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猫の世界にとりっぷ!  作者: 喜多彌耶子
りんとひよこ
26/55

「みたいですっ!」


はいっとよい子の挙手。きらりん、と目がひかっちゃいますのことよっ。


「我らは付いてゆけぬので、そうだな、他の国の者に頼むことになるが、よいか?」


「かまいませんけど……」


おや珍しい。いつもならついて行くの一点張りなのに。それに「我ら」? 


「ブルネイちゃんとかソマちゃんとかも、だめですか?」


首を傾げて問いかければ、じっと見詰めた後、深い深い溜息とともにマスターはおっしゃいましたっ。


「……彼のものは小さいだろう。そして、右往左往と動いているだろう?」


そっと視線を逸らしながら呟くように告げるマスター。ああ、もしかして。


「本能に勝てなくて、手が出そうになるとか?」


「そういうわけでもないが」


視線をあわせぬま視線を彷徨わせるマスター。おやー? おやおやー? 思わずにんまりしちゃいますよっ。


ずずいっと近寄って、じっと見上げて。


「どういうわけなのです?」


ぐっ、と、詰まったような様子のマスター。うろうろと彷徨う目を追いかけるようにうろちょろする私。うん、怪しい構図だ。考えないで置こう。


「そ、それはだな。こう――いや、そこまでないのだが、なにかの弾みにだな、ひょいっと手がでることがあってな」


説明によると。

マスターがそうなる、というわけでなく、と、ある日、牧場を訪れた猫科のとある方が、ひょっこひょっこと動くひよこの群れ(?)を見ているうちに、うずうずをおさえきれず、その中にダイビングしたのだそうな。


で、その、捕獲というか、狩りはしなかったものの――そこまで理性は失ってなかった様子で――さんざんっぱら、小さなひよこでじゃれまくって、ひよこたちは目を回してしまった、と。


それ以来、牧場は猫科立ち入り禁止なのだそうな。


「そんなばかな」


思わず真顔で呟けば、マスターはゆるりと首をふって。


「そんな馬鹿がいるのだよ」


しみじみとおっしゃったのでした。



「では、ひよこ牧場(?)に、今度いってよいのですねっ?」


きらりん、と瞳を輝かせながら両手の指を組み合わせてお願いポーズ、じっと上目遣いで必殺おねだり光線っ! ……うんごめん、いってて自分でキモかった、を、発動させますれば。


うっすら目許に朱をのぼらせたマスターは、仕方なさそうに、ひとつ頷きました。


「事前に許可をもとめよ。色々と調整があるからな。――いろいろと」


ニヤリとした笑みとともに告げられましたが、しりませんよ、言質はとりましたからっ。

ひゃっほい! と両手を上げて喜んで、あまりに嬉しいのでそのままマスターに飛びつきました。


「ありがとうございますっ、マスターが割りとあっさりおねだり聞いてくださったの初めてですねっ!」


頭の中は黄色いひよこハーレム。ぴいよぴいよ、もっふもふ。つんつくつん、ってな状態ですよ! ひゃっほい、まっててね、つつかれにすぐにいくから!(注:大量につつかれるとかなり痛いです)

嬉しくってにっこにことそのまま見詰めれば、ぐっと詰まったマスター、こほんと咳払いとともに、こちらに顔を寄せてきました。え、近いですよマスター。暑苦しいです。

離れようとすると、そのまま引き寄せられて――。



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