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全ての人類に絶望を。  作者: うまい棒人間
侵略者は頭を抱えて、疫病神は恋をする。
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疫病神の効果により、評価を下げて高校の本質を知る

「ねぇねぇ林田くん!前の学校で何してたの!」

「特技とかは!?」

「野球に興味無い!?」

「サッカーとかは?」

「絵とかうまそうだけど……」

「家庭的な男子になりたくはないか?」

「頂の景色を見てみたくはないか?」


うるせぇぇぇ!! どうして自分の事情ばっかりでこっちのことを考えない! 俺がせっかく話しかけんなオーラ出してるのにそれを察してくれよ。


うん、ごめん俺も無理言ってる。


俺の自己紹介が終わり、休み時間となった今、急にクラスメイトが俺の方に集まりだしてこの質問攻めにあっている。人生初めての経験のため、俺はすごい困惑中なう。


ところで最後の頂の景色ってなんだよ。登山部か何かなの?


 後々分かったがこの勧誘をした人はバレー部らしい、バレーボールというスポーツは知っていたが、それと頂の景色と何が関係があるのか、それだけは分からなかった。


「あ、いや、その」


こううるさいとなんともやりにくく、言葉が上手く出てこない、そもそもこんなに人が俺の近くに集まることなんて初めての経験なのだから。


そんなふうに困っていたところに助け舟をだそうとしてくれたのは、唯一の知り合いである疫病神改め森谷朱里。


「ごめんね! この人もう行く部活決まってるの!」


ぐいっと俺の腕を引っ張り、森谷朱里は俺のことを自分のものだと主張するような行動だ。


このような体験は俺の家でもよくあった。俺が外に出ようとしたら妹が「行かないで」と言って頑張って俺を止めようとしてくるのだ。俺はその日の予定をキャンセルし、妹と遊びました。ごめんね! 俺は予定よりかわゆい妹を優先する男だ!


こいつも妹と同じ女性……でもこいつはドヤ顔で俺のことを助けたような雰囲気を出している。心底気に食わない。


ちなみにこの光景を見て周囲の人は少しだけ引いていた。「なにあの二人……」みたいな声も聞こえる。


こいつは俺の評判をどれだけ下げれば気が済むんですかね……? でも一人でいたい俺にとっては好都合かもしれないが。


しかしなかなかイカれたやつだ……人から嫌われることを呼吸をするかのように行ってやがる……。


「だよね!林田くん!」


にやーっと森谷朱里が笑った。それはとても微笑ましい表情で、俺の表情も少し緩んでしまった。


「ウザイから手ぇ離せ」


「酷いっ!!」


緩んだのは表情だけだ、俺の心はそんな程度で揺るぎはしない、妹呼んでこい妹。




×××




クラスの質問攻めに耐え抜き、 ようやく本格的な授業が始まった。教科は世界史、というものらしい、教科書を読むと人間の生い立ちについて学ぶことができるようなので、少し興味が出てくる。


しかし、もっと気になることがある。どうしてこのクラスメイト達はこんなにもぐっすりと眠っているんだ…? 授業中じゃないのか?


