表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1年で歯を3本抜いてわかったこと  作者: 牧田紗矢乃
2本目 ~2017年秋・左下水平埋伏歯~
8/23

ドキドキの手術

 月が変わり10月も半ば。いよいよ抜歯当日。抜歯は午後2時半からということで、落ち着かないまま午前中は仕事をしました。そして、前回と同様に早退していったん帰宅。

 しばらくは食事ができなくなるかもしれないということで、昼食ではここぞとばかりに食べたいものを食べました。


 事前にもらった外来手術を受ける際の注意点のプリントを確認しながら準備を整えました。その時のプリントから一部抜粋します。




・手術前日は過労を避け、十分な睡眠をとってください。

・昼食を済ませ、丁寧に歯を磨いてください。

・車の運転をしての来院はできるだけ控えてください。

・女性の方は化粧・マニキュア・付け爪を落としてきてください

・体調が悪いときは連絡してください




 車の運転を控えて、と書かれているのだから自転車なんてもってのほか。二十分ほど歩いて大学病院まで行くバス停に向かうか、最寄りのバス停からバスを乗り継ぐかと考えましたが予約時間ぎりぎりになってしまいそうなので却下。

 その日仕事が休みだった母親に頼み込んで、大学病院の近くにあるコンビニまで車で送迎してもらうことにしました。




 時間には少し余裕を持って大学病院へ。手術の担当は前回の問診でお世話になった女の先生です。

 抜歯は前回診察を受けたのと同じ部屋で受けることができたので、気分的にはややリラックスできていた気がします。とはいえ、切開が待っているのでドキドキは止められない。麻酔を打つ前に麻酔担当の先生が血圧を測ってくださったのですが、「緊張してる?」と聞かれるくらいには心拍数が上がっていました。


 診察椅子が倒され、顔に布が掛けられます。その布は口元の部分だけくり抜かれているものなので、どのような処置が行われているかは私の目からわからず、この先は私の感覚から想像した内容となりますのでご了承ください。

 布を掛けられた後、歯茎に麻酔を打たれました。普段の虫歯治療などでも体験したことがあるような、普通の麻酔注射です。私は麻酔の効きが良かったらしく、抜歯手術の中で最も痛かったのがこの瞬間でした。


 麻酔からしばらくすると急激に鼓動が早くなりました。運動したわけでもないのに、全身がバクバクしているような状態です。頭もクラクラするような感覚になり、このまま手術が始まってしまったら危ない気がしたのでお医者さんにそのことを伝えました。

 麻酔には鼓動が早くなる作用もあるということでしたが、麻酔担当の先生から「少し休んだ方がいい」という判断が出たため鼓動が落ち着くまで安静にすることに。


 麻酔を打ってから少し間を開け、心臓が落ち着いてから手術が始まりました。

 最初は奥の歯茎をちょん、ちょんと(つつ)かれるような感覚がありました。と言っても麻酔が効いているので周りの歯茎の様子から触れられているのがわかった程度です。

 いよいよこれから切られるんだ。その時は物書きらしく、肉を切られる感覚を言葉にして記憶に刻み込もう。……なんてことを考えていたのですが、次にお医者さんから掛けられた言葉に拍子抜けしてしまいました。


「では、骨を削りますね」


 なんと。ちょんちょん突いていたのではなく切られていたのです。もっと切られる感覚とか血が出る感覚があると思って身構えていたので不覚でした。

 麻酔さえ効いていれば、切られる感覚は「ちょん、ちょん、ちょん」です。血は吸引器で吸ってくれますから、血の味を感じることもありません。

 手術と聞いて怯えている方がいたら、どうぞ安心してください。


 骨を削る工程は、普段の虫歯治療で歯を削られるのと似たような「キュィィィィィィン」が続きます。骨に直接振動が伝わっていることもあり、ものすごくうるさかったです。「キュィィィィィィン」の合間に、「もっと削って」「もっと!」と補助についているらしきベテランっぽい男の先生の声が聞こえていました。

 途中から削る音が高いものと低いものの2種類に変わったので、その辺りから歯を分割する作業に移ったのだと思われます。


 そして、口に差し込まれている器具がドリルから別のものへ変わりました。ある程度まで削った歯に力を掛けて、割ってしまおうということのようです。しかし、女の先生だからなのかなかなか歯が割れない。さらに歯を削って再度挑戦、を2、3度繰り返しました。

 そのうちに歯が割れる感覚があり、割れた欠片を回収してもらって傷を縫い付けてもらい手術は終了しました。


 糸の端が舌にちょこちょこ当たるのが気になりましたが、綿を噛みながら諸注意のプリントをもらい、説明を受けてから会計へ向かうことに。手術に掛かった時間は30分弱くらいだったと思います。

 大規模な手術になると思っていたので、案外すんなりと終わってくれて一安心したのでした。


 手術の注意のプリントにあったのは、「飲酒、喫煙、入浴はしないでください(シャワーは可)」「麻酔が切れるまでは食事をしないでください」「食事は固いものや刺激のあるもの(辛いもの、極端に冷たいもの、熱いもの)を避けてください」「激しい運動、力仕事は避けてください」「激しい痛みや出血、高熱が続くようであれば連絡してください」など聞いたことがあるようなごく普通の注意書きでした。


 大学病院での会計を終えてからすぐ近くにある薬局で痛み止めと抗生物質を受け取り、迎えに来た親の車で帰宅。

 お医者さんに「麻酔が切れる前に痛み止めを飲んでください」と指示されていたので家に着くとすぐに痛み止めを飲みました。




 その日かかった治療費:3,890円

 その日かかった薬代 :670円


 事前の問診では1万円程度と説明を受けましたが、その半額くらいで済みました。


 心配していた手術も問題なく終わったことだし、明日は問題なく出勤できるだろう。夕飯はまあ、無理に食べなくても何とかなるはず。

 その後に起きることなど知る由もなく、私はベッドでごろごろして時間を潰すことにしたのでした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