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5 ナマズ

 小学校高学年になって、私は親の仕事の都合で、川の上流域から中流域に引っ越した。

 先のウナギ籠などは、中流域での話だ。上流域ではヤツメウナギはよくみたが、普通のウナギには縁日のウナギ釣りくらいでしか、あまりお目にかかれなかった。川の上流と下流では、住む魚がかなり異なる、なので釣り方も違う。


 上流では、アマゴ、ウグイ、オイカワ、油ハヤなどが生息していて釣り方も、これまでに書いた渓流での釣り方が主流になる。中流になると、鮎、鯉、鮒、ウナギ、ナマズ、カワムツそれに今ではほとんど見なくなった、タナゴやオヤニラミ、ドジョウと言った魚になる。ウグイとオイカワは両方にいた。

 鮎は鑑札が必要であったため、子供は釣れなかったが中流域には池もたくさんあったため、浮き釣りで鯉や鮒も良く釣れた。


 餌はミミズも使ったが、小学生に手軽に買える釣り餌で、サバ虫というのがあった。

 ふ化すると、蝿になる。要するに釣り餌用に衛生的に育てられた蛆虫だ。これは万能餌だった、但しそのまま放っておくと、直ぐに蛹になって蝿に変ってしまう。成長を止めるため、私は冷蔵庫に置いて保管していた。よく母が許したものだと、今となっては思う。


 投げ釣りではウナギも釣れたがナマズも良く釣れた。この両方は持ち帰って食べたが、ナマズによく似た魚で、ギギというのがいた。ナマズ目ギギ科の魚でギギというのは正式名だと思う。この魚は、胸鰭と背鰭に鋭い棘があり、これが刺さるとかなり痛い。この魚は子供たちの天敵であった。魚を釣ったという称賛すら「なんだギギか」の一言で、地に落ちるのである。

 毒魚ではないと思うのだが、棘が刺さるというだけで、扱いは酷いものだった。


 釣りではないが、ヤスという銛のような道具で、水中眼鏡をかけて川に潜り、七十センチくらいの大きなナマズを突いて持ち帰った。母に料理をしてくれと渡して、待っていたらナマズの腹の中からウナギが丸ごと出てきたと母が言う。どおりで腹ボテだったはずだ、ウナギをそのまま飲み込んでいた。

 ウナギは、見つけてヤスで突こうとしてもおいそれと突けるほど、トロイ魚ではない。このナマズがあれよりも早く動けることが出来るのかと、驚いたものだ。


 さて、そうナマズの認識を改めたが、けして捕食が上手い魚とも言えない。

 後年、ルアーでブラックバスを釣る頃になると、夜のナマズゲームというのに楽しみを覚えた時期がある。

 トップウオータールアーと言って、水に浮かんで沈まないルアーがある。この中で、バドワイザーという、胴体にバドワイザーのビールの缶の模様を描き、顔の部分は可愛らしい大きな目を描いて、水を受ける大きなリップという突起がついており、後ろに金属性のブレードが付いていて、ルアーを操作すると、カンカラカンカラ大きな響かせて、お尻を振りながら進む、なめてんのか?と思わせるアメリカンルアーがある。


 これが、ナマズ用に開発されたのかと思うほど、ナマズに効くのだ。

 夜の逆ワンドになったような川や用水路でこのルアーを引いてくると


 カンカラカンカラ

 バシュ!(ナマズが飛びついた音)

 カンカラカンカラ

 バシュ!

 カンカラ

 バシュ!

 カンカラ

 「ヒット~!」


 というような具合で、とにかく一回では釣れないが、追い始めるとかなりしつこい。

 ナマズというのは、そんな魚なのだろう。


 ナマズは英語でキャットフィッシュというそうだが、その由来はあの口に生えた髭が猫と似ているからなのだそうだ。

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