隣の森谷朱里もぐっすりだ。でも先生は注意すらしない。そのまま授業を進めている。


「聞いてみるか……おい起きろお前」


「ふにゃ?」


なんて情けない声を出すんだ、恥ずかしくないのか。


俺は何故教師はあんなことをするのかという疑問を森谷朱里に聞くことにした。誰でもよかったが初めての会話がこんな質問になるなんて、向こうも嫌がると思ったからである。


「なんでみんな寝てんの? 授業中だろうが」


 「はぁ? ……あなたとんでもないエリート高校にでもいたんですか?これが本来の高校ですよ」


 衝撃の真実を知ってしまった。おそらく今日一日で一番驚いた。


 でも、授業中寝るというのはひどいと思わないのだろうか、先生、頑張ってんぞ、名前知らんけど。


 やはり人間って屑だな。せっかくお前らのために頑張って授業してやってるというのに、まぁそれが仕事なんだろうけど、それにしてもひどい。


 「つまんない授業するほうが悪いんだよねぇー」


「あ?」


 ちょっとイラっと来た。俺こいつにイラついてばっかだな。でもイラつかせるこいつもまた悪い。


 「そもそも勉強がつまんないんだから授業もつまんなくて当然だろ、そもそも面白いと思える授業なんてまじめにやってない証拠だろが」


 つまんないから、っていうのは言い訳に過ぎないと思うんです。多分先生だって面白い授業をしようと思えば先生になったぐらいなんだからできると思う。頭いいんだろうし。


 だけどそれをしないのはまじめにやらないと勉強にならないことを知っているから。生徒のためを思ってつまんないことをしているのだ。


 じゃあ面白くて身になる授業をしろ、というかもしれないがそれはちょっと酷ではないだろうか。


「結局よ、あの先生は人間の未来のためにあえてつまんない授業をしてくれているんだと俺は思うね。感謝してしっかり聞いてろ」


「た、確かにそう思うと失礼に思えてきた……ちょっとがんばろっかな……えらいなぁ林田君は」


 そう言って森谷朱里は眠そうな瞳を必死に開いて、授業に復帰した。しかし何秒語っただけでコクリコクリとまたノックアウトしてしまった。一度寝てしまうとこうなることが多い。


 まぁしかたない、と思って、俺は授業を聞き、ノートにまとめる。その時ふと思った。


 ……なんか俺がいい人間になってるのではないだろうか……?


 クラスの半数近く眠っている教室を見ながら、きっとこの中でおそらく一番いい人間しているのではないか……そんなことを考えながらも、俺は板書にペンを走らせていた。





✖✖✖



「なるほどな……」


 そして時は進み、昼休みとなっていた。


 休み、なのにどうして授業中より起きている人が多いのだろうか……?でもそれは分かるぞ、友達と話してるほうが楽しいもんな、……経験したことはないけどな。


 ここまで四つの授業を受けてきたが、どうやらつまんないとか面白いとかで寝るだけではないようだ、先生が怖そうな人だったとか、やけに成績にうるさいやつが担当だったりするときに起きる人が多い。


 つまり怒らないで優しくてノリのいい先生の時に寝る人が多いということか、人のやさしさを利用して、彼らは授業を眠ってさぼっている。なんて奴らなんだ。やはりしっかり滅ぼさなくてはな。

 

 ちなみに俺も一回だけ眠ってしまいました。まぁ、それは数学という授業なんだけどさ、もう知ってることだったんだよ、つまりつまんなくて寝てました。


 ほ、ほらあれだ、授業は人間のためにやってるんだから、俺には関係ないってことで。


自分に言い訳をかましている時に、、ふと、俺の近くから俺を呼ぶ声が聞こえた。


 「……あ、あの、林田君」


 「ん? 何?」


 がやがやうるさい教室で、昼ご飯を持ってくることを忘れた俺は、眠っていようと思ったのだがそんな時にまたもやクラスの女の子が俺に話しかけてきた。


 黒髪にみつあみ、前がよく見えないのではと思うほどの長い前髪、そんな彼女に俺が目を合わせようとすると、「ひゃうっ!?」と声を上げ、持っていた本で俺と彼女に壁を作るかの如く己の顔を隠した。


 恥ずかしがってんのか? なら話しかけてくるんじゃないよ。俺の予想だがきっとこの女は誰かから何かを頼まれていやいや俺のところに来た、というとこだろうな。見るからに気が弱そうだからな……。


 「……なんか用」


 「あぁ!ごめんなさいごめんなさい!今から言います今から!」


「えっ……そんな、大袈裟に謝らなくても……?」


 俺のしゃべり方が怒っているように感じられたのか、彼女は急に取り乱す。手をわたわた動かし、もう半泣き状態だ。なんかこう、申し訳なくなってきた……。


 







 


ぜひ評価やブクマなどよろしくお願いします。

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