決戦開始
テスト当日。
うちの学校のテストは9教科を3日に分けて行われる。つまりは1日3教科なり。
「自信しかねぇ」
わりとマジでそう思ってた。国語以外ならなんとかなる気がする。
隣に座っていた森谷朱里を見る。ドリルみたいに振動していた。
「お、おいどうしたお前」
「べ!べつに!不安じゃないし!?」
…まぁこいつの場合テストが終わった後にもやることがあるからな、その件を考慮すれば動揺するのも無理はない。
俺にとってもこの件は結構重要なことだ、結城萌花も森谷朱里も出来ることならばハッピーになってもらいたいと思ってる。
うん、そうだな。ちょっと緊張をほぐしてやるか!
「まぁ『童謡』でも歌って『動揺』を止めるのはって危なっ!?」
彼女の拳が俺の頬を掠めた。俺じゃなきゃ当たってる、多分当たればテストどころの騒ぎじゃない。
さっきまでの震え声はどこへ消えたのか、あまりに冷たい一言を言い放つ。
「つまんない」
く、くそっ!結構いい出来だと思ったのに!
どストレートに言われるとなかなか傷つくもんだな…こいつの発言にイラついたことはあっても落ち込んだのは初めてかもしれない。
「でもまぁ少し落ち着いたわ、ありがとう」
そう言って彼女は席に戻った。
最近こいつが俺に対する態度が軟化してる気がする。それがいいことなのか悪いことなのかは分からないが、ただ一つ分かるのは、俺のギャグを聞いた時の表情がマジギレの時の顔だったことからこいつが落ち着いた理由は…間違いなく俺を殴ったからということである。
朝のチャイムが鳴る。先生の話が終わった時戦いは始まる。
テスト一日目の始まりだ。
✖✖✖
キーンコーンカーンコーン
三時間目終了のチャイムが鳴った。これで今日のテストは終了。
「はい!じゃあ今日は終わり!さっさと帰って勉強するように」
この時間の担当の教師がそう言って教室を出る。それに続いて死んだ表情のクラスメイトたちが死霊のような足取りで教室を出ていった。
まて、死霊に足…だと…!?
「ちっ…俺も森谷朱里「同様」に「動揺」していたんだな…!」
「懲りてよ…ツッコミが面倒臭い」
こいつに飽きられるというのは相当だ、そろそろ止めないと今度は何が飛んでくるのかわからない。
一瞬結城萌花の方を見る。
昨日に比べてなにか変わったか?と言われれば何も変わってないように見える。
昨日別れてから俺はまだ彼女と会話していない。でも俺が友達になろうとしていないということはあの賢い彼女なら分かってるはず。
きっともう話すことは、無いのだろうな。
そう思うと少し心が痛くなった。以前にも同じ思いをしたことを思い出した。
無意識に向いた方向に森谷朱里がいて、目が合った。
「何よ、何見てんのよ」
「…別に」
「へんなの」
森谷朱里はどうやらテストで疲れているらしい、そのまま家に帰った。
自分の意思で突き放したというのに、今の俺はそれを悲しく思っている。
行動と思考が一致しない。これが人間らしさというものなのだろうか。
少し、人間のことがわかった気がした。
明日も投稿します




