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全ての人類に絶望を。  作者: うまい棒人間
侵略者は頭を抱えて、疫病神は恋をする。
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侵略者は叫び、己の運の無さを理解する。

「そろそろ時間か…、今日一日ありがとね!」


ようやくこの時間も終わった。感想、めっちゃ疲れた二度とやりたくない。


「二度とやんねぇからな」


「林田くんが私を怒らせなければいいんだよ?」


「それは無理だな、お前のことは馬鹿にしかできないからな」


「やっぱムカつくなぁ…!いいですけど!」


拗ねたのか森谷朱里はそっぽを向いてしまう。


「…あれ?」


「あ?どうした?」


森谷朱里は空を指さす、なんだ?UMAか?


「あれもしかしてUFO?すごい私たち!発見しちゃったよ!」


きゃいきゃいはしゃぐんじゃねぇみっともない。UFOとか簡単に見られてたまるかよ、宇宙人さんだって見られない工夫ぐらいしてんだろが。


「ほらほら!あそこあそこ!」


「引っ張んな!ったく…どこ…だ…よ…!?」


「あれ?どしたの林田くん」


「あれは…!!」


…忘れもしねぇ、あの形、そしてあの色。


「見つけたぞ、裏切り者…!!」


無意識に、考える前に体が動いていた。あの円盤に向かって真っ直ぐ、ただ真っ直ぐに。


 「ちょっ、どこ行くんですか!?」


 「ついてくんな!絶対来るんじゃねぇぞ!?」


 「ひっ…」


 …くそ、冷静じゃない、落ち着け、こいつに八つ当たりしてどうすんだよ。


 「…別に何でもない、悪いな、急に切れちまって」


 「うん、それはいいんだけど…」


 急に俺の雰囲気が変わったから、何か困惑しているようだ。でも、こうでもしないとお前はきっとついてきてしまう、それは、何としても避けなくてはいけないこと。


 この事情にお前ら地球人は関係がない、だから俺の事情に巻き込みたくない。

 それに、奴と戦うことになれば、俺はこいつに正体を明かすことになってしまう。


 それだけは避けなくてはいけないんだ。


 「林田くん…大丈夫?悩みがあるなら力になるけど」


 「悩み?…そうだな、さっきまではあったな」


今はそんな悩みよりもあの飛行物体だ、奴を破壊しないことには何も始まらない。


「…取り敢えず森谷、お前は絶対についてくるなよ」


それだけ言い残して俺はまたあの飛行物体を追いかける。


 俺の別の目的を果たす、そのために。


 

✖✖✖



「裏切り者」


俺が小さい頃からその男はそう呼ばれていた。


俺は信じ難かった。


そいつは俺と仲良くしてくれた唯一の男だったから、俺もあの男を尊敬していたからだ。


だがある日突然その男は姿を消した。どうやら違う世界に行ったらしい


俺達の武器を全て奪い去って。


裏切られた。


尊敬は憎しみに変わり、あの男を絶対に俺たちの世界に連れ戻し…。


連れ戻し…?


何をさせたいのだろう、分からないがとにかくあいつは許せない。


そして今、俺はようやく見つけた。


×××



「くそっ、見失っちまったか…てかなんだここ、森の中じゃねぇか…」


奴を追って数10分、俺は残念ながら標的を見失った。俺は今よくわからない雑木林の中にいる。


この雑木林の中に入っていくのは見えたからそれに反応しておってしまった結果だ。


「しかしなんだこの雑木林は」


この雑木林には「熊に注意!」だとか「ヒルに注意!」だとか「足元注意!」だとかまだまだ色々看板がたてられている。


こんなもんなのか日本の森というのは?というかそこまで危険なら看板もだけどまず看板より対策ぐらいたてろ。


「…なんでこういう時にこんなこと思いつくんだ俺は…」


俺のセンスに俺自身が脱帽、自分の天才っぷりに感服して俺はまた標的を探す。




そして何分か経って俺は何か奇妙なことに気がついた。


「今の今までそんなに気にしてなかったが…」


この空間、何かがおかしい。景色が一向に変化しないのだ。


いくらこんなとこでもここまで歩けば景色は変わるはず。ずっとずっと、同じ大木が連なり、同じ竹が生え、地面のぬかるみも変わらない。


「どうやら、見つかってたみたいだな…」


ただ同じところをグルグルと回っている訳では無いのだ。となるとなにか不思議な力で幻影を作り出しているということになる。


歩いても進まない力か、別の景色を同じ景色に見せる力か。


まぁ、どっちにしろ誰かの介入が存在しないとこの状況に説明がつかない、ということだ。


「そして俺の動きを封じるためには俺のことを観測してなければならない…」


そして今も、きっとどこかで俺を見ている。それを発見さえすればこの状況も変化するだろう。


上を見る、木で遮られていて星すら見えない。


下を見る、さっきまでかろうじて見えていた足跡すら今はもう見えない。


右、左、異常なし。残された選択肢はひとつ。


「そこだっ!!」


残るは後ろ!


俺は振り向きざまに思い切り持っていたペットボトルの水をなにもいない空間に弧を描くようにぶちまけた。


そして意識を集中させる、次の一瞬を見逃さないために。


撒き散らかした水は当然何にも接触せずに重力に負け、ビシャビシャと地に落ちる。そのはずだ。


だが、不思議なことが、俺の思っていたことが起こった。1箇所だけ空中で音を立てて水が弾けたのだ。つまりそこには見えない何かが潜んでいる。ということ。


既に景色は暗く、通常の人間ならば見逃してしまうこの一瞬を、俺は絶対に見逃さない!!


「逃がさない!」


水の弾けた位置に走る、迷彩性能を持っているならば、これを逃したらおそらく俺はこいつを永遠に捕まえられない。


手を伸ばす。手の甲に何かの感触を覚えた。


「ビンゴだ」


そのまま俺は目に見えない物体を掴む、その感触からこいつは機械、ということがわかる。


本来であればこういう盗聴系のものはさっさと破壊しなければならないのだが、俺が壊さないのはこれを通じて伝えなければいけないことがある、壊すのはその後。


長年貯めてきた怒り、今ぶつけてやる!


「出てこい!裏切り者!!いや…」


「レオルドォォォォォォ!!!


俺の渾身の叫びはここ一帯に響き渡った。




がさり、俺の背後から木々を掻き分ける音が聞こえた。遂に会えるのか、そう思うと笑いがこみ上げてくる、俺はゆっくりと音のした方へ体を向ける。


「会いたかったぜ…ドク…?」


「?」


そこにいたのは、それは人間とは思えない巨体、そして人間とは思えないほどの黒い毛並み、人間とは思えないほど鋭い爪を持った生き物。初めは俺の探しているやつが変装しているのかもしれないと思ったが、冷静になればこいつが人間じゃないことぐらい容易に理解出来た。


まぁ、うん、熊です。熊が現れました。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」


俺は驚き、全速力で熊を背に走り出した。



今後も遅れます

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