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殉職率の高い魔法少女が壊れる理由  作者: 虹猫
1章 新卒営業ちんちん
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6話 新卒営業の新しい魔法少女探し

88歳の魔法少女を死なせてしまった”ちんちん”

葬儀に行きたいと”ペニス課長”に言うのだった。

翌日、会社にて


「あ? 有給使わせろ?」

「はい。梅子さんの葬儀に出たくて」


「お前さ、何言っちゃってんの?」

ペニス課長が顔をピクピクさせている。嫌な予感。


「魔法少女の葬式に出る妖精なんて聞いたことないぞ」

「別に出ちゃいけないなんて決まりはないですよね」


「アホかボケっ。寝言言ってる暇あれば新しい契約取って来い」

「そんな! 葬式くらい行ってもいいじゃないですか」

いくらうちの会社がブラックでも葬儀くらいは行っていいはず。


「そもそも新人に有給はねぇ。入って6カ月はもらえないの。分かったかバカ」


どうやら法律が許さないらしい。

「そ、そんな。なら欠勤でいいです」


「ふざけんなっ。そもそもうちの会社に有給なんてもんはねぇ。あんなもん甘えだ。怪我、病気、冠婚葬祭。あらゆるものを犠牲にして働くのが社会霊の美学ってもんだろ」


やはりただのブラック企業だった。


「何だ? その目は」

「い、いえ……」


「そんなことよりお前昨日のガキ、他の妖精に取られるなよ?」


昨日のガキ? 梅子さんの孫のことかな。


「あのガキには内在する力を感じた。魔法少女の適性がある」

「そういえば時藤家の妖精も似たようなこと言ってたな」

そもそも魔法少女の適性ってどうやって分かるのだろう。



「“時藤様”だ。お前外で悪口なんて絶対言うなよ」


「大丈夫ですって。でもすごいですね、魔法少女の適正なんて分かるもんなんだ」

「まぁ結局は変身してみないと分からないがな。あとは本人のやる気次第だな。やる気のないやつは適性があってもすぐに死ぬ。これも魔法少女あるあるだ。お前の仕事はあのガキのやる気を引き出すこと。契約を取ることだ。分かるな?」


「うーん、俺子供とは契約したくないんですよね」

「お前さ、そんな余裕なこと言ってる場合?」


「まぁ見ててくださいよ。今月契約1件のちんちんが2件目を取ってきますから」


「はぁ……もういい。契約取れるまで帰ってくるなよ」


………


……



不思議な気持ちだ。契約を1件取って自信が付いたのだろうか。心に余裕がある。今ならどんどん契約を取れそうだ。


「よっ、ちんちん。何だか上機嫌だな」

このイケメンボイスは……ぽこちん先輩だ。


「話は聞いたよ。契約取れた魔法少女死んじまったんだってな。まぁ88歳だし仕方ないか。俺に言わせればこのご時世よく長生きしたもんだと思う」

「ぽこちん先輩。あの後期高齢者リストはもう1度見せて下さい。次の契約取りに行こうかなって」

あのリストがあれば無敵と言っても過言じゃない。これで俺もエリート妖精の仲間入りだ。


「バカっ。あればいざという時の切り札だ。そう簡単に使えるもんじゃねぇ。契約後の殉職率。これは営業の責任でもある。給与に響くんだ」

「え? そんな」


なんてことだ。せっかくブルーオーシャンを見つけたと思ったのに。


「俺達の仕事は少女と契約することだ。戦える魔法少女をな」


“若さこそ力なり”


「覚えとけ」

「そ、そんな……」


ということはまた学校に行って話し掛ける所から始めないといけないのか。

「お前さ、女子高生ばっかり狙ってるけどターゲット変えたら? 緊張するって言ってたじゃん。子供向きなんじゃないの?」


たしかに子供は緊張しないけど。でも子供を戦わせるのはな……


「大学生とかはどうですかね。OLさんとか」

「やめとけって。あそこらへんは恋だ仕事だのあるから忙しい。魔法少女やって時間潰すなんてしない」

「ですよね」


仕方ない。また高校生に営業掛けるか。新規営業って辛いな。


「そんな顔するな。最初だけだ。契約取れれば既存周りもあって楽になる」

「はぁ、がんばるしかないのか」


働きたくないけど働かないといけない。


がんばりたくないけど結果を出さないといけない。


学生時代が懐かしい。


………


……



誰でも出来る初めての営業マニュアル


2ページ


相手に必要とされるべし


ぽこちん先輩も似たようなことを言っていた。いかにその顧客に必要と思ってもらえるか。名前と顔を覚えてもらうだけじゃダメだ。


最近の女子高校生に必要とされなければいけない。


しかしどうすれば


俺は若い女の子が苦手だ。コミュニケーション能力も高い方じゃない。流行りもまったく分からない。


そんな俺がどうすれば必要とされるのか。


「!!!!!」

名案ひらめく


「そうか分かったぞ。必要なものをプレゼントすればいいんだ」


女子高校生が必要としているもの。プレゼントをきっかけに仲良くなればいいんだ。そうかそうか。どうしてこんな簡単なことに気付かなかったんだろうか。


ただ問題があるとすれば


何が必要なんだ?


………


……



JK東高校


廊下にて


俺は待機している。知っている。もう昼休みになることを。


「あーあ、疲れたな。お腹空いた」

「学食行かない? 新メニューあるんだって」

「いいね、いこいこ」

「あっ、待ってその前にトイレ」


来た!!!!


来た来た。たくさんの女子高生がやってきた。


「はい、どうぞ」

「え? なんでこんなとこに妖精?」


「プレゼントです」

「プレゼント? 何これ、ポケットテッシュ? 気が利くじゃん」


そう、俺は知っている。駅で配られるポケットテッシュが重宝されていることを。だけど俺はそのさらに上を行く。


「生理用ナプキンです。必要でしょ?」

「……」


………


……



出禁になった。


「何でだよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。自腹で買ったんだぞ? 気持ち悪がるなよ。これだから最近の女子高校生は嫌いなんだ。タンポンの方が正解だったのか? なら先に言えよ!!」


俺は途方に暮れた。


………


……



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