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全ての人類に絶望を。  作者: うまい棒人間
君のための2週間
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結城萌花の過去

別に休みだから投稿しただけだし、もうストックとかねぇし!

「…ただいま」


 我が家ではない家に入る。ただいまが言い難いことこの上ない。


 当然帰宅を迎えてくれる家族なんていない。いるのは1人、自分だけが食べる料理を作っている少女のみ。


 鼻歌を歌いながらエプロンをひらひらさせながら料理を作るその女は言わずと知れた森谷朱里だ。


「ふんふーん、今日はチャーハンチャーハンひとり分ー!」


「ひとり分」をやけに強調して言ってるのが最高に腹立つな…。心なしかいいことでもあったの彼女の顔がつやつやしている。


 しかし…俺は一体どれぐらい善行を積めばそのちゃーはんという食べ物に辿り着けるのだろうか。


 いや辿り着いちゃダメなんだけどね。


「あ、今日あんたの晩御飯それだからね。残さず食べてよあと片付け面倒なんだから」


 お前さっきからいるの知ってただろ…という喉ぐらいまで登ってきたツッコミを飲み込み、森谷朱里の指差す方を見る。


 そこにあったのは…!?


「か、カップラーメンだと…!?」


 そこに見えたのは俺が食べたいと思っていたカップラーメン。ラーメンの味が忘れられなかったからなんと嬉しいことか。


「感謝しなさい、スーパーで100円もしたのよそのラーメン」


「それ定価よりちょっと低いぐらいだと思うけどマジかよ!最近いいことした覚えないのにどうした!?」


「気が狂ったのよ、運が良かったわね」


 それを言うなら「気が変わった」じゃないのか?そもそも何?気でも狂わないと俺にカップラーメンすら与えないというのか?それともただの間違いか?


 まぁ日本語は難しいからな、日本人ですらまともに扱えないくらいだし。


「やったぜ、ところで早速食べたいんだがお湯は?」


「あぁごめん言い忘れてたわね」


 森谷朱里がこめかみを抑えて困ったように口を開いた。


「ん?何を?」


「ちょうど今さっき家の水道管破裂したのよ」


 顔を上げる。それはもう、いい笑顔で言ってのけていた。


 ×××



 バリッ…!ボリッ…!!


 固い…ラーメンとはここまで強固な食べ物だったのだろうか。否、俺が先生と一緒に食べたあのラーメンはこれとは全く別次元の味だった。これスナック菓子?


「悪気はないのよ、本当に準備してたら水道管やられてて…」


 そのセリフそんな笑顔で言えるようなセリフじゃないと思うんですけど。


「…そういうことにしてやるよ」


「あれ?今日は優しいのね、なんか嫌なことでもあったの?」


 嫌なことは今起こってるとだと思うんですけど。


「…別に」


「んー…何かやりにくい…」


 そんなことを言いながらももぐもぐとチャーハンを食している。いい匂いだ。


 お互い無関心には慣れている。俺的にはそうしてくれた方が有難い。


 だが以外にも早くその無言の時間は壊れた。


「そうだ、いつ買いに行くの?」


「買うって…あぁ、結城萌花の」


「うん、私は別に用事なんて特にないから何時でもいいわよ」


「悪ぃな、やんない事にしたわ」


「まぁだからあんたに合わせてやるわよ…ってえぇ!?」


 バンッと机を叩き俺に顔を近づけてくる、その衝撃でコップが倒れた。お茶が溢れる。


「何でやんないの!?」


 怒りと疑問の混ざった声。それは見損なったという意味でありその心境の変化を聞いている。


「いや、別に。俺がそんなことする必要ないと思っただけだ」


「ど、どういう事よ…」


「…これ以上結城萌花と仲良くする訳にはいかない」


 その言葉で森谷朱里は俺の考えが分かったようだ、俺の招待を知っているからこそ出来た芸当、こういう所では有難いと思う。


「なるほどね、あんたの言いたいことは分かったわ」


 乗り出した身を戻して椅子に荒々しく座り直す。そして何か考え込むように、悔しげな顔で呟く。


「でも…もう萌花ちゃんにはあんたしかいないと思うわ」


 コップを強く強く握りしめる。こいつもこいつで辛い経験はしているはずなのに、その彼女ですら他人の不幸にこんな顔をするのか。


 俺の周りの人間の闇の深さを感じた。


「萌花ちゃんが昔は変な力のせいで苛められてたの、知ってる?」


「あぁ、その話はあいつから聞いた」


「そ、でもね、この話は続きがあるのよ」


 この時点で聞きたいことは沢山あった。だが今それを言ったところで謎が深まるだけ。


 黙ってその話を聞くことにした。


「萌花ちゃんにはね、一人だけ友達がいたの、同い年の女の子で、気を許せる唯一の人間だったらしいの」


「その女の子も、友達と呼べる人がいなかった。2人ともアニメとか好きで趣味も合っていていい友達だったと思うわ」


「でも…確か中学2年の時、だったかしらね」


 握っているコップが小刻みに震える、体が震えてる。


 言いたくないこと、なのだろうか。もしそうならば何故他人の話でここまで怯える必要がある?


 …答えはとっくに出ていた。


 あの時、結城萌花は泣きながら彼女に謝った。


 あの時、彼女は結城萌花から全力で逃げようとしていた。


 彼女がここまで他人であるはずの結城萌花のことをよく知っていて、そしてこの過剰なまでの怯え。


 答えはひとつ、彼女はこの物語の登場人物である。


 結城萌花の1人だけ居た友達、それは森谷朱里だ。

二日に一話投稿します。頑張ります。

シリアスは苦手なり

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