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全ての人類に絶望を。  作者: うまい棒人間
君のための2週間
43/108

最低最悪の約束。

一回消しましたが内容は同じです

「地球の食べ物は美味しい」


 地球に来る前に俺が学んでいたことの一つだ。


 だからこそ俺は今初めて食べる「晩御飯」にとてもワクワクしている。


 森谷朱里曰く「リンゴと蜂蜜」がポイントの料理らしい。


 さすがの俺でもわかるぜ、こいつはカレーライスだ。


 てれびに出てくる「しーえむ」とかいうやつで言っていたあれだ。色はあれだが絶対に美味しいと思ってる。てれびのなかの少年もすっごく美味しそうに食べてたし。


 少し辛めのいい匂いが部屋中に漂う、その匂いは俺の勉強の邪魔をしてくる、なんという最終兵器。


「お、おい、カレーライスはまだか?」


「ふっふっふ、せいぜいお腹を減らしておきなさい、今日は貴方にりんごと蜂蜜をプレゼントしてあげるわ」


「フゥー!森谷朱里さんマジカッケー!」


「…それ気持ち悪いからやめて」


 もう無理だ!こんな匂いの中勉強なんて出来ねぇよ!


 俺は筆記用具をしまい、ノートを片付けて2人ではやけに広いテーブルをカラにする。


 今までご飯を与えてくれなかったからやる必要がなかった行為である「スプーンとコップ出し」を自ら行っていく。


 ついでにお茶もついでいく。なんと役に立つ同居人!


「よし、出来たわよ」


「待ってました」


 やばい、よだれが出てきそう。俺の向かいの席にカレーライスが一皿置かれる。あれは森谷朱里の席だ。だからあの皿は森谷朱里のぶんだ。


「はい、あんたのぶん」


 そして俺の目の前にも一皿置かれる。


 そこには俺が待ち望んでいた初めての晩御飯でありお料理。「りんごと蜂蜜」があった。


「…おい、森谷朱里」


「ん?どうしたの?」


「なにこれは?」


 俺の目の前に置かれていたのは「りんごと蜂蜜」がウリのカレーライスではなく、原型そのままの「りんごと蜂蜜」だった。


 簡単に言えばりんごと蜂蜜が俺の目の前に置かれていた。


「なにって…?晩御飯」


「俺はダイエット中かコラァァ!?」


 なに!?俺に3食与えるとか言ってたのは料理を作るわけじゃないってこと!?何このクズ!?


「嫌ならはっきりいえばよかったじゃない、私は初めから言ってたわよ?『りんごと蜂蜜がポイントの料理』って」


 そう言って彼女はバチコーン!とウインクしてきた。星がキラッ☆としそうなぐらい清々しいものであった。


 当然、そんなの見たら俺は怒り狂う。


「これは!料理じゃ!ないだろ!?」


 どう見たって食材!りんご1個と蜂蜜は料理とは呼ばないだろうが!


「まぁ待ってよ、私は思いついたの」


 野獣のごとく怒り狂う俺を静止してチッチッチと指を振って「少しは頭を使いな」みたいなことを思ってそうな表情をしてくる。


 まぁあの女がそこまで性格悪くないのは知っているから、ただ俺を制止しただけだということはわかるのだが…


「少しは頭を使いな?」


 イラッ☆


「殺されてぇかお前…?」


 魔法のグローブをはめる、この憤怒状態だからこいつをミンチにしてハンバーグにするのもいいかもしれない。と思えるほど俺の頭は怒りで埋め尽くされている。


 暴走状態である。


 流石の森谷朱里もそれを感じ取ったのか「違う違う」

 と身振り手振りで表す。


「は、話聞いてよ!グッドアイデアだから!」


「よし言ってみろ、俺がグッドアイデアと認められない場合お前の両腕を消し飛ばす」


「乱暴だなぁ…そもそもあんたが認めなきゃいいんだからそんなの無理じゃない」


 俺知ってる、こいつの発言を「ブーメラン」というんだろ?


