表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全ての人類に絶望を。  作者: うまい棒人間
侵略者は頭を抱えて、疫病神は恋をする。
21/108

やはり、結城萌花は優しすぎる

「あぁ、一人って楽だ…」


ようやく20分の自由を得た俺はその時間をどう有効活用するか考えていた。


この日本の文化を学ぶもよし、歴史を学ぶのもよし、なんでもよしである。


だが、俺の答えは決まっている。


「マンガマンガっと…」


俺は当然のようにまっすぐに漫画のコーナーに向かった。もちろん狙いはさっきのライアちゃんのような可愛い女の子が出る作品。むしろそれだけ。


「こ、こんなに量があるとは思わなかったな…」


漫画だけで部屋が埋まるのではないか、そう思わせるほどの漫画がそこにはあった、ここにいればまず退屈はしないだろう、立ち読みもできるし。

え?立ち読みが邪魔になる?細かいこと気にしてると禿げるから気にしません。


「あれ?」


そこで俺は見覚えのある後ろ姿を見かけた。黒い三つ編みの女の子を。


「結城萌花か?あいつ…」


何してんだあいつは?

俺は気になって彼女の行動をしばらく見ることにした。


「んーっ!んーっ!」


取りたい本があるのだろうか、背伸びして思いっきり手を伸ばしている。だがまるで身長が足りない。あと15cmほどの距離が空いている。


「はぁ…違うとこ行こう…」


自分の力ではもう無理だと悟ったのかとぼとぼと別の場所へ向かっていった。

っておいおい!諦めんなよ!?


「ん?今の声は…?」


し、しまった、声に出てたか?


結城萌花は声のした場所を探すようにキョロキョロとあたりを見渡す、そして後ろを向いた時、俺の姿を見つけてしまう。


「は、林田くん!?」


「よ、よう」


「どうして?ここにいるんですか?もしかして本を買いに!?」


本屋に行く理由はそれしかないだろというツッコミは控えよう。


「まぁ、そんなとこかな」


「奇遇ですね!私もなんです」


「ふーん…どんなの買ってんの」


興味本位でそう聞くと彼女は急にしょんぼりとした。

お、おい、俺なんか悪いこと言ったか…?


「実はですね…自分のミスで布教用を買い忘れていたんです…」


え?今なんて言ったのこの子?


「布教用って何…?どういうこと…?」


「あっ、すみませんでした自分勝手に話を進めてしまって、それじゃあ説明しますね」


握りこぶしを作って、これからの始めるぞ!みたいな感じの表情をする。まて、説明を求めた訳では無い!まずいこいつの話は長いから俺の自由行動の時間がパァになってしまう…!?


「で、できれば手短に頼む」


「あっはい、分かりました」


こほん、と一息ついて、彼女は続けた。


「私は漫画を三冊以上買うんです、何故かわかりますか?」


「なんで三冊以上買う必要があるんだ…」


分からねぇ、人間ってこうなのか?だったら大人しく三冊セットにしろよ1冊じゃなくて。


「ふふ、分からないみたいですね、理由は用途に分けられてるからです」


「よ、用途ぉ?漫画って読む以外に活用方法あるのか?」


「何を言ってるんですかっ!」


おぉ!?この女にしては珍しく大きな声!?少し身じろぎしてしまった。それほど譲れないものなのだろうか…?


「一つは鑑賞用!一つは保存用!そして一つは布教用です!ちなみにその他はお布施」


…人間がおかしいのか?それとも俺が間違ってるのか?それともこの女がおかしいのか?


「…1冊だけでいいだろうが」


「だから何を言ってるんですか!?」


こいつ…本気だ…!

本気で言ってやがる…!?


「もし1冊だけなら、友達に貸した時どうやって自分が読むんですか!?」


「な、なるほど…なんか納得してしまった」


確かに、そうだな…、自分が読みたい時にないって言うのは少し嫌だ。でも三冊買うのはどう考えても頭がおかしいとしか言いようがない。


「でも、俺に貸すだけだったら保存用?ってやつで構わない、読みたいだけだしな」


「そ、そんなこと言わないでくださいよ、人に貸すんですからちゃんとしたものを渡さないと意味が無いんですよ。」


うーん…何と言うんだろう…?

