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全ての人類に絶望を。  作者: うまい棒人間
君のための2週間
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最低最悪の2人

2章のはじまりはじまり、学園黙示録のような内容にする予定です、あくまで予定です

「…明日の朝、6時半に教室に来て…伝えたい事があるの…」


 そんなことを言われたら、普通の人間は一体何を思うのだろうか。


 少なくとも俺こと「リンデン」地球での名前は「林田真希はやしだまき」は告白なんて甘い考えは毛頭ない。理由は少なくとも3つ。


 その1、なぜ朝?

 こういうのは放課後やるべきだろ、俺は違う世界からやってきたが、地球人は告白する時ムードを出すために夕焼け空で行うことが多いと俺が話せる唯一と言っていいほどの人間、「結城萌花ゆうきもえか」が言っていた。


 その2、なぜその場で伝えない?

 これは俺の自論だが何故誘うことが出来るのにその場で要件をはっきり言うことが出来ないのだろうか。

 ちなみに俺はこの話を誰もいない放課後の教室で聞きました。その場で言えよって思います。


 そして最後、その3

 相手が俺の天敵、「森谷朱里もりやじゅり」ということだ。


 はっきりいって、その1と2だけの状況であれば疑うことはあっても期待ぐらいはしたかもしれない。でもその3がマジでデカイ。


 俺はこの森谷朱里と一緒の家に住んでいる、だがそれはよくある幼馴染み同士のヤツとは違い、異世界から来た俺を監視するという理由での共同生活だ。


 さてここで疑問が浮かんでくる。


 なぜ家でその話をしなかったのだろうか、という点である。


 だって普通に考えれば家で大切なことはいえばいいと思う、あいつんち、俺とあいつしかいないからな。


 そこがどうも、分からない。


 結局何故呼び出されたのかも、何故学校じゃなきゃダメなのかも、なぜ家で話さないのかも分からず、俺はとうとうあいつの待つ教室にたどり着いた。


「あれ?あいついねーじゃんか」


 教室の扉のガラスから中を除くが中には誰もいなかった。


「まさか、ただの嫌がらせ…?」


 な、なんて小さいやつなんだ…!俺に色々考えさせておいて結局こんなオチかよ!


 だが、かなり効果あるぞこれ、現に俺は今すごくイラついている。どうやら森谷朱里は人を怒らせるというか嫌いにさせる才能がピカイチらしい。


 今度あいつの上靴に剣山埋め込んでやる…。


「ったくもうつまんねーことに時間使わせんな…ん?」


 教室の周りをよく見ると、なにか四角い箱のようなものが森谷朱里の机の上にあげられていた。


 まさか、これを開けさせるために早く来させたのだろうか?


 俺は教室に入り、箱を確認しに行く、好奇心旺盛ボーイだから仕方の無いことだ。


 置いてあった箱は、至って普通の箱だった。


 何も書かれておらず、軽い。振っても音も何もしない。

 だがそれが一番恐ろしい、あの女のことだから何をしでかすかわからない。もしかしたらこの箱は開けると煙がもくもく出てきて人を年寄りにしてしまうやつかもしれない。


「よし、開けるか…!」


 もしそんな箱であれば俺は窓から投げ捨てる、浦島太郎がおじいさんになったのはそういった箱の存在を知らなかったからだ、だが俺は知っている、だから安心してこの箱を開くことが出来る。あんたのおかげだありがとな。


 俺は今もてる勇気を振り絞り箱を開ける、軽かったからまずびっくり箱ではない、のぞき込みながらそっと開ける。


「…ん?」


 中に、なにか紙のようなものが入っていた、取り出して確認する。


「ふ、封筒ってやつだよな、これ」


 そしてその封筒には「伝えたい事がある」と書かれていた。


「…呼び出して、手紙で伝えるとか、回りくどいにも程があんだろ」


 封筒を開けて中身を見るとこれまた紙切れが一枚入っていた、マトリョーシカかよ。箱の意味ねーじゃん。


「さてここまでやって何を伝えたかったのか…」


 紙には、こう書かれていた。



『何かあると思いましたか?馬鹿ですね。』



 気がついたら俺は紙を握りつぶし封筒は引き裂きそして箱を八つ裂きにしていた。


 沸点が低いと思う奴もいるだろうが、俺もまだまだガキンチョ、マジギレしたっていいじゃない、人間じゃないけども。


 そしてはっきりとした意識のまま、俺はゆっくりと下足箱にまで足を運び始める。



 ✖✖✖



 時は過ぎ朝8時、俺らの学校は8時20分までに校門を潜らなければ遅刻扱いになるため大体の生徒はもう学校に到着している時間だ。


「あっ、おはようございます、林田くん!」


「…おう、おはよう」


 朝のうるさい教室とは裏腹に、静かに扉を開き教室に入って俺に挨拶をしてきた黒髪にお下げの三つ編みがふたつゆってある女性、これが一番最初に名前を挙げた「結城萌花」だ。


 特徴といえば優しい、ということだろうか。こいつも俺も友達はいないからなのかこいつはよく俺に話しかけてくる。


 時々本や漫画を貸してくれるいいやつだ、急に饒舌になるくせを直せば普通に可愛いと思うんだけどなぁ…?


