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全ての人類に絶望を。  作者: うまい棒人間
狂ってしまった生き方と偏見と忍者とロリコン
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決戦、放課後

生存報告。今現在別の小説を書いているためとてもとても遅れています。これからも遅れてしまいますが、どうか長い目で見守っててください。

 


 現在放課後。戦いが始まる夜まで、刻一刻と時は過ぎる。


 俺自身とても落ち着かない。放課後でこんなことになるとは思わなかった。


 ここからはボロボロの戦略で挑むしかない。


 俺は今から全てを失う。でもそれは失わなければその失ったものを守れないからだ。


 これは、孤独に生きてきた俺にしかできないことだ。


 だから俺がやるんだ。





 ×××





 俺は今部室の扉に手をかけている。


 多分部屋の中には俺が呼んだ奴等がいるはず。そいつらに話をして、戦闘前の作戦は全て終了する。


 でもここが一番重要だ、ここで失敗したらその時点で敗北は決まったものになる。


 呼吸を整えて扉を開く。



「あっ……は、林田くん」


「萌花……」


 既に森谷朱里と結城萌花が部室にいた。朱里はいつもと変わらず冷たく俺を見つめてる、萌花はおどおどと視線がずっと泳いでいる。何故かなんて、考えるまでもない。


 ……久しぶりに声を聞いた気がする。昨日の放課後から今日まで、とてもとても長かった気がする。


 何十年もあっていないというわけじゃない、時間にしてみれば約二十二時間ぐらい会って話さなかっただけ。


 たったそれだけなのに、俺は今こいつとこうして顔を合わせるだけで少し嬉しい気持ちになる。なんてことない彼女との付き合いが、既に俺には必要なものになっていたのだろう。


 敵対関係、ライバル同士、そういった気持ちを引き締めないと相手にならないやつとしか関わらなかった俺が、唯一安心して話すことの出来た友達。


 初めての友達だった。


 だから、守る術など分からない。気を良くさせる方法も分からない。そしてそういうことを考えてる時点で俺は友達失格だろう。


 友達とはなにか、この問は永久に分かることがないだろう。


 ともかく、いい関係だったと思う。名残惜しい。



「あ、あのっ林田くん」


「……なんだ?」


「聞いてほしいんです、わたし、昨日からずっと考えてたんですよ」


「何を」


 素っ気なく答える俺に対して、結城萌花はニコニコと笑いながら話を進める。


 ただ、少し悲しみを含んでいるような笑顔だ。俺は彼女のように心の声を聞くことは出来ない。でも何となくわかる。


「そしたらですね、凄いことが起きたんです! その日の帰り道に変なおじさんが私のチカラを消してくれたんです!」


 ……は?


 彼女がこんなウキウキと話している。彼女にとって最高の喜びに近い出来事が起こったようなものなのだから。


 でも俺には分かる。こいつの能力は消去することは出来ない。


 だってその力は……。


「能力が消えたってことは……今目を合わせてる俺が何言ってるのかわからないと……?」


「は、はい、だからわたしのことを……」


 次の言葉を聞きたくない、そう思った。だから、


「ふざけるのもいい加減にしろよ」


「……え?」


 強く言った。作戦のために考えてきた言葉は既に記憶から零れ落ちた。握り拳を解けない。


 なんだろうこの気持ちは、どこかで抱いたこの感情は。



「……そう都合よく、マンガやライトノベルの世界みたいに願いなんて叶うわけないだろうが」


 言葉に熱がこもるのを自分でも感じる。こういう時の俺は、言葉を止めることが出来なくなってしまう。


「……ちょ、ちょっと、言い過ぎでしょ」


 森谷朱里が俺を止めにかかった、でも最早聞いてる場合ではない。


 ムカつきが止まらない。何でだよ、なんで俺はこんなにムカついてんだよ。


「萌花、俺は今の一言で相当失望した……お前のことを尊敬していたのが、今となっちゃアホらしい」


「は、林田くん……?」


 彼女のヘタレなところじゃない、嘘で誤魔化そうとしたことが気に食わない。


「なんで、なんで信じてくれないんだよ。友達じゃないのか、信じるに値する友達じゃないのか俺達は」


 いや俺たちじゃなくていい、朱里だけでもいい。どうして、そんな嘘をついてまで引き止める存在なんて、友達じゃないんじゃないのか?


