十二の詩《うた》 第二十二回
十二の詩 第二十二回
① イチジクに、色あせぬ人の流れと、緑の実。
② 快進撃、総攻撃、行進曲。
③ 父にねだって買ってもらった玩具をなくす、涙して帰路に付く僕に赤い夕日。
④ 明日を生きる力をもらう、だが生きられそうに無い、死に日が始まる。
⑤ 人生の大博打に打って出た、出ただけだ、すぐさまアナグラへ直帰だ。
⑥ 犬を追いかける猫とブタ、楽しそうに踊るヤギと馬。
⑦ 品物の豊富な店に行く、ママにねだって菓子を買ってもらった、作文のような一日。
⑧ 文字の羅列が不快に思い、書き直してみた、だがどこか可笑しい。
⑨ 大学の出席日数が足りない、仕方なく授業に出たら、選択外科目だった。
⑩ 来年こそはと粋をまく、その先は闇しか見えず、一寸の光も届かない膨張する宇宙。
⑪ 就職浪人三十年目の父が一言、来年こそは家族で旅行がしたいと、夢は大きく、希望はでかく。
⑫ 最終電車に乗り遅れた、始発まで待っていると、耳元で囁く小さな声、明日はどっちだ。
平成二十四年二月十五日 記す