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全ての人類に絶望を。  作者: うまい棒人間
狂ってしまった生き方と偏見と忍者とロリコン
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史上最低の同盟②

「一応言っておくが、いつこの家にシノビゴキブリが現れるかわからないのは分かってるよな?」


「あんたは私のことをなんだと思ってるの? 馬鹿とでも思ってるの?」


 いつもと違う真剣な表情でそういうこと言われると笑っちゃうからやめて欲しい。


 お前のマヌケっぷりを俺はまじかで見てきたんだぞ? 悪いが馬鹿としか思ってない。


「現状把握は大事だぜ、あと決戦は明日になろうが今になろうが、夜だ。これは間違いない」


「理由は……周りの目ね」


 憶測だが、よりにもよって日の出てる時に襲うなんて馬鹿な真似はしないだろう。


 そんなことしたらニュースになる、馬鹿な真似はレオルドは絶対にしない。敵だから信用している部分もある。


「だから場所を移すことは簡単だ、向こうも了承するはず」


「私も全力で戦うとなると、人目は避けたいかな……」


 ははは……と乾いた笑いが朱里の心境を表しているように感じた。


 ぼっちなら人の目ぐらい気にするな……と言いたいが、今回はあまりにも人の目がグサグサくる展開だ。


 なんかすごい怪力の女が自分のクラスにいるとなると、流石にギスギスして仕方ないだろう。


 噂だって立つしな。それが俺も一番嫌だ。


「同感だ、だから戦闘は絶対に街中では行わないこととしよう、俺とお前、どっちが先に襲われてもだ」


 シノビゴキブリ、シーガは、朱里の姿を確認している。同居していることもとっくにバレているだろう。


 朱里はただの人間じゃないということも知ってる。常人じゃない力を既に見せているからだ。


 だが、俺は油断していたとはいえシーガの腕を斬り飛ばし、スキをついて逃走したという偶然の産物がある。


 強い弱いで俺達を差別化するとなれば、朱里が下に行くはずだ。


「問題は、俺がお前と共闘して戦うとあっちが想定しているかだな」


「それは、どういうこと?」


「ヒント、人間嫌いで尚且つ滅ぼすためにここに来た俺だぞ? ついでにぼっちなんだぞ? 」


「悲しいわね理由が……同情するわ」


 真面目に悲しい顔するのはやめていただきたい。同情なんてしなくていいから。


 でも少し考えただけで、答えに行き着けたらしい。どうやら本当に戦闘のこととなると人が変わるらしいな。


 だからもし、向こうが俺に協力者がいないと思っているなら儲けもの。戦いやすいことこの上ない。


「ただ、これは期待できない」


「原因はこの子ね」


 ソファで寝ている弟子一号に視線を向け朱里がぽつりと呟いた。俺はそれに頷く。


 ただ、原因と言ってやらないでほしい。今思うと俺の言い方も悪かった。フリに聞こえなくもない言い方をしてしまったのも原因に近い。


 この話はハマれば最高……と言うだけで、ハマるか? と聞かれれば「無理だろ」と答えるしかない話だ。


 俺は先程既に一人の人間を救った。それが自分の信念のためと言っても行動自体は純粋な救命。レオルドにそれを見せた時点で、向こうに人間と協力する『可能性』という厄介なものが残ってってしまったのだ


 その『可能性』があれば、奇襲は成功しない。


 ちょっとやそっとのダメージがあるだけで、致命傷には届かない。


 俺が狙っているのは一撃必殺だ。シーガもブランシュも、どちらも一撃で仕留めるのが吉。


「でも、俺達が勝つためには、本当に死角からの一撃しかないんだよ……」


「その手段は?」


「そりゃあこれから考えるさ、ただ決まっているのは……お前の攻撃で決めるってことだ」


「え? なんで私?」


「……俺じゃ多分届かないから」


 一度戦って分かった。ブランシュなら俺がタイマンすれば勝てるけど、シーガは絶対に無理。あの男は油断さえしなければ間違いなく俺を捕獲できてたはず。


 なぜならあの男は片手で俺と打ち合い、打ち勝つほどの速度とパワーを秘めているからだ。


 だから多分俺の攻撃は、ほぼ一切通らないと思っていい。


「俺達がシーガとかいうぶっ壊れ野郎に勝つためには、『油断した時に』『相手が想定していない』『一撃で決めなければならない』。この三つが最低条件なんだ」


「ふんふん」


「俺がシーガの腕を斬り飛ばした以上、油断するなんて真似絶対にしない、いや、レオルドがさせない」


 一つ目から俺は脱落している。戦闘を通して分かったことは、あのシーガとかいう男は俺より強いということ。


 シーガ>俺>森谷朱里。という図が成り立っている。


 だから俺達が勝つためにはパワーアップまたは向こうのパワーダウン。


 一日二日でアップなんて出来やしない。となると勝利への道はパワーダウンのみ。


 パワーダウンすなわち油断である。


「ちょ、ちょっと待ってよ!?」


 焦ったように俺を制止してくる。何か思い立ったか。


「私達が勝つために必要なのは『相手の油断』とかいう不確定要素しかないって言うのは分かったわ。でもそれって無理じゃない?」


「どういうこと?」


「だって、私が戦えばその時点であんたとの共闘を向こうに認めたことになるだろうし、その時点であんたの奇襲は頭の中に入る。あんたが戦えばそれこそ油断も隙もない最強の男になるんでしょ彼は?」


