表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全ての人類に絶望を。  作者: うまい棒人間
侵略者は頭を抱えて、疫病神は恋をする。
24/108

弱いものは去り、今までを取り戻す。

「え…?」


リーゼント野郎は何が起こったのかよく理解出来ないらしい。こんな体験出来るやつなんてそうそういないぞ、よくこの痛みを噛み締めておけ。


「ぎ、ギャァァァァァァァァァァァ!!!!!」


断末魔、人間の声とは思えない叫び声をあげ、奴は地に伏せた。


「お、おい何があった!!…ヒィッ!?」


片割れの金髪くんが急にうずくまった奴のもとに駆け寄る、そして奴の両腕を見て、この世のものとは思えないものを見て驚いたような声を上げる。


「さてと、俺の話を聞いてもらおうか?」


「ひ、ひぃぃ…」


あれま、やりすぎたか?もう足が震えてるし口もガチガチしてる。さっきまで俺の後ろにいた結城萌花を思い出させる小動物っぷり。


…俺よりでかいくせに小動物というのはどういうことなのだろうか…?


「何もんだお前…」


「そんなんどうでもいいでしょ、これ以上お前らの骨を粉末状にしたいわけじゃないからさっさと消えてくんない?」


「ひぃぃ…」


残った金髪くんが手首を砕かれたリーゼント野郎を担いでそのままどっかへ消えていった。

まるでお化けでも見たのか、それぐらい慌てて逃げるように消えて消えていった。


まぁ、一件落着でしょ。これで俺が学校から呼び出しくらっても同じ学校の目撃者が二人いるわけだし、俺が悪いということにはならないはず。


あとは、森谷朱里だな、どうしてこいつはあんな雑魚どもを蹴散らさなかったんだろうか?お腹でも痛かったのかな?


「おい、森谷さん、大丈夫…」


「林田くんっ!!」


「うおっ?」


…なんか急に縋るように抱きつかれたんですけど…、これはどうすればいいのかな?振りほどいたらそれはそれで怒られそう…。


しかもよく見ると泣いてやがるし、もしかして怖かったのだろうか?金髪くんとリーゼント野郎のことが。


「…もう、買い物って気分じゃねーよな…」


「……」


無反応、ただ、ぐずぐず泣いているだけ。


「帰るか?」


「……うん」


…ちぇっ、ものの30分前だったら大はしゃぎしていたところだったのに、こんな状況じゃ喜べねぇよ…。


「…林田くん」


「どうした?やっぱお腹でも痛いのか?」


これでマジでそうですお腹痛いとか言うようであれば俺はこいつの手首すら砕くつもりである。


「ありがとう」


半分泣いて、半分は笑って。彼女は小さな声でそう言った。


…なんかな、俺は感謝なんてされたことあんまりないんだよ、だからはっきりそう言われるとかなり恥ずかしいんだ。


「…別に、お前のためにやったわけじゃあないよ。勘違いすんな」


「そ、そっちも勘違いしないでよね、あんな連中ぶっ殺…ぶっ飛ばすのに林田くんの力なんて必要なかったんだし」


…じゃあなんで攻撃しなかったし?


でもいつもの調子が戻ってきたのか、ようやく俺から離れてくれた。


まだこいつとあって日は浅いがこういう生意気なお前じゃないとこっちも気分が悪い。ムカつくお前が丁度いい。馬鹿にしがいもあるしな。


「さてと、じゃあ帰るか」


「あっ、ちょっと待って」


帰り道に向けて歩き始めようとした俺に声をかけて引き止めてきた、今までだったらえり引っ張っるか俺の呼吸を止めるかしてたのに、今回はなんか良心的だな。さっきの件で少し丸くなったのかな?


「なんだ?帰りたくないとか言っても無駄だぞ?お前がさっき帰るって言ったんだからな」


「ねぇ、そもそもなんで私があいつらに目をつけられたんだと思う?」


…空気が変わった…!?


「ねぇなんでだと思う?」


これはまずい、俺もすっかりその事を忘れていた。多分森谷朱里は「1人だったから」狙われたんだろう、けど本来あそこには「2人がいるはず」だったのだ。


多分2人いれば森谷朱里は狙われなかったかもしれない。


つまりあの女が言いたいのは「今回の原因はそこにいるはずだった2人目」だと言いたいのだ。


「ったく、誰だよそんな時間を守らない白状者は」


「今なら指1本で許してあげようと思ってるわ」


指1本かぁ、ま、妥当といえば妥当だろ。むしろ俺は頭蓋骨粉砕まで視野に入れていたしな。甘いくらいだ。


「ごめんなさい」


普通の人間なら殴り倒している。でも今回は人間のレベルが違う。下手すりゃマジで殺されるレベルの強人、またの名を狂人。ここは指1本で手を打とうと思う。


「…他に言うことは?」


「左手でお願いします」


利き手は守らなくてはいけないからな。


「分かった、じゃあ左手の小指以外を全て砕く」


「おい待てお前今なんてった」


流石にそれはいけない、こいつ警察に捕まりたいのか?そうまでして俺を殺したい理由って何!?


「じゃあ外でやりますか」


「くそっ!助けなきゃよかった!!」


こんな女無視するべきだったよやっぱり!得することなんてないし、むしろ損しかしてねぇじゃねぇかやっぱりよぉ!!


「フッ!!」


「ごふっ!?」


自然な流れで俺に腹パンを食らわせ俺が怯んだところをまさに慣れた手つきで俺の手足が縛られる、おいそのロープどこから出したとツッコむ余裕もなくただされるがままになっていた。


警察!警察を呼べ!


そしてついに彼女が俺の指に手をかける。さらば右薬指…。とら覚悟を決めたその時だった。


「ま、待ってください!朱里ちゃん!」


「ん?あなたは…」


「ゆ、結城!!」


結城萌花が薬指をへし折ろうとしていたところを間に割って入り止めてくれた。ありがてぇ…こいつほんといいやつだな、地球人とは思えない。そして何より今から薬指をへし折ろうとしているこの女と同じ性別とは考えられない。

考え方が逆か…


「え、えっと、林田くんがここに来るのが遅れたのは私が勝手に暴走してべらべらと長い間くだらない話をしてしまったからなんです!私がいけないんです!林田くんをどうか許してあげてください!!」


それはもう、土下座のような勢いで頭を下げて謝ってくれた、そのヘッドバッド食らったら脳震盪起こしそう。その真剣な誤りっぷりにどうやら森谷朱里も困惑しているようであった。


とりあえずナイスフォロー!ありがとう結城萌花!命までとはいかないが痛い思いしなくてすんだわ…。


でも今回の件、俺だってちゃんと悪い、その謝罪や罪滅ぼしはちゃんとしなきゃならんだろうな。


あと、結城萌花には今度なんかお礼しないとな。恩には恩で返すのが俺の流儀だ、俺の信念は変わらない。











次の話は早く出せると思います

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