決戦、目覚め。
長い長い、レオルドとの1日合戦、開幕。
目が覚めた。
浅い眠りだったけど、まだ寝たいという欲求はない。
あるのは恐怖、多くの無関係の人を巻き込んだ挙句、敗北して迷惑をかけてしまう恐怖のみ。
下に見ていた人間共に、迷惑なんてかけてたまるか。
カーテンを開ける。携帯の天気予報では一日中雨と言っていた。
案の定、音を立てて降っている。
六月だし、まぁこういう日も多いもんな。
「好都合だ」
にやりと笑った。
そう、今日は天気すら俺達の味方。雨は気配を隠し、奇襲の成功を手助けしてくれる。
「……おはよう」
「あぁ、おはよう」
後ろから聞こえるのは、いつもの朝聞くような怠けた声ではなく、気合の入った戦士の挨拶。
今日だけの相方。森谷朱里のコンディションは上々のようだ。
そしてそれは俺も同じ。
「さっさと朝ごはん食べて、備えるわよ」
「分かってる」
言葉は大して交わさない。
交わす言葉は昨日全て交わした。
後は行動するだけ。
俺達は二人共無言で、ただもぐもぐとご飯を食す。まるで、一緒に住みたての頃のような雰囲気だ。ピリピリして、今にも弾けそうな、そんな雰囲気だ。
「……弟子一号は?」
「まだ寝てる、朝ごはんと昼ごはん、ちゃんと用意しとくから安心して、あの子にも言ってるから」
「そうか」
そしてまた無言、決して気まずくない無言の一時、むしろ続いてほしいと願うぐらいの現状。
「「ごちそうさま」」
二人、同じタイミングで立ち上がる。目が合った。
「……」
「……ふふっ」
何故か、朱里がややウケしやがった。
「おい、何笑ってんだよ」
「あんたこそ、少しにやけてるわよ?」
え? マジ? 顔を手に当てて確認すると、本当だった。口角が上がってる。
「……実はね、怖いけど少し楽しみなのよ。あんたと戦うの」
いつになく柔らかな笑みを浮かべて、朱里は諭すようにそう言った。
「なんだよいきなり、お前ちょっとおかしくなったんじゃないか?」
昨日の意味不明な「ありがとう」同様、最近のこいつはよくわからない。
「ずっとずっと、叶わないと思ってた。私の夢が少し叶いそう」
「……?」
一体何を言っているんだ? 理解をしようにも、分からない。分かる要素がない。こういうのを「じれんま」と言うんだっけか。
「……うぅん。何でもない。さて行くわよ……真希!」
そう言って拳を俺の前に突き出した。何を求めているのか、そっちは簡単に理解出来た。
全く、なかなか熱いやつじゃないか、雌の癖にこういうのが趣味なのか?
そうだな、俺もなかなか好きだぜこういうの!
「あぁ……勝つぞ、朱里!」
突き出された拳に俺の拳を合わせる。
お互いの顔を見つめ、にやりと笑う。
不思議だ、戦力的にはとても不利な状況で、相手依存の作戦しか立てられなかった俺達なのに。
「「負ける気がしない!」」
声すら合わさる。昔は嫌ったこの現象、相棒となっている今なら、とても嬉しい。
そうだ、俺はこいつと、こういう関係になりたかったのかもな。
恋人じゃなくて、それでも好きで。付き合ってなくても、隣にいる……。
無意識に求めていた相棒は、小さくて頼りない、それでいて確かに強い女性だった。
求めたものは手に入れた、なら次すらも貪欲に生きる。
────何も失わない道を手に入れてみせる。
「さぁ登校だ相棒! 裏切るなよ!?」
「誰にものを言ってんのよ! こっちの台詞だから!」
傘を片手に、ドアを開く。
さぁ、決戦だ。結城萌花も、弟子一号も。絶対に守り抜いてみせる。
どんな手を使っても、守るんだ。
俺がいつか、敬意を持って殺すために!
この戦いの目的は
林田たちは「シーガとブランシュを倒す事で記憶消去を止め、レオルド達にもう強硬手段は通じない」ということを伝えることです。
この戦いは「油断」がキーとなっています。
先に勝利を確信して、油断を見せれば一気に畳み込まれるでしょう。
リンデンは夜を利用して油断を促す作戦を立てました。
そしてこの戦いは「隙と弱点」を見せたら敗北します。
さて、今一度3章を思い返しましょう。
既に勝利へと繋がる油断を生み出すキーは、物語に出ています。




