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全ての人類に絶望を。  作者: うまい棒人間
君のための2週間
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最低最悪の一日の始まり

ほんとすみませんでした。

 テストまで残り………11日


「…」


 1人、校舎前に佇む。


 いつも通りだ、グラウンドでは運動部の練習で砂埃を巻き上げ、校舎内から吹奏楽部からと思われる音色が聞こえてくる。


 そう、いつも通りいつも通り…!


「…あぁっ!クソがっ!」


 環境がいつも通りでも!俺が全然いつも通りじゃない!


 昨日の出来事が頭から離れないのだ、結城萌花に俺の思考を聞かれた。俺からしたら、あいつの前で絶対に言いたくないことを…!


 そんなのは、その言葉が分かれば結城萌花の頭なら俺が言いたくないことなんてすぐ理解できる。


 だがそれを理解してしまえば、彼女はまた苦しんでしまうだろう。


「むう…なんて言えばいいんだ…」


 言葉が出てこない、俺が彼女になんて言えばいいのか分からない。こんなことはあまりないから俺も頭を抱えている。


 そもそも、どうして俺はこんなに悩んでいるんだよ。


 たかだか人間1人に何本気になってんだ?


 だがそれを言ってしまえばおしまいだ。


「もう、悩んだって仕方ねぇ」


 唾を飲み、頬を叩き、覚悟を決める。そうだよ、別に俺は変な事を思っていたわけじゃないんだ!自信を持ってさぁ行こう!


 ジリリリリリリリリ!!


 イラッ☆


 何この間の抜けた音は。やる気に満ち溢れてた俺を一瞬で消沈させたぞ。


 ポケットの中にいれてる携帯電話が振動している。誰だこんな空気の読めないことしたやつは。


 まぁ俺の携帯電話にいれてる連絡先なんてあいつしかいねぇけど…。


 携帯を取り出し電話に出る。


「はい、林田真希だよ空気の読めないクズ女が」


『な、なんでいきなり罵倒されなきゃなんないのよ!?』


 電話をかけてきたのは同居人森谷朱里、まさかこいつ今日眠っていたの起こさないでいたことにキレてるのか?


 それはどう考えてもお前のせいだろうとは思うが…こういうことでキレるのが我が天敵森谷朱里なのである。


『ところで!今あんた何処にいるの?勝手に出歩かないでよ心配するんだから!』


 お前は俺のお母さんか!そんなこと言われたことねぇから分かんねぇけどな!?


 あとこいつが俺の母親とかマジで勘弁なんだけど。


「あ?学校に決まってんだろ、ちなみに!俺起こしたからな?ずっと寝てたのはお前だからな?勝手に遅刻してろ!」


『え?あんた何言って…あっ、ふふっ、そっかそういう事ね』


 なんか笑われてる、おいそれは違うだろ、俺が笑うほうだろ、お前が遅刻するんだから。


「なに?お前今日学校休むの?」


『ふふっ…そうね、そういうことになるわね。じゃあ電話切るわね。あと最後に言っておくけど今日私9時頃に友達と行くとこあって5時まで帰れないから。じゃあねー』


 プツッと、電話が切れる。


 なんかあいつとんでもないこと言ってなかったか?


「あいつ友達いたんだな…」


いや違うそうじゃない。


 学校休むのにどうして外出すんの?


 あっ、なるほどそういうことか!


「ズル休みだな!あの人間のクズめ!」


 全ての歯車が噛み合った気がした。あいつは今日遅刻をズル休みでごまかすつもりだったんだな!


 …なんで俺の方が真っ当な学生やってんだよ。


「ま、いいか」


 俺は校舎内へと足を運ぶ。


「あれ?」


 何故か、さっきまでなかなか校舎内に入れなかったのだが、今は軽く入ることが出来た。


「…あいつのおかげなのだろうか」


 どうでもいいが森谷朱里と話すと気が楽になる、ような気がする。


 関係上としては俺達は因縁があるが、きっとそんなものがなかったらあいつとはきっと仲良くやれてたはずだと思う。


 一番近くて、遠い存在。


 きっとそれが森谷朱里なのだろうと思う。


「…嫌いだがな」


 ギチギチに固まっていた頬が少し緩むのを感じながら、俺はゆっくりと教室へ向かう。




 ✖✖✖





 いやな、嫌な予感はしていた。


 俺はきっと信じたくなかったのだ、こうなることを。そして自分が馬鹿という事実から目をそらしたかったのだ。


 午前8時45分を過ぎて、カレンダーを見るまで俺は気がつくことが出来なかったんだ。


「…まさか今日が学校休みだったとは」


 もう、なんか泣きそうだった。


 多分結城萌花のことで頭がいっぱいになっていたのか?そしてそのせいで日常生活で使うはずの頭すら使えなくなったのか?


 誰もいない教室、俺は自分の席に座って頭を抱えた。だが誰もいないという恐ろしいまでの静寂がなかなかに心地よい。


 最近ひとりでいることが少なくなって、こう言った時間が久しぶりだからだろうか?


「…今から行っても空いてねぇよな、あいつんち」


 今、8時45分を超えた。 今から家に戻っても家は空いてすらいない。


「5時まで何してりゃいいんだ?」


 チカラの半分以上を奪われている以上、侵略行動を移したところでおそらく失敗に終わる。


 色々試したところ、元々の魔力の多い俺だからこうして生きているが普通の魔術師ならあれだけ吸われたらカラカラのミイラになる。


 生きてるだけましだ、そう思おう。


「…勉強すっか」


 とりあえず勉強をすることにした。今からやって、飽きたら適当に街でもふらつこう。


「あれ?林田じゃないか」


 教室の扉の方から、聞き覚えのある声が聞こえた。


 俺の決意をハンマーで粉々にしようとする輩が現れたのだ。


「…山本先生」


「どうしたんだ?今日は休みなのに、教材でも取りに来たのか?」


 ニヤニヤ笑いながら近寄ってくる。こいつ絶対わかって言ってるだろ。バッグ持ってる時点でなんとなく察してんだろ。


「…今日学校あると思ってました」


「ククク…面白いなお前は」


 チッ、ムカつく。人の失敗をそうそう笑うものでは無い、。ショックを受けてそれが原因でまた失敗してしまうからだ。


「まぁ私も今日学校あると思ってきたんだがな」


「ブフォ!あんたマジで先生ですか?」


 なにそれウケる。笑わせないでくれよ先生。


 先生の表情が変わる、さっきまでのにやにやがまるでない。


 口端がピクピクと動いている。起こっている証拠だろう。


 俺もあの女も、人を怒らせるのが得意なんでな。思いっきり笑ってやるよ、ざまぁみろ。


「…採点」


「調子に乗ってましたすみません」


「よろしい、年上には気を使え。わかったな?」


 俺は権力に屈した。


 そもそも権力をこんな使い方していいのか?教師という生き物はそこまで非道なのか?


「…はい、わかりました」


「よし、それじゃあちょっと付き合え」


 …は?


「付き合うって…俺はまだ未成年なんですけど」


「そ、そういうことではない!いいからついてこい林田!」


 冗談のつもりが、結構本気で怒っている。顔が赤い。


 先生は俺の腕を掴み教室から連れ出す。


 やけに腕力が強い…。握りが強い…。

次回予告

(無言の腹パン)

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