こいつは優しいというか、優しすぎるな。多分友達がいない口と見た。

俺が漫画に興味を持ってくれたからこのチャンスを逃したくないっとでも思っているのだろう。別にそこまで気を使わなくてもいいんだけどな…。


そもそもそんなことされると俺がお金でお前と仲良くしてるみたいな関係になりそうで俺は嫌だ。


俺はお前の優しいところは好きだけど、そこまで気を使われるとなんだかこっちがイライラするんだよ!


「…そんなことしなくても、俺はお前から貰うものを嫌がったりしねーよ」


俺のその一言で結城萌花の体が急にビクッとはねる。どうやら俺の考えは久しぶりに当たったらしい。


うおおおおお!!やったぁぁぁぁぁ!!!


最近マジで考えが当たらないから俺は馬鹿なんじゃないかなとか思ってたんだよ。これで一安心だわ。


「そう、ですか…ありがとうございます。でもやっぱり三冊は持っていたい…!!」


何がお前をそうさせるんですかね…。まぁそこまで確固たる決意があるならもう何も言わんけど。


「そうか、それならそれでいいんじゃねーの?やりたいようにやれよ」


「はいっ!そうさせていただきます!」


ご丁寧に深々とお辞儀をしてにこりと笑った。これだよ、こういう純粋な笑顔が可愛いんだよ。森谷朱里のなにか含んだ不純物みたいな笑顔とは何かが違う。


…あいつもちゃんと笑う時はあるけどな。




「さて、じゃあ明日楽しみにしてるわ、じゃあな」


こいつともう少し話したい、という思いもあったがトレはとりあえず残り15分を自由に過ごすことにした。こいつとはまた明日会えるし、俺は「今」というかけがえのない「時」を精一杯生きるんだ。じゃあな!


くるりと方向転換、彼女に背を向け歩き始めようとしたその時だった。


「あっ…あぅ…あの…」


…おいおい、なんだなんだそんな悲しい声出して、待ってほしいのか?


振り向いたら彼女の顔が見えるだろう、おそらく悲しそうな顔しているに違いない。そんな顔されてたら俺は、きっと優しくしてしまう…!


何故なら!俺は!優しすぎるから!


「はぁ…もういいや」


何故だろう、この世界に来てから俺は心が弱くなったのかもしれない、いや、人間に近づいてきたという方が正しいか?


俺は自分の15分を捨てることにした。


「…まだなんかようか…?」


「えっいや、あの、お願い、というかなんというか…」


急にモジモジし始めるのか…、さっきまでのあの漫画を語るときの熱いお前はどこへ消えた?


あーもう…俺を引き止めてる時点でな、君がやりたい事なんてなんとなくわかるんだよ。

しょうがない、今回は手伝ってやろう


「あー、そういえばおすすめしてくれた本を見に来たんだったー、どこにあるんだろうなー」


「はっ…!まっ待ってください!!」


俺の制服の裾を指できゅっと握り、俺の動きを止めにかかる、森谷朱里だったらきっと俺の後頭部を床に叩きつけるまであった。


「い、一緒に回りませんか?おすすめも説明したいんで!お願いします!」


顔を真っ赤にしながらまたもや深々とお辞儀をしてきた。

ちっ、しょうがねぇーなぁー!!ここまで本気で頼まれたら断われるわけねぇーよなぁー!!


「じゃあ、よろしく」


「はいっ!ふつつか者ですが、よろしくお願いします!じゃあおすすめの紹介をします!」


そう言って彼女は走り出した、そして俺はそれについて行く。


15分だけだが、俺にとってはいい時間になることを願いつつ、俺は別の女性との行動を始めた。




補足 考えがわかるようになった、ということはリンデンが人間を理解してきた、ということです。


ストックがなくなりました、投稿遅れるかもしれないです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