「あ、あのあ林田くん、昨日の本、読んでくれた?」


「おう、あの妹が兄貴に恋するやつな、なかなか面白かった」


「そ、そっか!よかったぁ、好きそうだと思ったんだ!」


 長い前髪で表情は目元が少し隠れてはいたが、しっかり笑ってとても嬉しそうだった。


 こいつはいいやつだから、笑顔になることは別にいいことなんだが…!


「…お前は俺をなんだと思ってんだ」


 シスコンとでも思ってんのか?当たりだよ。


「ヒィッ!ごごご、ごめんなさい!ふかふか深い意味はないんですぅ!」


 急に取り乱して全力で頭を下げてくる、その度にお下げが揺れてなんか可愛い、違う、そうじゃない。


 別にシスコンなのは自分でもわかってるからいいんだ、責めるつもりもなかったしそこまで謝られても困る…?


「林田くんに!き、禁断の愛の良さを知って欲しくてっ!」


 前言撤回、こいつ頭がおかしいぜ!


 犯罪者にでもしたいんですかね…?


「…ふーん」


「はっ!ご、ごべんなざいぃぃぃ!」


「ついに土下座か…」


 なんかもう、ここまで突っ切ると逆に面白いなこいつ。


「いいよそこまで謝らなくても、この本内容も良かったし続き貸してくれよ」


「ほ、本当ですか!?」


 すごい早いテンションの切り替え、涙でぐしゃぐしゃだった瞳は星が入っているように煌めいている。


「そ、それでは明日、持ってきますね!」


「おう、ありがとな」


「はい!」


 彼女は元気よく満面の笑みをして、機嫌が良さそうに自分の席へ向かった。


 実はこいつから借りる本を読むことは俺の中でもかなり楽しみな時間になっている。だからこそこいつとはこれ以上の関係の改善を必要としない。


 変に人のことを知って、嫌ったり嫌われたりするのはもうゴメンだ。


 知らない方がいいことだってある、少なくとも、俺は既にそのことを学んでいる。



 そう、今おそらくこの教室に近づいてきている俺の天敵によってだ。



 ガララッ!!


 うるさい教室をはるかに凌駕する開閉音、友達と会話していた生徒が音の源を見る。


 そこに佇んでいたのは、怒りをその身にまとった小さい悪魔、いや死神、疫病神。


 明るい黄色の背中まで伸びるふんわりとした髪とは裏腹なドス黒いオーラを纏った鋭い目つきのこの女こそ、「森谷朱里」俺の天敵である。


 この学校じゃこいつは俺がいない時に何か問題をやらかしたらしく不良扱いされている。


 だから周りの人間はその存在に恐怖したのか先程までのうるさい教室のボリュームが少し下がった。


 そしてその静かになった教室をスタスタと歩き、真っ直ぐ自分の席に座り、俺を睨んだ。


 なかなか怖かった、暗いところで見たらやばかったかも。


「…おい、どうした、今日はいつにもまして機嫌悪いじゃねぇか」


「ふん、ほんとはあんたにざまぁみろって言えるからサイコーの気分だったんだけどね…」


 やっぱり意図的かよこの女。


 ふと気がつくと、こいつ上靴を履いていない。スリッパだ。


「おい、なんでお前スリッパなの?」


「へぇ…あんたがそれ聞くの?」


 やっべお怒りだ、これはまずい。


 すると森谷朱里はいかにも不機嫌そうに頬杖をついて語ってきた。


「いやねぇどっかの誰だか分からないけど、私の上靴の足の接触面全体に画鋲が貼り付けられてあってね…」


 そう言って彼女はバッグから上履きを取り出し、俺に見せてきた。そこには言葉通り靴の内側の殆どが画鋲で埋め尽くされてきた。


 うっわなんだこれはーいったいだれがやったんだろうなー。


「今不良と思われてるこの私にこんなことが出来る奴がいるなんて驚きね…?」


「とんだ命知らずだな」


「…こんなこと出来るのはあんな馬鹿みたいな呼び出しで朝早くからノコノコ学校に来る人間とは思えない馬鹿ぐらいしかいないわ」


 俺の、大切な何かが切れた。理性が吹き飛ぶ音がして、心の中から何かが溢れ出してくる、そう、これは殺意だ、奴が今出しているオーラと同じ、殺意だ。


「…剣山埋め込まなかっただけありがたいと思うんだなクズ人間」


「くっ…!やっぱりあんただったのね…!あんたのせいでせっかく買ったタイツに変な穴空いたんだけど!」


「知るか!誰がお前の足の裏なんか見んだよ!」


「言ったわねこのポンコツ魔法使い!」


「あ!?やんのかコラァ!」


「上等よ!今日であなたの異世界生活終わりにしてあげる!…と言いたいとこだけど」


 ふぅ、と一つため息をついて守屋朱里は人差し指を周りに向ける。


 熱くなって気が付かなかったが、今の俺達は注目されていたようだった、このまま戦いを続けてたらどっちが勝ってもどっちも死んでいただろう。


「…OKだ、分かったよ、ここではやらない約束だったしな」


「うん、わかればいいのよ」


 そう言って彼女は自分の上靴を回収して、机に寝そべった。


 こいつよく寝るな、寝る子は育つを信じているのだろうか。


 寝ているこいつをよそに、ようやく8時20分、チャイムが鳴る。


 これが、俺とこいつの一日の始まり。


 最低最悪な関係と化した俺達の生活はここから始まっていく。

今後の予定はノープランだ

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