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殉職率の高い魔法少女が壊れる理由  作者: 虹猫
1章 新卒営業ちんちん
3/48

3話 新卒営業の魔法少女家庭訪問

翌日


俺はペニス課長に呼び出された。まぁだいたいはお説教なのだが。


「俺の言った意味理解した? ねぇした? 昨日言ったよな? 契約はその場で貰えって。だからこんなことになったの? ねぇ、分かる?」


「すみません」

「すみませんじゃねぇんだよ、このボケ。魔法少女になってすぐはさぁ、殉職率が高いのよ。知ってるよな? 初めての実践で力の使い方も分からず殺される。魔法少女あるあるだろ? 過去の反省活かさないでどうすんの?」


「しかしその反省の資料もなければマニュアルもないですし」


「言い訳すんな。資料がなければ先輩に聞くんだよ。もしくは自分で作っとけ。マニュアルがないない言う前にお前はマニュアル作ってんの? ねぇよな? そういうのを甘えだって言ってんの」


「すみません」


「くそがよ」


今日も今日とて説教をされている。梅子さんを死なせてしまったのもある。


が、それ以上に問題があったのだ。


時藤ときとう様のお世話になるなんて。お前何考えてんの?」

「偉いんですか? その人」


「この業界にいて何で時藤様知らねぇんだよ。ボケチンがっ。由緒正しい魔法少女一族の方だぞ」


昨日のことを思い出す。あの青い魔法少女はすごかった。梅毒を一撃で倒すんだから。


「はぁ……仕方ねぇ。ちんちん、一緒に行くぞ」

「へ? どこに?」


「謝りに行くんだよ。時藤様に挨拶もしねえ、謝罪もしねえ。そんなんじゃやっていけねえんだこの業界。覚えとけカス」


こうして


俺とペニス課長は一緒に謝りに行くことになった。


魔法少女に謝りに行く妖精。よく分からない社会だ。


………


……



こうしてペニス課長と一緒に外に出るのは初めてだ。


実を言うと


俺はペニス課長が滅茶苦茶嫌いだ。髭も似合わないし短気だし良い所が見つからない。


「くそっ、これだから新卒は」


「あ、あの……謝罪なら俺1人でも行けますよ? いつもペニス課長に謝ってる感じでいけばいいんですよね?」

「アホか、ボケ。あんな適当な謝罪やったらうちの会社潰れるぞ」


「そんなまた大げさな」


魔法少女の機嫌を損ねて潰れる会社があるはずない。


「いいか? お前は“すみませんでした”以外しゃべるな。分かったな?」


「すみませんでした」


「よし、それでいい。行くぞ」

「すみませんでした」


………


……



「ここが時藤様のお宅だ」

「これはなんと」


お屋敷という言葉があるがまさにその言葉通り。西洋の洋館を彷彿とさせる立派な家だ。家政婦さんが何人いてもおかしくない。


「俺のアパートの何十倍あるんだろ。ペニス課長、魔法少女って実は儲かるんですか? それとももとから資産家とか?」


「どっちもだよ。ってかそんなことも知らねぇのか」

「だって」


「そもそもお前は魔法少女法だってろくに覚えてねえだろ。そんなんだからいつまでだっても」


あっ、いけない。話が長くなりそうだ。だけどその時


「あれ? 妖精さん?」

桃色の髪が目に入る。


「あっ、君は」

「誰だ? このガキ」


三途川咲茉さんずがわえまです」


「ほら、話したじゃないですか。昨日の梅子さんのお孫さん」

「あぁ、そういえば」

まさかこんな所でこの子と会うとは思わなかった。


「昨日は……大変だったね。それにごめん、あんなことになって」

「妖精さんのせいじゃないよ。敵はどこにでも現れるし、いろんな人が毎日死んでて。魔法少女のことは驚いたけど……」


俯きながらの小さな声。見ていて悲しくなる表情だ。


「梅子さんの葬式決まったら教えてよ。行くから」

「うん」


「でもどうしたんだい? こんなところで」


「あっ、その……お礼言いたくて」

「お礼?」


「時藤さんとは同じクラスで。昨日昨日助けてもらったから」


「友達なんだ」


「あっ、友達とは違うんだ。ただのクラスメイト」

「?」


何だか良く分からないけどお礼のために来たのだろう。昨日あんなことがあったのに。辛いはずなのにお礼を言いに来るなんて。強い子だ。


「おいガキ。お前どういうことだ?」

「え?」


どうしたのだろう。ペニス課長がじろじろ見ている。


「お前に内在してる魔力のことだよ……」

魔力? どういう意味だ?


“どうぞお入り下さい”

インターホンを押してないのに勝手にドアが開いた。


「なんで?」

「カメラだろ。玄関でこんだけ騒いでればアホでも気付く。まぁいい、行くぞ。くれぐれも失礼のないようにな」


「大丈夫ですって。こう見えても営業態度だけは自信あるんですから」

「余計なこと言うなよ」

「任せて下さいよ」


とにもかくにも家に入る。


………


……



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