「私ね、あんたが人のためになることや人が喜ぶことをする度にご飯をグレードアップさせていこうと思うの!」


 ほう?なるほど素晴らしい案ですね、人間にとってもいいことだし俺にとってもご飯にありつける。


「両腕を前に出せ」


「ほらぁ!あんた絶対認めないつもりだったでしょ!ほんとはいいなと思ってるくせに!約束守らないなんて人間よりクズよクズ!」


 顔を真っ赤にして怒る!手をぶんぶん振り回しながら怒り狂う!


 …それは俺がするべきだろ。


「…お前はブーメランを投げるというより、自分からブーメランを刺しているレベルだな…」


 なんかもう、いいや…アホらしい。


 俺はこの時、この家から抜け出すことを決意した。何があっても自分の住処を確保することを誓った。


「まぁカレーライスが食べたれば人間のためになることをするのね!」


「…ケッ」



 ✖✖✖




「…で、どうすればいいのかしらね」


「あの依頼人か?」


 シャリシャリとりんごを丸かじりしながら森谷朱里とあの男について、これからどうするか話し合うことになった。


 てか、リンゴうめぇ!?


「やっぱり1週間前じゃダメだよ!何とかして今からでも勉強始めてもらわないと!」


「それは無理があるな」


 大体、一度決めてもらったことを決めたヤツが変更したら不満が生じるんだ。


 その不満を理由にしてあの男は絶対に勉強しない。


 そして1週間前になっても絶対にしない。言い訳をよくやるやつにありがちなことだ。


「あーあ、あんたが変な事言わなかったら良かったのに」


 イヤミめいた口調、沸点の低い俺はつい反応してしまう。


「俺のせいにするってんなら俺は今後一切手を貸さないが?」


「じょ、冗談よ、あの時は本当に助かったわ、感謝もしてる」


 ふん、イマイチ信用ならねぇな。


 こいつは俺のことを少し信頼してくれているらしいが残念ながら俺はそうではないから。


「俺が考える作戦は2つある」


「言ってみて」


 興味深々、と言ったようにぐいっと体を乗り出して顔を俺の方に近づけ来る。


 俺の作戦に期待なんかしないでほしいんだけどな…。


「1つ目はどうにかしてあの男に効率のいい勉強を教えていく」


「無理ね、私は数学は得意だけど他の科目はサッパリって言えるぐらいダメだし」


「俺は世界史日本史国語がダメだ。どれも好きな教科なんだがな」


 好きこそ物の上手になれない。才能と趣味の一致なんて相当無い。そしてもしそれが一致したらそいつはもうお偉いさんになれる。


「別の頭のいいやつを誘おうにも、俺達には人脈はない」


 俺が話せるやつなんて結城萌花ぐらいしかこの学校にいない。でも彼女ならもしかして手伝ってくれるかもしれないな、今度声かけてみよう。


「んー…じゃあ2つ目は?」


「2つ目は運ゲーだ、あの馬鹿より悪い点数を取る馬鹿の誕生を願う」


「…そんなの作戦じゃない」


 だからはじめに言ったろ、期待すんなってな。あと運ゲーとも言ったし。


 その後は無言、俺達は晩御飯を食べ続ける。


 彼女はもぐもぐ、俺はシャリシャリ。


 美味い。


 実は俺も相当今の状況に追い詰められている。


 予想外にテスト範囲で分からないところが多いのだ。


 森谷朱里に聞こうにも、俺とあいつは何故か苦手教科がそっくりそのまま似ている。


 だから本来誰とも関わらず勉強に励みたかったところなんだが…この事件だ。


 このままではマズイ、赤点は絶対にないにしても…!


「人間なんかに学力で負けてたまるか…!」


 シャリシャリとりんごをかじりながらそう思う


「…クソッ!うめぇ!」




 テストまで残り………14日。

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