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全ての人類に絶望を。  作者: うまい棒人間
狂ってしまった生き方と偏見と忍者とロリコン
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絶賛逃走中絶望進行中

「……嘘だろ嘘だろ?」


 腋に弟子を抱えたまま、俺は夜の街を爆走していた。


 パラリラパラリラ~……っていう気分でもない。いや、本来ならそうなるはずであったのに、去り際にあのシーガという男が残した一言によって、俺はまた悪い予感がしているんだ。


「あの発言……何処かで……」


 いや、もう分かってるんだけどね、二人もいないだろ、あんなに同じ特徴を持った存在なんてよ。


「ししょー、もう追ってこないと思うんだけど……」


「ん? あぁ分かった」


 確かに結構突き放した感はあるな。俺も考え事ばっかで覚えていないが相当走ったという感じはする。


 ようやく腰を安心して下ろす、短い戦闘だったけど、俺からすれば死ぬかもしれない瀬戸際の戦闘だったわけであって……要するに、とてもとても、疲れた。


「ふぅ……」


「じじょー……ごわがっだぁ……」


「大丈夫だ大丈夫だ、泣くな泣くな」


 緊張の糸でも切れたのかうえええんと泣きながら俺に抱きついてくる。


 無理もないわな……あんな所にいたら。


 あと、強く抱きしめられるとね……痛みが激しくなるんだよね……。だから今はやめてくれ、あくまで今は。


「じゃあ一旦休憩……いっつ」


「あっ、ごめん。ししょー大丈夫?」


「あぁ、問題は特にないけど……」


 つい強がってしまう。ホントのこと言うとまた走れって言われれば難しい。さっきまではアドレナリンみたいなやつで何とかなったけど、こっからは歩いていかないとダメだな。


 でも、小さい女の子の前では、誰しもかっこつけたくなるものだ。正常な男ならば。せいぜい強がって、恰好いいとこ見せてやりたい、師匠としてな。


 だが問題は別にある。


「……お前、長い間学校休めるか?」


「え? わたし?」


「お前しかいないでしょ」


「た、多分……親は、わたしのこと無視するだろうし」


 そんな親がいるのか、まぁさっきのマッドサイエンティストも似たようなことしてたしな、そうゆう家庭なんだろうということで、深入りはしない方がいいと思った。


「ん……じゃあ次の話に移ろう、これが一番やべー問題だ」


「やべーってどれ位?」


 つまんねー事聞くなよ!


「やべーはやべーだ、それ以上でもそれ以下でもない」


 やべーって言葉ホントやべー、使い勝手が良すぎるくせに何も伝えられない。


 語彙力の低下に繋がるからやべーは犯罪にするべき。


 こういうやべー思想を持ったやべーやつがやべー事するんだろうな。


「言葉って難しいねししょー……」


「あぁその通りだ、特に日本語」


 違う違う、話を逸らすな俺。


「さっきさ、お前片腕のない黒髪の男、チラッとぐらいは見ただろ?」


「う、うんそれがどうかした?」


「……見覚えは、無かったか?」


「ん? そういえば、コンビニでししょーに話した人と、似ていたような……?」


「オッケー……分かった」


 偶然、とは思えなかった。


 俺の名前を事前に知っていて、それでいて俺より早い動きをする存在。それでいて小さい子が好き。


 今思うと、身長もだいたいあんなぐらいだったな……。


 まだ確定、とは言えないが。ほとんど間違いはないと思われる。




 シノビゴキブリの正体は、シーガだ。




「弟子よ、世界って、狭いなぁ……」


 頭を抱えた。こうなった以上、奴のと正面衝突は避けられない。


「どうしたのししょー……ほんとに大丈夫なの? 頭とか」


 俺の心配するより自分の心配しろよ、お前はあのレオルドに目つけられた。出歩くことすら死に繋がる状況に追い詰められてんだぞ。


 俺ならまだいい、対抗策がある。でもお前はちっぽけで、何も出来ない。


 記憶を消されて、それで終わり。


 じゃあどうすればいいのか……? 答えは出ている。


「弟子一号。付いてきな」


「ど、どこに……?」


「……俺が知る中で、一番安全な場所にお前を隠す。死なれちゃ困るからな」


 俺のそんな発言に、弟子一号は少しだけ笑った。


「おい、何がおかしい」


「えへへ、ししょーって人間嫌いなのに、わたしのことは守ってくれるんだね」


「……それは言うな」


「ねぇ? どうして?」


 もう……小さい子はこれだから! グイグイ来るんだよ空気を読まず!


 お前が酷い目にあうのを見たくなかった……と言えば本当だけど、なんかかっこつかない。ていうか恥ずかしい。


 少し捻って、実話も混ぜて、誤魔化そう。


「昔に、俺の師匠から言われた言葉があってだな」


「うんうん」


「『弟子を助けない師匠なんていない』とかいう綺麗事、その師匠は言ってたんだよ」


 早い話、俺が本当に弱かった時代に、何故こんな俺を鍛えてくれるのか? という質問に対して、俺の師匠が言った言葉。


 昔はその言葉に感動したもんだが、今となっては綺麗事抜かすな。と思っている。


 結局あの男は、俺を、俺達を見捨てた。


 だからこそ俺は、あの男と同じにはなりたくない。この言葉は絶対に守ってみせる。


 それが俺の師匠、レオルドに対する反逆だ。


「ふ、ふーん……結局、弟子なんだ……はぁ」


 なんでそんなガッカリするんだ弟子一号よ。俺の思いがいっぱい詰まった言葉だぞ。何があってもお前は守るって言ってんだぞ、喜べよ。史上最強のSPがついたと言っても過言じゃないんだぞ。


「だから守るさ、お前といるのは嫌いじゃないしな」


「そ、そう、よかった!」


 そんな、さっきまで戦いを繰り広げた者の会話とは思えない会話をしながら、目的地へと歩みを進める。


 祈るのはその場所にシーガがいないことを願うことと。



 その場所に住む疫病神が、この状況を許してくれるか、という事だけだ……。

明日投稿します。その後は知らないです。

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