第2話 試練の道と古墳
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午前8時頃。
県道22号線こと根方街道に入ると、道の様子が一変した。
古くからの生活道路であるその道は、驚くほど細い。歩道と呼べるスペースもほとんどない場所を、横から車がビュンビュンと追い越していく。
(これは、完全に「試練」だ。)そう思った。
すぐ真横を速いスピードで駆け抜けていく、車の音やエンジンの風圧に少し恐怖を感じるけれど、足元からはそれ以上に力強い「音」が聞こえてくる。
少し立ち止まり、足元の用水路を指差した。
そこには、透き通った水が驚くほどの勢いで、ゴウゴウと音を立てて流れていた。
(これもきっと、近くで湧き出たばかりの水だよ。富士山の恵みが、こんなアスファルトのすぐ下を走ってるんだ)
僕は少し危なっかしく身を乗り出して、その激しい流れ、水飛沫をカメラに収める。
しばらくその「試練」の道を歩くと、ようやく『浅間古墳』と書かれた小さな看板が見えてきた。
けれど、指し示された方向を見て、悠希は思わず絶句した。
「……これ、道合ってる? というか、道なの?」
そこにあったのは、今までの坂道とは比べものにならないほどの、壁のような激坂だった。
息を切らしながら、一歩一歩地面を踏みしめる。やがて視界が開けると、目の前を巨大なコンクリートの橋が横切っていた。東名高速道路だ。
「すご……」思わずそう声が漏れた。
橋の上から下を見下ろすと、何車線もの道路を車が猛烈なスピードで駆け抜けていく。
その速さと音の迫力に、悠希は「おっ」とたじろぎ、柵から少し身を引いた。現代の動脈が、自分たちの足元を轟々と流れている。
橋を渡った先に、階段を見つけた。階段を上り詰めると、そこには静かな空気を纏った増川浅間神社の鳥居が待っていた。
一度立ち止まり、鳥居に向かって小さく一礼して境内に入る。
「……すご」そう思わず、声が漏れた。
そこからは、自分たちが歩いてきた街並みの向こうに、キラキラと輝く駿河湾の海までが一望できた。手前には青々とした田んぼが広がり、その間を、白い矢のような新幹線が滑るように通り過ぎていく。
その圧巻の景色をカメラやスマホでも「パシャリ」と写真に収めた。
参道を少し進んだ先にある石碑や解説の看板を熱心に読み、さらに階段を上って、こんもりとした浅間古墳の頂へ。参道を歩けば、足元に落ちた落ち葉が「カッサカッサ」と音を立てている。
神社の社に、ケースの中に収められた浅間古墳のパンフレットがあったので、記念に1冊貰っておいた。木々がたくさん生えていて、木々の間から日の光が差し込んでいる。
この古墳は、古墳時代前期の後半に作られた、全長90.8mの東海地方最大規模の前方後方墳だそうだ。前方後方墳とは、四角形と三角形のようなものを組み合わせたような形をしている。
だが、下からみるとただ少し盛り上がっている小さな山みたいに思える。
(石碑、案内板や事前の知識がなければ、きっと気づけないだろう。)
そこにある静寂は、下を走る高速道路の騒音とは無縁のものだった。
この古墳ができた当時は、きっとこのあたりのランドマークと呼べるような構造物であったのだろうと、古墳時代の景色を思い浮かべながら、古墳を後にした。
ここで、古墳時代とは?という人に解説します!!
今から大体2000年ぐらい前の時代で、ヤマト政権による統一が進む中で、自らの権力を誇示し儀式を行う場として、大阪府堺市の大仙陵古墳 (世界最大級の「鍵穴」型) や奈良県の箸墓古墳などの墓、「古墳」が築かれ、大陸から伝わった鉄器や漢字とともに国家の形が整えられていった時代です。
以上解説の佐野でした。
階段を下り、鳥居前まで戻ってきた。鳥居越しに見える美しい駿河湾や田畑なんかをしばらく眺めていた。東海道新幹線の車両がみえる景色の東西を行き来している。
(相変わらず、速いな新幹線は…)そう思いながら、この景色に見惚れていた。
鳥居越しに見ると少し非日常感があって、いいなと思いつつも次の目的地の選定へと移った。
少ししゃがんでスマホで、マップを開き現在地周辺で、なにか面白いものがないかと探していた。
とある文字が目に留まる。「須津湖」だ。
(この辺りに湖なんてあったんだな、行ってみようかな。須津湖)
僕は、再び腰を上げて立ち上がり、次なる目的地「須津湖」へと歩みを始めた。
1礼をして鳥居をくぐり、階段を下り、高速道路を渡る橋を進んだ。
僕は、再び思った。
(坂…急すぎじゃない? これ下り坂なかなか怖いぞ…上り坂は、大変ではあったけど怖さはなかった…下り坂は…ここで転んだら、大けがだな)そう考えて、転ばないように慎重に坂を下った。
古墳から戻り、再び根方街道の喧騒へと足を踏み出す。次なる目的地「須津湖」へ向けて。
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