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プロローグ

見知らぬ壁、見知らぬ天井、そして床に描かれた魔法陣。

コンビニのアルバイト中、床に魔法陣が現れたと思ったら気が付いたらここにいた。

この展開は知っている。最近小説なんかで流行りの


「異世界転移?」


歓喜で体が震える。

子供のお誰しもがヒーローや勇者に憧れたと思う。自分もその一人だ。

というか未だに憧れている。


彼女いない歴=年齢

地味メガネ、万年童貞。同級生や後輩にクソみたいなあだ名をつけられ、小中高と脇役だった自分が主役になれる!


そう思ったのに


「うわっなんだ?!」

「あっれー先輩何してるんですかー?つかココドコですかぁ」

「おわっあれ、ここどこだ?俺の店は?」


魔法陣が光るたびに現れる人間。どうにも見慣れたその顔。

同じコンビニでバイトをしていた後輩2人と店長1人


「えー困るんだけどぉここどこよお。」


急な展開に半泣きなおっさん、もとい、店長を除けば性格に難有りだが若く顔がいい2人と平凡な自分。

知ってる。この展開も知ってる。


「俺、巻き込まれた?」


言葉にするとしっくりくる。

血の気が引くという感覚をリアルに体験した瞬間だった。
















事の起こり


3月14日


深夜1時


上まぶたが下まぶたと結婚しそうになりながらフリーター戦士の自分はコンビニ店員のアルバイトに精を出す。


「眠い」

「先輩また深夜にアニメ見てたんショー?」


今は納品されてきた大量のおにぎりを棚に並べる仕事の最中だ。


「ダメっすよーバイトある前日はちゃんと寝なきゃー」

「うるさいほっとけ」


金髪の頭の弱そうな後輩にまともな内容でたしなめられるというのもなんだか情けないと思いつつも

昨日やった話は自分が好きなアニメの最終回、録画はしてあるのは当然としてもどうしてもリアルタイムで見たかったんだ。


「ほっとけませんよー。だって先輩いなかった場合俺一人で品出ししなきゃいけないじゃないですかー」

「一人じゃないだろ」


そう言いながら俺はちらりとレジを見る。

そこでは女の子を相手にしながら茶髪のロン毛男がレジを打っていた。


「嫌ですよーあの人軽いじゃないですかー。うまくやっていける自信ないですぅ」

「男のくせに頬を膨らますなキモい」


たしかにこの金髪の男、坂島修也さかしましゅうやはチャラチャラしていそうな外見とは違いそれなりに真面目ないいやつだ。

自分みたいな黒髪地味メガネのことをバカにせずに『先輩』と呼んでしたってくれているし、こうやって話し相手にもなってくれる。何より今のように指示を出せばそれに従ってくれる。

そう、問題があるとすればあそこで一見爽やかオーラ全開で好青年を装い接客している茶髪の男。


こいつは神谷俊(かみやしゅん)

いわゆるイケメンというやつだ。つまりリア充だ。敵だ。

ある程度の仕事はこなすが大体の面倒はこちらへ押し付ける。

何より年上でバイトの先輩である俺をやたら馬鹿にしてメガネ君なんて呼びやがる。

確かにチャラ男に見えるのに意外と真面目な修也と爽やか好青年にみえるが外とどうしようもないやつの俊では合わないかもしれない。


「アイツ俺のこと万年童貞って呼ぶんだぜ」

「へー俺は天パ男ですよー」


となりにいる自分よりも頭一つ分高い背の後輩と笑い合う。

そんな何気ない日常。


「もっとマシなあだな付けて欲しいっすよねー」

「いや、先輩を敬わない態度がいけないんだろうが」

「それもそっすねー…ところで先輩」

「あ?」


一番上の棚におにぎりを置こうと手を伸ばす。

が、一番上の棚に手が届かない。なんで?

それを見かねてか修也が俺の手からおにぎりをとって棚に乗せてくれた。


「おーさんきゅー」

「いやそれはいいんですけど、先輩、なんか

埋まってません?」


キョトンという効果音が似合いそうな顔で首をかしげる修也が俺の足元を指さす。

硬いはずの地面はなぜか水面のように揺らぎながら俺の膝から下を飲み込んでいた。


「はあああああああああ!?」

「わー先輩手品ですか?すごいっすねー」


目の前にいる修也はパチパチと手を叩いて感想を送ってくるけど

違うこれは手品じゃない!!


「修也ひっぱれ!ってかお願いだから助けて!!」


俺が地面から足を出そうと暴れるとそれに反して逆に沈んでいく。

余計に頭の中がパニックになった。


「ちょっと抜いて!お願い引っ張って!!」

「先輩暴れないでくださいよ!うまく手が掴めません」

「暴れるなって無理いいいい」

「おーいお前ら一体何やってんだーってなんだこりゃ気持ち悪っ!」


あまりの騒ぎに事務所から店長が顔を出す。

俺はというともうすでに腰まで沈んでいて、その姿を見て店長は、引いていた。


「そんなこと言ってる場合じゃないでしょう!」


というか他の人は!?客は!?

辺りを見回すとちょうどお客さんが少ない時間帯だったせいか誰もいない、

いるのは後輩2人と店長だけ。ならレジにいた後輩その2、もとい俊は何をしているんだと思ってみると、こいつも引いている。


なんでだよ!?手伝えよ!!!

死んだら化けて出てやる!自転車のサドルにカイワレ植えてやる!!


「がぼっ」


地味な嫌がらせを必死で考えているうちに俺の体は完全に地面に吸い込まれてしまった。










暗転



そうして気が付いたら俺は既にここにいた。


初投稿です。

お手柔らかにお願いします。

誤字脱字については教えてくださると嬉しいです。

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