最低最悪の押し付け合い
ま さ か の 連 日 投 稿
今日も授業全てが終わり、残りはホームルームを残すのみとなった。
いつもは担任の山本先生がテキトーに面白いことを言ってそれで終わりなのだが今日は何やら真面目な話をするらしい。
そのことを朝のホームルームで言っていたせいか普段はうるさいこの時間がいつもより静かになっている。
「よし、それじゃあファイナルホームルームを開始する」
ファイナルホームルームと言うのはただの帰りのホームルームだ、別に深い意味は無い、質問しても馬鹿みたいだからみんな理由なんて聞きはしない。
「今日の話の内容は中間テストだ」
…なに?中間テストという言葉一つでこのクラスの空気が変わった…!?
あたりに漂う緊張感、それを生み出したのは紛れもなく「中間テスト」という言葉。
…まぁ、どういうものかは知ってる。単に授業に出てきたところをちゃんと覚えてるかの確認みたいなもの。
普段の授業はあんまり聞いてはいないけど頭を悩ませるほどのところはない、国語が少し分からないだけだからそこを集中して勉強すればいい。
まぁ、ちゃんと勉強すれば余裕だな。
ガタガタガタガタ
「…おい、何震えてんだ森谷朱里」
「べ、別に?テストに怯えてなんかいないわよ?」
「…お前ほんとバカだな」
「ば、バカって言うな!」
でもまぁ、クラスの殆どの人が今の森谷朱里みたいに震えたり怯えている、日頃の行いのせいだ、ざまぁみろ、人間。
「中間テストまであと2週間だ、馬鹿でもなんでも今からちゃーんと勉強すれば60から70は取れるはずだ、一応出ないとは思うが赤点は36点未満!各自しっかりと勉強するように!以上!」
山本先生はキッパリと言い切った。生徒に冷や汗が流れる。
さて、赤点は補習とかあってめんどいし、俺も帰って勉強やらなんやらするか。
「あぁ、あと言い忘れてた、森谷朱里と林田真希、後で部室に来い」
「「え?」」
チッ、ハモっちまった。先生に呼び出されたことよりこいつなんかとハモることにイラつきを覚えるよ俺は。
「…チッ」
森谷朱里、お前もか。
なんやかんや、考えることは似ているな。だからこそ俺はこいつが気に食わない。
…きっと、あいつもそう思ってんだろ。
✖✖✖
「さてと、なぜ呼び出されたか、分かるか?」
「お悩み相談部」とかいうカウンセリング受けたほうがはえーし、何より情報が漏れやすいから存在意義の全く見当たらない部活の部室で俺達は山本先生に正座をさせられている。
兎にも角にも、上からの山本先生の視線とサイドからの森谷朱里の視線が怖い。
(ちょっと!あんたなんかやらかしたの!?)
森谷朱里が目で訴えてきた、知らねぇよ…お前ずっと監視してきただろうが!
(むしろお前だろうがやるとしたら!この不良!)
(だから私は不良じゃない!そう思われてるだけよ!)
(周りがそう思ってんならそうなんだよ、原因を他人に押し付けるな自己中女め)
(むぅ…!あんたこそいっつも自分が正しいと思いすぎなのよ!自分に酔いすぎよこのナルシスト!)
(ぐぬぬ…!)
(ぐぬぅ…!)
「おい、お前達聞いてるのか?」
お、おっと、また熱くなりすぎてしまった。先生の声がなければこの部屋、もう無かったな。
「はぁ…聞いてなかったか、じゃあもう一度聞こう、お前達、部長はどっちだ?」
「せ、先生!」
「なんだ森谷」
「部長って、このお悩み相談部のですか?」
一瞬吹き出しそうになった、あぁ煽りたい、「当たり前だろバーカ」と馬鹿にしたい。
「あぁそうだ森谷、部員はお前ら2人しか居ないから必然的にどちらかがやらねばならない」
森谷朱里は指を顎に寄せ、なにか考える仕草をする。何考えてんだろう、こいつ。
「早く決めてくれないと色々困るんでな、今ここでどっちがやるか決めてくれ」
「先生」
「なんだ林田」
「部長ってどんなことすんすか」
まぁ、これによって決まるわな、別にめんどくさい事じゃなけりゃ俺がやっても構わない。
「そうだな、今は特に何も無いが…部長同士の会談、というのが1月に1度ある」
「…なんだそれぐらいか、事務的なものがもっとあるのかと思いましたよ」
「私も!はっきり言ってそれぐらいなら林田くんがやってもいいかなって思いました」
おいおいそこのガール、日本語がなってないぜ?
俺達の発言に山本先生が、ふぅ、と安堵のため息をもらす。先生にだってまだやるべき事はあるはず、こんなことで時間を取られたくはないはずなんだ。
だからこそ彼女は安堵した、早く終わると思って、油断した。
「じゃあ、どっちがやるの?」
「「あいつがやります」」
「は?」
全く同じタイミングで俺達はお互いがお互いに向けて指を指す。
「私は絶対にやりません、他の仕事なら考えたかも知れませんがね!」
「俺もやる気が失せました、会議しかない仕事なんてやってられません」
「な、なんで!?それだけじゃない!」
「「問題はそこ!!」」
「「何が悲しくてボッチをそこに放り込むんですか!?」」
「…お、おう」
先生はドン引きしていた、無理もない。
「じゃあ、いっそ二人で部長してみたらどうだ?例外として認めてやってもいいぞ、運動部みたいなキャプテンを選ぶようなものでもないし…」
「「もっと嫌です!!」」
何言ってんだこの教師は!?俺達が仲悪いことぐらい見てわかんだろが。
「何故だ?仲が良さそうに見えるのだが…」
「「どこがっ!?」」
ホント何を見てんだこの教師は!?
「はぁ…まぁいい、今は中間テストの二週間前、テスト期間だ、今は忙しいだろう、それが終わってからどちらが部長か、それとも2人ともやるか、考えてくれ」
「先生」
「なんだ森谷」
「部長が決まらなかったらどうなります?」
「ん?そうだな…」
山本先生は少し考えて、俺たちに指を指してこう言った。
「テスト結果、覚悟しておくといい」
なんかどんどんおかしくなってきたな…




