13/05/30:横浜駅周辺 シノ視点
県本付近のとある路地。
私は弥生を手伝う作業をすべくマルタイの退勤を待っている。
今日はスパッツを中心にコーディネイトして出勤した。
もちろんスパッツ好きな弥生の好みを意識して。
部屋着ならともかく、仕事に着ていくには体の線が出るから恥ずかしい。
だけど勇気を出してみた。
それなのに……弥生は何も言ってくれなかった。
寂しかった。
微乳に見せるブラも試してはみた。
だけどお金を無駄にしただけだった。
いっそ脂肪吸引したくなる。
弥生好みな観音さんのナイムネが羨ましい。
監視や尾行の作業って目立たないために苦労するから嫌い。
私はどうやったって目立つから。
ホントに自慢しているつもりはない。
こういう時だけは心底から就職先を間違えたとしか思えない。
今日も伊達眼鏡にメイクも薄め。
目立たない様に心掛けたつもりだけど傍目にはどうなのか。
不安になって仕方ない。
スマホのバイブが振動。
別場所で待機している旭ちゃんからのメール。
【そろそろですかね~】
【だね。今日も真っ直ぐクラブ行っちゃうのかなあ】
ささっと返信。
今日までのところ残念ながら何も出てきていない。
せっかく弥生が頑張っているから何とか役に立ちたいんだけど……。
こればかりは相手次第だしなあ。
マルタイが出てきた。
さて、この路地角を過ぎたあたりから尾行開始といきますか。
マルタイ通過、スタート!──と思ったら、あれ?
マルタイが少し先で停まっていた車に乗り込んだ。
カメラを出す暇はない。
ナンバープレートチェック!
覚える!
絶対忘れるな、シノ!
車が走り去った。
早くスマホを……ボイスメモ起動、ナンバーと車種を吹き込む。
ふう、これで忘れる心配もない。
明日になったら陸運局へ車両照会に回してと。
役所で待機している観音さんに報告。
「引き上げろ」の指示。
続けて旭ちゃんに電話。
「旭ちゃん? 終わったよ。あがっていいって」
「え? どういうことですか~」
「今日は動きがあったのよ。マルタイが車に乗っていっちゃってね。もしかしたら何か出てくるかも」
「お~、それは楽しみですね~」