八話 智将マインシュタインの召集
総統地下大本営の入り口の前には、多くの兵隊、武器がかき集められ、敵の来寇を待って待機していた。
アハトアハトの愛称で呼ばれる八・八センチ高射砲。重戦車タイガー以下火砲、戦車砲数十門が、狭い道路の上に肩を並べて鎮座していた。
それはドイツ帝国の主たるヒトラーを守るために急遽動員されたものであった。
それらの部隊をつかさどるのは、予備役に回されていたマインシュタイン大将である。彼は、幾多の戦いをドイツの勝利に導いてきたドイツ最高の名称であった。しかし、一年前、ヒトラーの強引な作戦指導によって軍司令官を解任されていたのだ。今回、多くの将軍が戦死して、召集されたとき、寡黙な彼は、
「プロセイン軍人はただ命令のみに従う」
と言って、再び悲惨な戦争の創造に参加したのである。
巨龍の内一匹が、総統地下大本営へと向かってきた。
距離は、二百メートルほどである。
「諸君、傾注。三時の方向に敵巨龍。直ちに攻撃用意。歩兵隊は戦車の陰に隠れて発砲。タイガー重戦車は前進せよ。敵の足を狙え。
アハトアハトは頭だ。攻撃開始」
マインシュタインは淡々と命令を下した。
歩兵隊は突撃しながら発砲し始め、タイガー重戦車は歩兵の前に立って走りながら、巨砲を発射した。
巨龍は、この見事な統率の取れた攻撃によってひるんだ。
そのすきに、アハトアハトは居留の頭にしっかりと照準を定めた。
「フォイア!」
高射砲指揮官の命令によって、一斉に数門の砲が火を噴いた。
砲弾は一直線に頭部に向かい、たちどころに顔の周りに爆炎を生じさせた。
頭部に直撃を受けた巨龍はふらふらとよろめき、脚がその体を支えられなくなって、とうとう地面に倒れこんだ。
タイガー戦車、歩兵たちは倒れこんだ巨龍を容赦なく攻撃した。
タイガーは数十発もの砲弾を龍のどてっぱらに叩き込み、歩兵は小銃でもって龍の頭に鉛玉を撃ち込んだ。
「攻撃やめ」
マインシュタインの命令で、部隊は攻撃を停止した。
「残る龍は一匹だったな」
彼は副官にそう聞いた。
副官がそうですと応じると、彼は意外な命令を口にした。
「諸君。我らはこれより敵の掃討に打って出る。続け」
彼はそう言って、タイガーに乗り込んだ。
そのあとから、数百名の兵士と十両のタイガーが続いた。
無論、アハトアハトは残した。高射砲を引っ張っていける余裕はないし、高射砲は総統の護衛のために残しておかなければならなかった。