3話 ある英霊の奇跡と警告①
目覚めたら、知らない天井でした。
確かにぼくは、ベッドの中に身を潜ませたはず。
なのに目覚めればこんな白い神殿みたいな場所に来ている。
これは一体どうしたんだろうか。
まさか…と一瞬で予測できたシナリオはいくつかある。
まずはテンプレ、神や天使や精霊が来て力を与えるというもの。
次はイレギュラーであるぼくを呼び出し、世界の均衡を保てとか言ういわゆる脇役的なあれ。
次は…「そこまででいいよ。」
ぼくはまるで思考を読まれていたかのようなタイミングで現れ、言葉を発した人物を睨みつける。
「そんな怖い顔しないでよ、かわいい顔が台無しじゃないか。」
見たまんまを言えば顔も声も全てがイケメン的な人種でいかにも偽善的な奴だ。
…うぜぇ。
「そ、そんなこと言うなよ!俺だって傷ついてんだから!」
それをジト目で眺めながら用件は?と促す。
ここはテンプレの中でも少し考えを改めて接しないと痛い目を見そうだから、慎重にいこう。
「用件、か…そんなもんじゃないんだけどね、ただ、警告を、ね」
は?警告だと?
「そう、君の基本スペックに有望性はぼくが誰よりも知ってる、それは俺が君の祖先のようなもの…要するに君は俺の生まれ変わりってことだからだ。そのぼくもここに、この世界に来たことがあるんだ。」
「つまりこれは神やらなんやらではなく、祖先の英霊の仕業…奇想天外なことが起こるもんだねー」
「それで納得しちゃうコハルもコハルだけどな、そんで警告ってのは、魔王は恐るに足らない、魔神もこのままいけば封印が解かれてもすぐに倒すことは可能だ。
だが、その後だ、俺はその後、昔のことになるけど、勇者として一人召還された俺は、結果的に言えば人間を救った英雄だ。だが、その力を恐れた人間は次に勇者の力を恐れ、攻撃してくるんだ、この世界に出来た俺の妻もそうだった。妻は王族だったけど、殺しやがったんだ、だから、君は注意してくれよ、俺みたいに惨めになってほしくないから。」
一息に震え声でそれだけ言うと、英霊は消えてしまった。
それと同時にぼくの視界は曇り、浮遊間が襲う。
ああ、夢から覚めるんだ。
直感的に感じ取ったぼくは身構えた。