して来たり、白スク水がトレードマークのトランジスタグラマーなサイバー屋が活躍?したりしました。


実は、趣味でやってるジャズバンドでロッキーのテーマをやったら、若いメンバーがロッキーを知らなくて…タイトルは昔?の映画からのパクリです。念のため笑。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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