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きらきらこころ  作者: 英邑美月
9/11

きらきらこころ9

サトが亡くなったのは大雪の頃で

まだ7つの週も迎えてない、

でも大分春が近づいてきた、そんな頃。

お母さんが肺炎で入院しました。

もともと持病で肺が弱っていて

普段は元気ですがちょっと体力が

落ちてきたり疲れてくると

肺炎になってしまう事がよくあるのでした。

今回の大雪は厳しくて、

そのうえサトもいなくなったから

体も心も落ち込むんじゃないかしら

大丈夫なのかしらとヒロ

心配していた矢先のこと。

幸い順調にいけば一週間ほどで

退院できるとはいわれたものの、

無理は禁物とのことでした。

お父さんは仕事で、浩が毎日お見舞いに

行きました。

帰ればお父さんが帰るまで、家のことを

します。

ああ。この前のお母さんの入院のときは。

サトがいたから。

帰ってきたらサトが膝に乗ってきたから。

お母さんが病気で不安でも、

お父さんの帰りが遅くても1人じゃなかった。

しっかりしなきゃと思う事ができた。

でもでも今は。

お母さんは病院。お父さんは会社。

サトは…天国。ひとりきり。

泣きそうになりました。

ずっと我慢してたけど、糸が切れたように

ぼろぼろ浩は涙を流しました。




そんな頃。

サトは海流に流されていました。

チーもクロも流されていました。

追っていたイルカは既に見えませんが…

「サト。もう道なりで行くから。

流れが早くて一旦僕たちと離れるかも

しれないけど必ず会えるから」

「サト怖がりだから最初はちょっと泣く

かもだけど泣いたら僕たち呼んでね!

また会えるからね!」

え、え、えー!

何だかチーもクロもしなっと凄いこと

いいませんでした?

えええええ?


じゃーねー!


チーもクロも、バラバラに流されて

いきました。

あわ。あわわわー!

裏切られた!(?)ばかばかばか!

信じてついてきたのに!

ひ、ひとりぼっち!!


「ばかあー!」


サトもいっぴき、海流に流されていきます。

その時。

ドーン!

大きな波。一気にサトの体は

すくわれて、海面に大波と共に

押し上げられます。

地上!でもその空はさっきの

穏やかな青ではなく

どす黒い雷雲。叩きつける雨と

サトの大嫌いな…カミナリ!

いや!いや!怖い!!

助けて助けて!!


サトはまた海に潜ります。


すると海の中は穏やかで…


静かな一面、エメラルドグリーン。

あれ、お魚が一匹もいなくて…

かわりに雪のように無数の白いくず

海の天から底へ、降ってきます。


そう、雪のように。

ああそうだボク最後の日

知ってる。

…雪が、降ってた

雪にのまれたのかなあ。

サトを無数の白屑が包んで、

周り一面真っ白になります。


真っ白。


…あなたも来たのね。


あれっ。真っ白な光景のなか、

パチクリする二つの青いお目目。


あれっ。


気がつくと周りは真っ白で、

目の前に白い一匹の猫がいました。


「あれ、君は」

君なの?


それは、サトが大好きだった、

窓のガラス越しに遊びに来ていた

あの白い猫でした。


「…君もいたんだ!いたんだここに」

「サトより少し先にきたの」


白い猫はサトのお鼻にお鼻を

ちゅっ、とキスしてきます。

サトも嬉しくてちゅっ。と返します。

身体をすりすりすりすり、

擦り付けて互いの温かさを

確かめます


「サトは、誰につれられてここに

来たの?」やがて白猫がいいました。

「あのね、クロとチーていう、

真っ黒な猫とシャム猫ていう不思議な模様の

猫なんだ。サトがいたお家のね

前にいた猫たちで迎えにきてくれたの」

白猫はそうなのね、と感動したように

「サトはチーもクロも知らなかったのに

会えたのね。それはサト達がみなお家の人に愛されてた証拠だわ。共通したご縁がないと

『その姿では』出会えないもの」


…愛されていた。

そうだね。

うん、そうなんだ。

「…君は?」

サトがいうと白猫は微笑んで、

「私はママとパパが来てくれた」


気がつくと白猫の後ろには

一回り大きい白猫が、二匹いました。

ああ。

ママとパパなんだ。

よかったね、よかったね


サトが泣きそうになっていると、

白猫親子の後ろには

二匹の猫がサトを見つめていました。

チー、クロ?!

…じゃない。

それは、サトにそっくりのハチワレ猫と

三毛猫でした。

サトはさらに泣きそうになりました。


パパとママでした。

サトのパパとママだったのです


《続きます》


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