20話 新卒営業と乱戦
「え?」
ビュン!!
上空から何かが落ちて来る。
俺は咄嗟に彼女を突き飛ばす。
「きゃ!」
ドカン!!
衝撃
それと同時に土煙が舞う。
攻撃された? そんなバカな? 人類の敵がいる感じはしない。だったらこれは何だ?
「へー、驚いた。魔力は消してたはずなのに避けられピ。殺気で反応? 超ウケ」
オレンジ色の髪が目に入る。この攻撃は……魔法少女?
「包茎ー。うちの攻撃そんなに下手ピ?」
「いやいや、今のはそこの狸の反応が良すぎでしょ。何なの? おたく」
こいつら、まさか。
「察しの通り。味方にならない魔法少女は殺してしまうに限るので」
「バカか、あんたら。人間が人間を殺したら殺人だぞ? そんなことも分からないのか? そもそも魔法をそんな風に使うなんてどうかしてる」
「うひゃー、怒られた。まぁ当然と言えば当然か。でもさ、別に魔法で死んでも人類の敵に殺されても変わらんくね? なら私に遊ばれて死んでも良くネ?」
オレンジ色の髪をサイドテールにした女の子。巫女装束? というのだろうか。それを基調とした魔法少女。
見た目は高校生くらいか。耳と舌のピアスが異様に目立つ。
手には身の丈ほどの斧。斧の刃先からはオレンジ色の魔力が溢れている。
「な、なんで魔法少女が私を襲うの? 魔法少女は人類の敵を倒すんだよね?」
「別にそんなの決まってなくね? だってお金持ちになるため魔法少女になるやついるんだし。むしろ自分のために使うのが自然ぽくない?」
確かに魔法は人間のためにある。自分の欲求を満たすために使う子もいる。だけどこれはあまりにひどい。無抵抗の人間をただ攻撃するなんて。
「あっ、ちなみに私の斧には呪術のバフがあってさ、傷付いたら絶対に治らないから注意してねー。ちょっとの傷でも永遠に血が流れるから。ウケルしょ?」
「悪いねー悪いねー。本当に悪い魔法少女やわ。うけけけけ」
最悪な人間に魔法を渡すとどうなるか。いい見本のようだ。常識のある妖精ならこういう危険思想の子とは契約しない。魔法少女の評判をも下げてしまうからだ。
だけどこの河童型妖精はそんなこと気にしないのだろう。むしろ進んで魔法を授けた可能性もある。この気味の悪い笑い方がいい証拠だ。
「ごめんね、ちびっ子。せめて楽に殺してあげるから。私さ、殺しは好きだけど拷問は嫌いなんよ。頭カチ割って脳みそぶちまけてねー」
斧が持ち上げられる。
どうしてこうなる? なんでこうなる?
何もしてない女の子がどうして襲われる? こんなの、あまりに理不尽だ。
俺に何か出来ることはあるか?
説得する? 論外だ。
バリアを張る? 無理だ、そんなこと出来ない。
なら、なら
「止めろ~~~~~~~~~~~~~~~~」
俺はオレンジ色の魔法少女に蹴りを入れる。その隙に逃げてもらうしかない。
だけど
「邪魔ピ」
バシッ
平手打ちをくらう。
「うわ~~~~~~~~~~やられた~~~~~~~~~~~~~~」
俺は回転しながら10メートルくらい飛ばされた。
そうさ、妖精はものすごく弱いのだ。
「ううっ、くそっ、俺は何にも出来ないのか? 逃げる時間を稼ぐことも出来ないのか? 梅子さんの時も何も出来なかったのに。妖精は、本当に無力なのか?」
「うけけけけ、魔法少女に飛び掛かるなんてアホでしょ。おたくポンコツすぎへん? 何をやっても時間の無駄無駄。ささっ、さっさと殺してしまおうか」
「了解ピ」
「くそ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」
俺の叫び声が空しく響く。だけどその時
「時間って、本当に大切よね。そこの狸型妖精が稼いだ時間のおかげで間に合った」
「うけ? 魔力反応?」
「クロックダウン」
青白い魔法陣が現れる。斧を振り下ろそうとしてた魔法少女の動きを止まる。
「この青い光は」
見覚えがある。そう、これは梅子さんの家で見た時と同じ光。
公園の端にある電柱。その一番上に立つ青い魔法少女。確認するように見下ろしている。隣には狐型の妖精もいる。
「ようやく見つけたわ、河童型妖精」
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