 ごもっともだ。


 どう足掻いても隙なんてないようにしか見えない。


 ただ、それは二人だからだ。もしそれが三人、四人と。『無意識にでも味方してくれる存在がいたならば?』


「……一応、考えはある、そしてこの作戦とともに、俺達はシーガを倒す」


「ほ、ほんと!? どんなの!?」


 素に戻った。それほどまでに意外だったのだろう。


「それは……」






 ✕✕✕






「……本気? あんた」


「本気も本気、これしか俺達が勝利する方法はない」


「探せばもっとあると思うんだけど……この作戦、ほんと穴だらけじゃない、私たちがどれだけ上手くやっても、全てが相手依存の作戦よねこれ!?」


 仕方ないだろう、そうじゃないと勝てないぐらい、あいつらは強いんだ。


「じゃあ一応確認と行くか」


 俺はノートにペンを走らせてメモを書いた。


 決まったことの確認のために。


「まず、『学校には行く』」


「一行目から真面目に作戦会議してたのかよって疑問を抱く内容ね」


 黙りなさい。内容は無いようだとか言わせないからな。


「そしてその学校にいる間、弟子一号にはこの家にいてもらう」


 この家に、未だ侵入してこないということはやはりこの家が一番安心ということだ。ならそこに置いておくのがベストムーブ。


「そして学校に行ったら、何としてでも萌花のお泊まりを避けるよう促す、この役目は任せたぞ」


「任せて何としてでも止めてみせるから」


(無い)胸にどんと手を置いてえっへんと(無い)胸を張る。自信満々だ。


 いつもならこいつの前科からいって信用する事が出来ないんだが、現在俺は萌花に嫌われてる。それを見積もって大丈夫だと判断した。


 てかパートナーなんだ、信じなきゃな。


「あとさ……えっと……ま、マキ!」


「……実は俺、名前だけで呼ばれたの初めてだ」


 しかしとんでもない片言、結城萌花を笑えない。


「え? ほんと? いや、そうじゃなくて……ありがとうね、なんと言うか、話してくれて」


「おいおい、なんで感謝されるんだよ」


 いきなりだから加えて意味が分からない。


 俺はこいつに途轍もない迷惑を掛けてしまったんだ。俺がこいつの家に住んでいるからシノビゴキブリが現れて、そのせいでこいつは知らないが結城萌花から疑われている。


 更に、こんな内ゲバみたいな戦いに巻き込んでしまったんだ。


「……友達にそこまでさせる俺なんかに、感謝なんてしちゃいけねぇだろ」


 ボソリと、呟いた。


 これからやる作戦を思うと、今までやった行いを思うと、心が苦しくなる。


 今までそういったことは無かった。理由はわかる、ここまで個人としての繋がりが俺にはなかったからだ。


 朱里はありがとうと言った。その理由が俺には分からない。ここまで個人としての繋がりが俺にはなかったからだ。


 ……でも。


「……お前から、先に言われるとは」


 それでも俺は、理由は分からなくとも感謝はされた。だから俺がするべきことは、その感謝に答えることだけだ。


 そして、お礼の意味はその時知ればいい。


「礼を言うとしたらこっちの方だろうが全く……ありがとな、朱里」


 その時、本当に無意識に俺は彼女の頭に手をぽんと乗せていた。


 な、何やってんだ俺は……!? 朱里にこんなことやるなんて……!?


「ふにゅっ! ちょっ!? 何してんのよ!」


「す、すまん! なんか体が勝手に……!」


 言葉を間違えた、これじゃあただの変態だ! でも真実だから仕方ねぇ!


 俺は死から逃れるかのごとく、急いで手を離そうとする。


「ちょっと、すすすとっぷ!」


 が、凄まじい握力で俺の右手首を握りしめ、それを止められた。


 ちょっとちょっとー、女子がそういった可愛い感じだしてる時に握力なんかで……! メキメキなんて音を……!! 出すなぁ!!


「痛い痛い痛い!!」


「あっ、ごめんっ!」


 ぱっと手を離してくれた。もう手がブラブラしてるんだけど、力入らないんだけど。


「まさかそこまで怒るとは……ゴメンな」


 トラウマの可能性を疑った、そうなると流石に謝っても許されない。


「う、うぅん。違うの……」


 顔真っ赤にして、もじもじと恥ずかしげに口篭っている。


 俺はこいつのこういう姿がじつは地味に好き。ていうかちょっと可愛いと思ってる。


「さ、作戦が終わってから言う!!」


 そう言って朱里は横になっていた弟子一号を抱っこして、二階へ駆け上がった。


 その姿はまるで誘拐犯の逃亡のそれだった、俺もあぁいうふうにレオルドに見られていたのだろうか……。


「……さて、俺も寝るか」


 リビングの電気を消して、ボロボロのソファに横になる。


「どっちの作戦が上回るか……師匠を超える時だ、レオルド!」


 にやりと笑って、目を瞑る。もうほんの少ししか眠れないけれど、仮眠はとっておいて損は無い。


 弟子一号との約束を守るため、レオルドを否定するため、そしてあの二人を守るため。


 全てを叶えるための戦い、その勝利を胸に……。









「待てよ、あいつ怒ってないのに俺の手首へし折ろうとしてたのかな」


 そんなことを思いながら眠りについた。



次回より戦いが始まります。


史上最低の彼らの戦い、是非見てください。

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