14話 エリート妖精と河童型妖精
エリート妖精玉袋と時藤日葵の物語。
そこにいたのは
「うけけけけ。うけけけけ。この度はご連絡ありがとうございます。まさかあの時藤様から連絡頂けるなんて。うけけけけ。うけけけけ」
河童型の妖精がいた。
「本当に9歳でも契約出来るんでしょうね?」
「うけけけけ、それはもちろんでございます。うちはどんなお客様のニーズにも応えるのがモットーですから。あっ、でもその後のことは自己責任でお願いしますよ」
「ちょっと、あんた何してるのさ。時藤家はオイラの担当だ」
「そんなのは関係ないんちゃう?。君、レッドフォックス社の妖精? エリートやねぇ、エリートや。だけどエリートって基本マニュアル重視だからねぇ。こんなことには対応できないよねぇ。あっ、それバリア展開~!」
「な?」
繭様と河童妖精がバリアに包まれる。
「入れない?」
透明で中は見えるが固い壁に阻まれ入ることが出来ない。そのバリアの中には当然眠っている紬様もいる。
「このバリアを解くのさ」
「無理むりー。契約が終わるまでは解かない。うちは優しいやろ? 敵の攻撃から守るためバリアだって展開してあげるんやし。うけけけけ」
「繭様、どうしてそんな奴と契約なんか」
「うるさい。あんたらにはもう頼らない。時藤に従うとかサポートするとか言っておいて何もしてくれないじゃん。私は自分の力でお姉ちゃんを助ける。河童、契約はどうすればいいの?」
「血を頂ければ。なーに、ここにナイフがあるんで先っちょからちょいと血を出してもらえればいいだけです」
「分かった」
「繭様!!! くっ」
テレパシーを日葵様に送らないと。
(日葵様、大変です。繭様が魔法少女契約をしてしまいます。急いで病室に来てください)
(え? 繭が? どういうこと? 待って。今こっちには梅毒が2体もいて。私は動けないの)
(え? 2体?)
同時に現れたということか? いや、そんなバカな。
「うけけけけ」
「まさか! 人類の敵を呼んだ?」
(魔法少女になるからには敵が必要やからね。うけけけけ。必要悪っていうやつさ)
こいつ、オイラ達のテレパシーを傍受してる?
(安心しなよ。契約が終わるまで敵はこっちには来ない。ただ……契約が終われば話は別。うちはこの子の初陣を高みの見物したいからね。うけけけけ)
「繭様、騙されてはいけません。そいつは悪です。悪と契約してはいけない」
「何言ってるんやか。妖精に悪も正義もないで。君、青いよ。新卒?」
「バカにするな。オイラは3年目さ」
「3年目なんてまだまだよ。もっと経験積まないと。営業って同業他社との競合よ? 甘いんじゃない?」
「法令順守も出来ないくせに偉そうに言うな」
「それが甘いって言うんや。温室育ちはこれだから。ささ、エリートは置いといて契約といきますか。血は出ましたか?」
繭様は指先からの血を見せる。河童型妖精はその血を小瓶に入れた。
「ありがとうございます。これで概ね終了です。うちの契約は簡単でしょ? ニーズに沿ってますから」
「契約内容の説明もほとんどしてないのに」
「そんなのは事後でいいのよ。まずは契約ありきでしょうが。営業舐めてるの? ささっ、繭様。後は魔法を決めるだけです。どんな魔法にします? 対象を呪い殺す魔法とかおすすめですよ? 当てればどんな敵も確実に殺せます。まぁ時間は掛かりますがね。うけけけけ」
よく言うさ。呪術系の魔法は強力だけど当てるのも大変。それに効果が出るのも10分以上と言われてる。敵は殺せても魔法少女の生存率は著しく落ちる。そんな魔法を進めるなんてどういうつもりだ?
「繭様、オイラの言葉を聞いて下さい。繭様!!」
「ったく、やかましい狐妖精やなー。これだから素人は。ささっ、繭様どんな魔法にします?」
いけない。このままいったらあの河童型妖精の言うままに契約しかねない。どうにか、どうにかしないと。でも、でもどうやって?
「河童も玉袋もうるさい! なんで妖精はどいつもこいつもおしゃべりなの? もっと静かにしてよ。私が望む魔法なんて決まってるに」
「これはこれは失礼しました。話は聞いてますよ? 毛ジラミのせいでこうなったとか。あいつを一撃で殺せる魔法にします? それとも梅毒殲滅に有効なやつ?」
「私の魔法は治癒魔法」
「チユ? そんな攻撃魔法ありましたっけ?」
「治癒よ、治癒。人の怪我や病気を治す力。私は治癒魔法を習得するの」
「……へ?」
「何よ?」
「そ、そんなんでいいんですか?」
「いいから早くして」
河童妖精が採取した血。小瓶に入った血が赤く発行する。
“血の契りにて結び殺す 血の契りにて呪い殺す”
“呪呪呪呪呪”
“呪呪呪呪呪”
“トキトウマユに永遠の戦いを”
“トキトウマニに永久の戦いを”
“呪呪呪呪呪”
“呪呪呪呪呪”
赤い血液がいくつもの鎖に変化する。赤の血で出来た鎖。それが繭様の体を縛るように巻き付く。変身が始まる。
“魔女契約完了 対象者時藤繭”
“魔女契約完了 対象者時藤繭”
繭様の私服が消失。鮮やかな黄色だった髪が赤色に染まる。赤い巫女装束の赤い魔法少女。
レッドフォックス社とは契約そのものが違う。これは……いけない契約だ。
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