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全ての人類に絶望を。  作者: うまい棒人間
君のための2週間
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最低最悪の知ったか

 ずっと無言、俺達はただ何も言わずに麺をすする。


 話したくないというのもあるが何よりこのラーメンが美味しいのがいけない。


 ギルティーでしょこれ。


「…はぁ、ところで林田よ」


 沈黙の居心地が悪かったのか、山本先生は俺に話しかけた。


 またまたどうでもいいことなのだが、こういう時気を使わせてしまって申し訳ないという気持ちとついに喋らなかったという何かに勝ったような気持ちが込み上げてくる。


「…なんでしょうか?」


「森谷朱里のことだ、どう思ってる?」


「えぇ…」


 はっきりいってうんざりです、なんというかもう行くとこ行くとこであの女が絡んできやがる。


「別に、なんとも思ってないすよ」


「え?そうなのか?」


 ちょっと待て、何その反応。やっぱり仲がいいと思われてるのか?やめてくれよ、俺はあいつと仲が良くないし仲良くなろうともしていない。


「まぁ、いいか。部活動の部長の件だが、ちゃんと考えているか?」


「…すんません、忘れてました」


「正直なやつだな…ちゃんと考えておきなさいな」


 仕方ないじゃないか、今に至るまで多くの問題が俺を襲ってきたのだから。


 忘れたいから忘れたわけじゃないけど、最優先事項じゃないから勝手に忘れてしまったのかもしれない。


「そういったこと森谷朱里と話さないのか?」


「話すも何も…俺たちそこまで年がら年中話してるわけでもないですし」


 話しかけるのはいつも向こう、俺は出来る限り学校では無言を貫いているからだ。誰も話しかけてくれなかったら喋り方も忘れてしまうレベル。


「そうか…意外だな」


「またそう言って…隣の席の人だからといって仲がいいわけじゃないんですよむしろ嫌われてますね」


 少なくとも、俺はあの女には嫌われているはず。そのことはちゃんと理解している。


 そろそろ俺と彼女の仲は宜しくないということを理解していただけたかな先生。


 今どんな顔してんのかなと思い、ラーメンを食べるのをやめて前を向くと、先生は口を抑えてうつむいきながら小刻みに震えていた。


「ちょっ!?どうしたんすか?なんか悪いものでも食べた!?」


 いや、食べたものは俺と同じ醤油ラーメン。それなら俺だってお腹が痛くなっているはず。


 だとしたら...。


「...箸でも食べました?」


「き、君の考えはよくわからないところまで発展するな...」


 あれ、何ともないみたいだな、ケロッとしている。少し涙目だけど。


 まぁ何ともないなら安心...?



 え?


 …なんで、こんなやつの心配をしているんだ…?


 なんで安心した?こいつがなんともなかったことを安心した?


 俺が?地球人を滅ぼしに来たこの俺が?


 本来なら、こいつが腹痛にでもなっているのは喜ばしいことなんじゃないのか?


 …そうだ、帰り道だ。


 この人が倒れてしまっては、俺がこの後帰れない。


 そういうことにしておこう。今は考えても答えが出そうな気がしない。


「どうした?君もおかしいな急に何を考えている?」


「あ、いえ何でもないです」


「そうか、ならいいんだ、生徒が困っていた時に力になってやれるのが先生だ。困ったことがあれば報告しろよ?」


 なんて男らしい先生だ、つい頼ってしまいそうになる。


 しかしこの先生は俺を腹パンで沈めた女性である。それを思うと俺は正気に戻る。


 俺が弱いか、彼女が強いか。


「そうだな…多分彼女は君が思っているほど、嫌ってはいないよ」


 カチン、と来た。


「…けっ」


 反吐が出る、どうして人というのはこういうことを言うのだろうか?


 俺はにじみ出る怒りを先生に言葉でぶつける。


「何も知らないくせに、そういうこと言わない方がいいですよ」


 俺の発言で先生の顔が強ばるのがわかる。


 以前、俺は「知らないくせに」と言うのならまず話せ。と言ったことがある。


 今はそれに当てはまる、俺の今の行動は俺の発言と矛盾している。


 そんなことはわかっている。だから俺がカチンときた理由は別にある。


 俺は、森谷朱里に対して何もしていない。


 森谷朱里が俺を恨む理由はちゃんとあるが、俺が彼女を憎む理由なんて晩御飯をちゃんと用意しないぐらいのちっぽけなものだ。


 この教師がもしただの教師という立場で今の発言をしたというのであれば、俺はそれを許すことが出来ない。


 彼女の覚悟を馬鹿にして。

 親を殺された怒りを馬鹿にして。

 そんなことすら知らずに今の発言をしたというのであればそれは


 ────森谷朱里に対する侮辱だ。


 小さいことかもしれない、でも軽口ほど叩いてムカつくものなんてそうそうないだろう?


 以上、俺の怒りの説明終わり。


 痛々しい一人演説を終え、意識を先生の方へ戻す。


 先生は俺を指さして、こう言った。


「逆に聞こうか?林田は彼女の何を知っているんだ?」


「え?」


 意外な質問だった、そしてそれは俺の考えをすべてひっくり返す1手であった。


「君はそれを言えるのか?」


「そ、そんなことは関係ない、先生の今の質問はあれですよ、歌い手とかの動画で『下手くそすぎ』とかいうコメントに『じゃあお前動画上げてみろよ』って言ってるようなもんですよ」


 我ながら素晴らしいリターン。ちなみに似たような返しで「レストランとかで料理をまずいという客にコックさんがじゃあお前料理つくれと言っているようなもんだろ」がある。


「面白い返しをするじゃないか…やるな林田」


 クックック、と悪い笑いを見せる。普通に怖いから困る。


 てか、俺から仕掛けたとはいえ、どうしてこんなに口論合戦に発展してしまうんだ…?


 もしかしてこの先生もこういうの好きなのだろうか?

この話いる?

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