最低最悪ないいやつ
そろそろ100ポイント欲しい
「…くそっ」
自分は何かを間違えた、それは分かっているのにその間違いが分からない。
なにかに気がついておかなければならなかった事が分からないまま、俺は森谷朱里の家にまでたどり着いた。
さて…手段は何も考えてない。
だがもう外でやることなんて無きに等しいからどうにかして家に入らなくてはならないんだ!
《mission2 自宅侵入せよ!》
…俺も思考が犯罪者になってきてんな。
いやそうなる予定なんだけどね?
俺はまずベランダの窓に手をかける。
硬い、これは空いていないな。
次は二階の窓。
「…ダメだな」
そんな格闘が何時間かほど続いた。
✖✖✖
「…どうすりゃいいんだ」
格闘中、俺は災難に何度もあった。
隣人の人に警察呼ばれかけたこともあったし。実際に警察が通る時もあった。
一番やばかったのは一般人にジャンプで二階まで登るのを見られた時だ。目を丸くしてぼーっとしてたからちょっと頭に衝撃を与えて記憶を飛ばしておいた。
殺してないよ、真っ先に疑いかかるじゃんか。
…こうなりゃワンチャンスにかけようか。
「あいつが正面玄関に鍵をかけていない可能性」
間抜けなあいつなら十分可能性はある。そっちの方が高いレベル。
でもまぁ、5時まで帰らないとか言ってんのに鍵をかけないというのもどうだろう…。まず有り得ないな。
流石の森谷朱里もそこまで馬鹿ではないはず、あいつは俺に一杯食わせた女でもある。
だから森谷朱里が貶されるということは自分自身を貶しているということに繋がる。
無理という先入観を持ち、ドアレバーに手をかける。
俺の心は既に窓ガラス破壊で固まっていた。
しかし…。
ガチャ
「は?」
しっかりと下にまで下がった。途中で止まることもなく一気に下がった。
結論から言おう。鍵はかかっておらず、森谷朱里はただの馬鹿だった。
そして俺も馬鹿だったという訳だ。
「不用心過ぎる…」
でもまぁ、好都合か?
この展開は俺にとってはいい展開。窓ガラスを破壊して後々に怒られることもなく、ドアを破壊して怒られることもなく堂々と家に入ることが出来る。
深いことは考えまい、俺は家に帰ることが出来たのだ。
向かうはリビング、俺の寝床であるソファーが俺を待ってくれている。
「ただい…?」
リビングに入ると、想像もしてなかった光景に俺は目を疑った。
「マジかよ…3時かよ…」
家の時計は午後3時を指している。俺は三時間近く家の前で格闘していたらしい。そりゃあ変質者と間違えられるのは無理ねぇわ。隣人、あんたが正しいよ。
そしてもう一つ。目を疑うようなものが見える。
「…なんで森谷朱里がいるんだよ」
なんと森谷朱里が机に突っ伏して寝ていたのだ。
しかもいい感じに日に当たって気持ちよさそう。いやそれは今関係ない。
「スヤァ…」
「スヤァじゃねぇよおい」
新手の嫌がらせかこれは?いないと思わせて実はいるんだよバーカってか?
意味ねーだろそんなことしたってよ。
やっぱりこいつ馬鹿だな。
「…まさかこいつ、まっててくれたのか?」
頭の中に一つの可能性が浮かぶ。
そもそもあいつに友達なんているはずがないじゃないか。
つまり、5時まで帰らないというのは嘘ということになる。じゃあなんでそんなことを言ったのか…?
「…ふっ、なるほど…」
こいつは回りくどく『早く帰ってこい』と言っていたのだ。彼女らしい優しさだと俺は思うと、つい笑ってしまう。
「素直じゃねぇなぁ…」
俺は山本先生の言葉を思い出す。
『多分彼女は君が思っているほど、嫌ってはいないよ』
先生の提示した理由が残念だったから俺は否定したけれど今になってみると本当にそうなんじゃないかと思える。
なぜ俺に優しくしてくれるかなんてわからない、でも分からなくてもいいことだってある。
これ以上彼女を深く知ろうとしたら深くなるのはきっと溝だ。
これ以上の関係は望まない、嫌われて嫌って、でもいいやつだと知っている。それでいいじゃないか。
「よっと…」
彼女を起こさないように持ち上げる。すれんだーぼでぃ?と自分で言っていたこともあってか普通に軽い。
そして彼女の寝室まで運ぶ。
「すぅ…すぅ…」
「…寝付きいいなぁ」
森谷朱里を起こさないでベットで寝かせることに成功した、これはほんのお返しみたいなもんだ。何にせよこいつはずっと家を開けててくれた。本来恨みきっていいやつに優しさを送ってくれた。
起きてる時には言えないが、何度も言おう、こいつは立派な人間だ。
「んにゅう…」
「うおっ!?」
やべっ…起こしたか?
「すぅ…」
「…良かった、ちゃんと寝てるな」
こんな恥ずかしいこと聞かれたら俺が大変なことになってしまう。聞かれなくてよかった…。
「じゃあおやすみ」
役目は終えたので俺はリビングに戻ろうとする。、
「…あ…りが…と」
だがその時、後ろから途切れ途切れ、かすれている声が聞こえる。
「ん?」
後ろに振り向く。森谷朱里が笑顔で眠っていた。
「お…に…いちゃ…ん」
「お兄ちゃんて、お前…」
俺を兄と間違えるなんて、一番やっちゃいけないことだろうに。
…でもまぁ、久しぶりに「お兄ちゃん」なんて言われたもんだ。
悪い気なんかしない、むしろいい気分だ。
「おやすみ…朱里」
俺の妹にやっていたように、頭を撫でてやる。
「って、何をしているんだ俺は…」
なんか名前でちゃっかり呼んじゃってるし、俺はこういうことは妹ぐらいにしかしなかっただろ…?
「でもなんだろう…なんか今のすごい懐かしく感じた」
三週間近く会っていないと言うだけでここまで懐かしくなるものなのか。いや、それは俺が妹を愛するがゆえという奴か。
森谷朱里を起こさないように彼女の部屋を出る。
「…さてと、俺も寝るか」
地球の昼は素晴らしい。
暖かくて、綺麗で、眩しくて…。
早く俺の家族にもこの光景を見せてあげたい。
でも親父は家で留守番しててくんねぇかな…
「でも今は寝ることの方が重要だ」
ソファーにダイブ!そのまま俺は深い深い眠りにつこうとする。
勉強は夜やろう。久しぶりにお腹いっぱいになってる、今寝たらきっと最高に気持ちがいい。
だから今だけは何もかも忘れさせてくれ。
切なる願いも胸に、俺は目を閉じる。
同じセリフ使いすぎ問題。池沼かよこの作者。




