24話 新卒営業と新しい恋の物語?
三途川恵茉vs2人の魔法少女
“魔法少女契約完了”
“魔法少女契約完了”
“三途川恵茉変身モードに移行”
“三途川恵茉変身モードに移行”
恵茉の髪と同じ淡い薄桃色。その色を基調とした制服ドレス。両手首には白いシュシュ。頭には梅の花のヘアピン。
魔法少女、三途川恵茉。俺にとって2人目の魔法少女。
戦闘力は未知数。
お願いだ、恵茉。無茶はしないでくれ。どうか、死なないでくれ。
「うけけけけ。まさかこのタイミングで契約とはな。三途川恵茉」
「超ウケ。新しい魔法少女誕生してるんですけど。てか今の川と花何? もう消えてるし」
「すごい綺麗な髪。つやつや。まるでピンクパール♡」
「あの子、何てことを!」
「お、思った以上さ。とんでもない魔力量。なんであんな普通の子が?」
それぞれが驚くように恵茉を見ている。
魔法少女にはそれぞれの希望と願いがある。
誰かのため、自分のため、何かのため。魔法は願いの象徴であり希望の道導。
本来であれば人類の敵と戦う仲間であるはずなのに。どういうわけかこうして相対してしまっている。
誰かの思惑なのか、それとも偶然なのか。どちらにせよ
この場はひたすらに混沌と化している。
「舞、藁人形使って時藤日葵を先に潰すんや。三途川恵茉は初心者とは言え能力は不明。協力される前にやってまえ」
「はぁ……分かったよ。残念だな、もっと遊びたかったけど……死んで、ブルーサファイアの子」
「いけないさ、藁人形の呪いが」
緑色の少女が藁人形をこれ見よがしに持ち上げる。そのまま引きちぎる気だ。まずい、それをされたら時藤日葵が……
「その人形預かるね?」
「え?」
緑色の少女の背後、そこに恵茉が飛んでいた。手には彼女の藁人形を持っている。
「え? なんで? 私の藁人形が盗られてるの? 返して!!!」
振り向きざまにハサミをくりだす。だけど
「消えた?」
恵茉はその攻撃を回避。俺自身も、この場にいる誰もが恵茉の動きを捕らえることが出来ない。
「何あれ、一瞬で移動してるんだけど。まじウケ。包茎~、何か分かる?」
「瞬間移動? いや空間移動の部類か? でもそれならうちの目なら捉えられるはず。ならあれは……時藤日葵と同じ時間操作?」
「何にせよ魔法なんっしょ? 移動重視の守備特化。攻撃しまくれば問題なくネ? ほら!! カチ割れな!!!」
オレンジ色の少女が斧を振り上げ恵茉に襲い掛かる。この攻撃は何度も見た。大丈夫、恵茉にはもう通じない。
ドカン!!!
地面が陥没し衝撃が奔る。
「ちっ、外したか。でもさっ、ちびっ子の魔力は感じてる。そこ!!」
横一線。斧を恵茉に向けて振り払う。だけどもう遅い。なぜならもうその攻撃は
“存在しないのだから”
シューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ポン!
「は?」
オレンジ色の少女。彼女の変身が解けた。
彼女の魔力探知は優れていた。恵茉の居場所も特定出来ていた。だけどそれに意味はない。斧を振り払うより先に恵茉の左手は彼女の肩に触れていたのだから。
「何じゃこりゃーーーーーーーーーーー。は? 意味不。まじ意味不なんだけど。なんで私服に戻ってるの? 魔法消えてるし」
「ねぇ、もう戦うのは止めよう? こんなの、絶対おかしいよ」
「おかしいのはお前だろ、ちびっ子!!!」
驚きながら数歩後退。戦闘姿勢を取るが斧がないため攻撃も出来ない。苛立ちと焦燥が見て取れる。
「クソクソクソクソ、意味不明な魔法使いやがって」
「落ち着くんや、彩香。魔力が吸い取られたわけやない。もう1度魔法少女に変身すればええだけの話や」
「もう~、面倒くさ。分かってる。変身ね? 変身。そーれ、と」
だけど
「ん? あれ? 何故に? ね~包茎~、魔法少女に変身出来んのだけど。どして?」
「はぁ? どういうことや? 彩香の魔力はまだぎょうさん残っとる。変身出来ないはずはない。どないなっとるんや?」
「玉袋、これ、どういう原理? いや、そもそも魔法なの?」
「わ、分かりません。まるで狐につままれたような感覚です。あっ、この場合狸か。狸と契約してますしね」
大丈夫だ。恵茉の魔法は見切られてない。
だけどそれ以上に
「すごいな、これが魔法少女か」
これまで魔法少女は何人か見てきた。今もこうして相対してる。俺は魔力探知が出来ないし、苦手だ。だけど魔力を見ることは出来る。
恵茉の魔力……桃色の魔力が体全体を覆うように包んでいる。オレンジ色の少女の斧の魔力が霞んで見えるくらいに。恵茉の魔力は色濃く力強い。
「……逃げるで」
「はぁ? まだ何もカチ割れてないんですけど」
「私も……人形盗られたまんま。それに髪の毛もっと欲しい」
「状況が変わったんや。時藤日葵もいるなかでこの状況は明らかに不利。逃げるに限る。逃げるが勝ちってな。生きてナンボのこの世界や」
「待ちなさい、勝手に襲っておいて逃げるつもり?」
「うけけけけ、これも戦略というやつで。ではではまた次の機会に。いくで~~~~~~~~~~~テレポート!」
その言葉と同時に
ピュン!!
狸型妖精と2人の魔法少女は消えていった。
「すごいな、自分だけでなくて担当する魔法少女もテレポート出来るんだ。どうやるんだろ。今度ぽこちん先輩に聞いてみようかな」
「と、時藤さん大丈夫?」
恵茉が心配そうに駆け寄る。魔法少女になっても性格が変わるわけじゃない。強くなったと言っても恵茉は恵茉だ。
「三途川、恵茉」
「ご、ごめんね。すぐに助けられなくて」
「あなたの魔法、どういう原理? ううん、違う……あのね、三途川さん」
「なに?」
「私、あなたのことが好きになったわ」
「……え?」
夕暮れの公園
誰もいない静寂のなか
新しい物語が始ろうとしていた。
………
……
…
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