俺のせいで部員は全員やめており、やはり疫病神からは逃げられない
二日おいてすみません…今回からちゃんと毎日投稿しますんで…
「ほう、入部希望者かいいぞいいぞー私は嬉しいぞ」
山本先生がはっはっはと、高らかに笑う。どうやらこの人はこのお悩み相談部の顧問? という存在らしいな。
「それではこの紙に自分の所属する学年とクラス、そして名前を書いてくれ」
そういうと、二枚の「入部希望」と書かれている紙を俺ら二人に配る。
どうでもいいけど、あんた俺らの担任だろ? 今あんたが言ったこと、全部あんた知ってるだろ、なんで俺らが書く必要あるのだろうか。
本人が目の前で入部したいと言っているのだから(俺は言っていないが)こんな紙書かなくてもいいじゃないか。面倒くさいな。
そんなことを言っていても、それがこの世界のルールというのであれば、まだ騒ぎは起こしたくはない、おとなしく従うとしよう。
俺は名前の欄に一度「リンデン」と書こうとして、思いとどまり「林田真希」と書いて山本先生に渡した。読み書きは訓練済み、バッチリ。
「ところで山本先生、さっき泣きながらどっかへ走って行った人は何があったんですか?もしかして部員!?」
「……あぁ、彼女はな、最後の部員だったんだ.しかも部長だった人だ……」
へ?最後?
ということは今この部活は俺達二人しか居ないのか?それはかなりの好都合だ、あんまり人と関わりたくないし、最悪こいつと二人の方がまだ落ち着ける。
不幸中の幸い、というやつだな。失礼かもしれないが、辞めてくれてありがとう。みなさん
「な、なんでやめてしまったんですか!? 大勢いた方がよかったのに……」
森谷朱里がしょぼんとした顔でそう言った。俺からすればこの状況は願ってもいないぐらいいい状況なんだけどな。
「いいじゃねぇか、俺は大勢いるより2人きりの方が気楽だぜ、お前がいるから退屈は絶対にしないだろうし」
「へ?」
俺がそう言うと、森谷朱里はポカンとして俺の方を見つめた、心ここにあらず、といった感じだ。
それに心なしか顔が少し赤い、まずい、またなんか怒らせてしまったか? これ以上踏みつけられたら流石に命の保証は出来ない。自分じゃないぞ、お前のだぞ。
そう思いつつ俺は腰を低くして臨戦態勢をとる、すると彼女は我に返ったのかハッとしてふんっと俺から目をそらした。
「……そ、そんなこと言って、さっきの重い発言は許さないからね!」
あれ? とりあえずは怒ってはいないようだ、まぁなんだ、よかったぜ、まだ学びたいこともあったしな、こんなに早く正体をバラしたくはなかったし。
「……ありがとう」
髪を指でいじりながら、照れくさそうに彼女は笑った。変なやつだな、感情の起伏が激しいというかなんというか。とりあえず機嫌がまた治っただけでもよしとしよう。
……というか、殺戮すべき存在の心配してどうすんだよ俺、やはり優しすぎるというのも罪だな。はっはっは。
「こほん、もういいかね?」
こちらの会話をバッチリ聞いていた山本先生はわざとらしく咳を一つして様子を伺った。
「あっはい、大丈夫ですよ」
それに何事も無かったかのように森谷朱里はくるりと先生の方に体を向ける。先生も準備が出来たとみなしたのか、話し始めた。
「実はな……一週間ほど前にこの部屋で変態が表れたらしいんだ……」
「……」
初めの一言で俺は金縛りにでも受けたかのように固まってしまう。もう、なんとなく分かったからだ、彼女か辞めた原因が。
「へ、変態!? それどういう事ですか!?」
「んー、それは私にもよくわからない、さっき駆け抜けたのが唯一の目撃者らしいんだが……どうにも目撃情報が曖昧でな、記憶も混乱しているようで分からないんだ」
「どんな格好してましたか」
なんか森谷朱里の表情が急に真剣になったぞ…?なんだこいつ、まさか、変態のことが好きなの?
「とにかく彼女が言うには怖かったらしい、そして男で全裸だったという」
はい確定ー!! それは俺です! 間違いありません!
ようやく俺はこの世界に来て喜ばしいことに出会えた! 俺は家に帰ったら喜びのダンスでも踊ろうかななんてことを考えた。
「……違う、か」
俺が今にも笑いだしそうなのと裏腹に、森谷朱里はこれまでにない顎に手を当て真剣な表情でなにか考え事をしていた。
けどそんなこと俺には関係ない。大して気にもとめず、俺は彼女に向けた目線をすぐに切り替えた。
「まぁ、そんなこんなで、この教室を怖がってみんないなくなってしまったんだよ、このままではまずい。部員が誰もいない部活の顧問の先生になんてなりたくないぞ……」
うわぁ……正直だなぁ……。
「そんな時に現れたのが君たちだ!感謝する!」
そう言って山本先生は俺達の手をギュッと握りしめる。おいおい、いよいよやめられなくなっちまったぞ、いや辞めるつもりもなかったけどもさ。
「というわけで入部ありがとう、これから宜しくな、朱里君、真希君」
慣れない呼び名に少し戸惑ったが、「「はい」」と一言言った。返事は大事。
だからなんでこいつと声がハモってしまうんだよ。やめてくれよマジで、仲良しだとか思われたくない。
俺が嫌そうな顔をすると、森谷朱里ではなく、山本先生が俺をジロジロ見ていた。
「……似ているな、やはり」
「どしたんすか、先生」
最近の女はよく悩むのか?ブツブツと独り言して、家でやれ家で。気になっちゃうだろうが。
「い、いや、なんでもないんだ、とりあえず今日のところは帰っていいぞ?本格的な活動方法とかは明日教えるから」
「わかりました!ありがとうございます!!」
森谷朱里は元気よくそう言って山本先生に深く深くお辞儀をした。
「……ありがとうございます」
ありがとうというのは感謝を伝える言葉である、俺は特にこの人に感謝しているわけでもないのでぼそりと、そして皮肉も込めて呟くように感謝した。
まぁこの人耳いいからな、聞こえんだろこれぐらいでも。
「うむ! それではまた明日会おう! では!」
それだけ言うと先生は鼻歌交じりでこの教室を出た。ちなみに廊下に出たあと先生は楽しげにスキップをしていました。……悔しい、ほんの少しだけ可愛いと思ってしまった……!?
そして、そんなことを思いながら、また俺たちは2人きりとなってこの教室に佇んでいた。
「ま、今日はなんの活動もないみたいだし、俺はもう帰る、じゃあな森谷朱里」
俺が彼女の脇を通って、そのままダッシュで廊下を駆け抜けようとする、これがラストチャンスだ! この逃走が成功すれば家に帰れるぞ! 待っててレストちゃん!!
だが、そんな願いも虚しく。
「どこいくの?」
森谷朱里に服を引っ張られて逃走は失敗した。だから、なんでこいつはこんなパワーがあるんだよ!?
どうやら俺の転校初日の戦いは、まだまだ終わりを迎えることは出来ないようだ、と俺は彼女に引きずられながらそう思っていた
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