「ほ、本当なんです! 信じてください!」


 半分涙目になった萌花が叫ぶ。必死だ。傍から見ればあれが演技だとは思えないだろう。


 だが俺にはわかる。彼女のあの力はこの世界のものじゃない。生まれつきですらない。


 誰かに付与されたものだ、そしてそれは恐らく、俺達の世界の力だ、この世界じゃ治せない。治すも何も、能力が消えることなんでありはしない。


 だから嘘だ、ここまで証拠が揃っている。嘘じゃない可能性を探す方が難しい。


「心が読めないなら、俺が今お前のことをどう思ってるかも分からないだろうな」 


「わ、分からないですよ……どうして、信じてくれないんですか……?」


 こっちのセリフだ、と言おうとした。何故なら相手は結城萌花。言葉がなくても伝わる。


「……お前が、俺と話してる時ずっと俯いてるからかな」


 でもそれは目と目が合った時の話。俺と彼女は俺がこの部屋に入った一瞬だけしか、目を合わせていない。


 萌花の体がビクッと跳ねた。その行動は真意を見抜かれた犯罪者がする行為に近い、嘘がバレた、と言いかえた方が今は正しいだろうけど。


「そ、それは……なんか今日の林田くん、怖いから……」


「怖いから、か」


 ピリピリしてる。というふうにとることが出来れば俺の出していたオーラに間違いはなかった。


「ねぇ、あんた。もういいんじゃない?」


 隣で森谷朱里が俺に悲しげな表情で話しかける。


 もういい、というのは『結城萌花に今起こってることを話していいんじゃないか』ということだろう。


「ダメに決まってるだろうが……」


 何のために考えた作戦だ。


 何のために放課後まで積み上げてきたんだ。


 何のために俺とお前は手を組んだんだ。


 全て、巻き込まないためだろうが。


 もしここで話して、理解して、全てが上手くいったとして、その後どうなる? 敵対している俺達の友達の萌花はどうなる?


 二本の紐を繋ぎ止めてくれてる萌花という結び目が、互いに離れる俺たちを引き止め続け、最後はどちらかについたまま、儚く切れる。


 悲しすぎるだろ、そんなの。嫌だろお前も。


 このままでいいんだ、最後までわからないままの方が絶対彼女のためになる。


 視線で森谷朱里に悟らせる。大事な場面で空気が読める相棒だと信じてる。


 諦めたようで、朱里ら視線を俺から背ける。許して欲しい。こうするしかないんだ。


「また、そうやって……」


「ん?」


 俺の少し離れた位置にいた萌花が、少し目を離した隙にすぐ俺の目の前に来ていた。少し怒っている雰囲気を感じる。


 体が震えていた。


「そうやって、そうやってそうやって! 二人で、隠し事ばっかりして! わたしを除け者にして! 秘密ばっかり増やして……!」


「……!」


 三人しかいないこの部室に、彼女の捻り出したかのような声が響いた。こんな声は、謝罪を除き初めて聞いた。少し驚いている。


 これが、彼女の本音、なのだろうか。いやそうだろう、本音じゃなければこんなにも俺の心に訴えてこない。


「怖いに決まってるじゃないですか……! 怖くないわけないじゃないですか……! 信じることが出来る友達が、わたしに内緒で友達と同居してたり、目配せしてなにか話し合ってたりするのを見て、何も感じない方がおかしいじゃないですか……それについて聞こうとしても、避けられてるかのようにわたしは林田くんと話すことすら出来なかった!」


「……」


 何も言えない。彼女をここまで苦しめていたのは自分だった。その事をわかっていたからだ。


 ただ一つ、俺は忘れていた。


「もう、なんとなく分かるんです。林田くんと朱里ちゃんは、きっと何かわたしの知らない何かの縁で結ばれてるって、だからそれが知りたかった。それが分かれば除け者にされている訳じゃないって分かるから……」


 人間は、人間だ。超人間なんていないんだ。


 特別なんてない、人と違う選択肢なんて、選択肢という言葉がある時点で人が選ぶ行動なんてたかが知れてる。


 所詮は籠の中の鳥のように、決められた籠というパターンの中でもがいているに過ぎない。


 俺が期待しすぎただけで、結城萌花は普通の人間なんだ。悲しむし怒る。


 どこかで、結城萌花なら大丈夫だろうという全幅の信頼を置いていた。彼女は俺が認める最高の人間だという自分勝手な理由でだ。


「……どんなことでも受け入れて見せます、だからわたしに……教えて下さい!」


 だからこそ、彼女をここまで追い詰めたのは俺の責任だ。下に見ていた人類に、とんでもない迷惑をかけてしまっていた。


 さて、俺は一体どうすればいいのか。


「……萌花、悪いな」


 答えは、既に決まっている。


 左手を彼女の震える肩にそっと置いた。安心したのか震えは少しずつ収まっていく。


 ずっと俯いていた顔が少しずつ上を見始めている、あと少しで俺と彼女は目が合ってしまう。


 希望に満ちた彼女の瞳が俺の目に映った。




 躊躇うな。




 パンッ



「……え?」


 儚くて、乾いた強い音が響く。……力はとても抑えたつもりだけどな。


 俺は、残る右手で、彼女の頬を引っぱたいた。


 何が何だかわからない、そんな表情を俺に向ける。俺は目を背けた、今心を読まれる訳にはいかない。


 ただ、一瞬見えた彼女の瞳は、さっき見せた希望とは程遠い、そんな絶望に満ちていた。



次回は……未定です、早い段階で挙げれたならと思ってます。

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