33話 新卒営業と駄菓子屋
子供の成長は遊びにこそある。
たくさん遊んでケンカして
そうして大人になっていく。
放課後
「すごい、まるで夢の国みたい」
チョコにグミにガム、いろいろある。ガムも種類が1つでなく5,6種類。コンビニに売ってなさそうなスルメイカや梅干しお菓子。値段も1つ10円単位なので子供のお小遣いでも買える。
店構えこそ小さくコンビニみたいに綺麗に陳列されてるわけではない。この大雑把感も懐かしい。
恵茉と美甘舞は無邪気に楽しんでいる。そうそう、小学生なんだからこういうのでいいんだよ、こういうので。
一方、時藤日葵はと言うと
「この大きなプラスチックに入ってるスルメイカ? これ衛生的に大丈夫なの? 値段も異常に安いのも心配」
夢も希望も無邪気さもない嫌な小学生だ。
「あっ、ジャンケンの形したグミある。可愛いな。それに伸びるグミ? だって。グミが伸びるなんてすごいね」
「私はこのミニチュアヨーグルトが気になる」
旧暦時代はこうやって子供達が駄菓子屋に集まっていたと聞く。いいな、こういう雰囲気。ゲームばっかりやってるよりはずっと健全に見える。
「今持ってるお小遣いが200円だから……欲しいの4つくらい買えるかな。美甘さんは?」
「10個は買える。このミニチュアヨーグルト安い」
限られたお小遣いでお菓子を買う。社会経験を積みつつ算数も学べる。素晴らしいじゃないか。
「ん? 時藤日葵は計算しなくていいのか?」
「平気よ。スマホ決済かカード払いするから。お小遣いも特に決まってないし」
くっ、本当に生意気な小学生だ。
「え? ここ現金しか使えないよ? 新しいお店なんだけどそういうのには対応してないんだって」
「そう。なら私は買わなくても……」
「なら私のお菓子半分あげるね。日葵ちゃんはどのお菓子気になる?」
「いや、大丈夫だから」
いいからいいから、と半ば無理やりに選ばされている。
「いいな、こういうの」
小学生、子供のうちにしか出来ないことというのはたくさんある。遊び、勉強、ケンカもそうかもしれない。
大人になればなるだけ遠慮も増えるし打算や計算で生きるようになる。不条理に怒られても反論できないこともたくさんだ。
だけど子供は違う。言いたいことをたくさん言って、時に傷付けて、悲しんで。それでも最後は仲直りして。心と言うのはその繰り返しで成長していく。
妖精とは違った人の生き方。
いいな、こういうの。
こんな日常が毎日続けば……
ドゴンッ!!!
「大変だ、梅毒が出た。そこの八百屋が壊れた!!」
「うわー、人類の敵だー」
そう、こんな日常は続かない。
なぜなら今は
妖精歴なのだから。
人類の敵。70億近くいた人類の8割が死滅した。これのせいである。
それまで人類の武器として存在していた銃や大砲、ミサイルなどは一切通用せず。魔力を介した攻撃でなければダメージを与えることが出来ない。人類がなすすべなく蹂躙され続けたのはこれが大きい。
誰かが言った。人類全員が魔法少女になればここまで死滅することはなかったのではないか。
だけどそれは理想に過ぎなかった。得体もしれない害悪生物。命懸けで戦える人間がどれだけいるのか。1番問題となったのは人類の敵が“減らない”ことにあった。倒しても倒しても現れ続ける人類の敵。永遠に続く戦いを誰が望むのか。
妖精歴125年。これだけ経っても人類の敵の謎はほとんど解明されていない。
どこから現れるのか、なぜ現れるのか。どうして人間を襲うのか。
突如として世界に現れ30分したら消えていく。種類も1つだけでなく、梅毒、毛ジラミ、淋、クラミジアなど多種にわたる。
魔法少女がいなければ人類はとっくの昔に絶滅していただろう。人類の死滅を8割に防げているのは魔法少女の功績が大きい。
だけどそこで1つの疑問が生まれる。
では魔法少女とは一体何なのか。起源は? どうして人類の敵と相対せる存在なのか?
その疑問も未だに解明されていない。
なぜならば
人類にそこまでの考察できる余裕はないのだから
………
……
…
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