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猫の世界にとりっぷ!  作者: 喜多彌耶子
猫と虎と獅子さんと
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さてさて、突然ですが、みなさま。


常々、疑問に思われてはおられませんでしたでしょうかっ。私は、最初のころ、ずっとずっと疑問でしたっ。


獣化したとき、来ていたお洋服、ドコイクの?

人に化けた時(なんかちょっと違う)、そのお洋服、どこから来るの?


これって、かなり重要なことだとおもいませんかっ?


もう、私、超疑問だったんですよ。思わず変化のときにじっと凝視してしまう程度にはっ。


――あとで考えたら、人化の時に凝視してて、もし服がでなかったら、きゃーっ!! なことになってたなぁと、気づいたわけですけどねッ。


ま、まぁまぁ、それは置いといて。


結論としては、ほんと、簡単なことで。


わからないそうです。


……ちょっとまて。


いや、真面目に聞いたんです。聞いたんですよ? 私だって。でもでも、本気で、マスターたちもわからないそうで、どっかから現れるらしいのです。ばびゅんっと現れる、まるで魔法少女のよう☆ ……う、例えが悪かったですマスターで想像しましたごめんなさい。


ええと、そう、ただ、変化の際に裸を選ぶことも出来るらしいですが、それも、無意識化のレベルでの選択のようで、言葉では説明できない、と、いわれました。

説明しようとはしてくださったんですよ? 一応。 ただ、もんのすごく抽象的で、がいねんてき? で、わかりませんでしたっ。――わ、私の理解力がないだけだとは思いたくありませんっ。あうちっ。


で。


なんで今この話をしてるか、と、言いますと。



あわあわしてる私をよそに、私の周囲がゆるやかに光りに包まれます。


緩やかな光。これは、彼ら獣人族さんたちの変化のときに現れる印です。


緩やかってことはですね。確か洋服を着た状態で現れることができるわけでしてねっ。

あ、ちなみにピカってフラッシュっぽく光ったら裸らしいです。だから、その区別がわかんないんですってばっ!


っていうか、超ズルくないですかっ! 超、超っ、ちょー! ずるくないですかっ。 だって、だってですよっ、私は薄着で、羞恥心と戦ってるってのに、お姉さま方はゆうゆうと変化なさってるわけで。うん、ぴかってならなかったから、絶対、お洋服有り変化だもん、これって! もう、なんていうか、なんだか悔しくて、思わずむーむー布団の中で唸りながらも、やっぱり気になるので、布団の隙間からそおっと伺えば、案の定、ナイスバディーんに変化を遂げて、しかもセクシィなお洋服をきっちり御召になったお姉さま方が、ずらりと勢揃いでございましたのことよっ。おおぅ、違う意味で、眩しくて目が潰れる。


――いや、いま気づいたんですが。


最初から私、お姉さま方のお胸をぼいーんだと申しておりましたよね? ぼいーんぼいーんだ、って、そうもうしておりましたよね? うん。そっと我が身を省みる。我が身、っていうか、我が胸元よ。……うん、私、もしかしなくても、リオル様のハーレム、入れる資格が無いようです。思わず、そっと撫でてみる。つるん。いや、うん。つるんじゃないけどさ。あるけどさ。ないわけじゃないけども、さ。


うん、失格っ! て感じで。


布団の中で、そっと自分の胸を伺う怪しげな私に、何を思ったのか、お姉さま方はそっと、慰めるように頭を撫でて下さったのでした。


――その優しさより、お胸をわけてくださいませっ!!


さて。

この脱線癖は、どうしたら治るでしょうか。うん、無理。だって、私の意識を持っていくあれこれがある周囲がよろしくないのです。なので、きっと私のせいではないのです、と、咳払いの声でやっと思い出したマスターとリオル様の存在に、言い訳してみる。こっそりと、心の中で。っていうか、うん、出ていってくれませんかね、着替えますので。と、そっと布団から目元だけのぞかせて、目でうったえかけてみる。あっちいけーっ、あっちいけー! ですよっ。 じぃぃぃっと見つめてたら、マスターったら、そっと視線を逸らしてしまわれました。ちょ、なんですか、なんか私の眼力に文句ありますかっ。確かにまつげ長くはないですけどっ。め、そんなにでっかくはないですけどっ。元の世界でマスカラとつけまつげ見るたびに、真剣に悩んでたくらいですけどっ。――真面目だったので、リップレベルだったんですよこれでも。ええ、イケテナイ女子高生です。って、そうじゃなくて。


どうすればいいのよ、これ、と、悩んでたら、お姉さまのリーダ格のかた(そろそろ名前知りたいところです)が、ああ、と、納得したように頷いたあと、隣にいたちょっとかわいらしい雰囲気の(でもセクシー。すごいな、可愛いセクシーって。小悪魔系?)お姉さまに耳打ち。そのお姉さまが、ひとつ頷くとリオルさまの元へと、そそっと歩み寄り耳打ち。ん? と聞いていたリオルさま、すぐにニヤリ、と笑って。


「きにすることなど、ないぞ。見慣れてる上に、ないも同然だ」


――どういう、意味ですかッッ!


ちょうど、お姉さまの耳打ちが聞こえていたらしいマスターが、横から思わずと言った風情で、リオル様の背中を強くたたきました。おおう、マスターに感謝することですねッ。そうでなければ、私のハイパーウルトラ必殺キック! が炸裂していましたですよ。目標は弁慶の泣き所か急所。これが鉄則。

ぐらりと揺れたリオルさまは、そのまま無言のマスターにずりずりと引きずられて部屋から連れ去られて行きました。さよーならー。……てか、マスター、なんでおみみが赤いんですか?


首を傾げつつそっと、布団から出た私を、楽しそうに目を細めて笑いながら、お姉さま方が取り囲んでいたのでした。


……っっ! わすれてたぁぁぁぁ!!


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