13話 エリート妖精の緊急事態
エリート妖精玉袋と時藤日葵の物語。
「はぁ」
病院を出て日葵様から小さなため息が漏れる。当然さ、昨日も似たような感じだった。繭様にとって紬様は唯一無二の家族。それだけ繭様にとって紬様の存在は大きい。自分の命、もしくはそれ以上に。
「大丈夫ですか?」
「平気よ、繭のああいう所は昔からだしね。でも……役立たず、か。また言われたな。もっと頑張らないと」
表情を崩さない日葵様。だけどオイラには分かる。日葵様はとても傷ついていることを。日葵様は優しいし心の温かい方だ。そんな方が傷つかないはずない。
早く治癒の出来る魔法少女を見つけて前のような2人の姿を見たいものさ。
「日葵様、うちの会社でも治癒魔法の情報を集めてます。うちは大手ですしもう少し待ってもらえれば」
「ありがとう。私も今から探してまわるわ。1人1人に声掛けて見る。魔力の強い子を検索して、玉袋。」
「え? 今からですか? そ、それに他の魔法少女と接触するのはかなりリスクが高いですよ」
「そんなこと言ってる場合じゃない。何日掛かるかは分からないけど、必ず探して見せる」
「学校はどうするんですか?」
「休むわ。学校よりも紬の方が大切だもの」
日葵様はこう見えて行動力がある。被災地に足を運んだり訓練場に毎日通ったり。目的を決めたらそこに一直線に進む方だ。だけど今回は驚いた。まさか今から魔法少女を探しに行くと言い出すなんて。
それだけ紬様のことが大切なのだろう。分かったさ。日葵様がそう言うなら止めることはしない。オイラだって出来る限りの協力はする。
「分かりました。どこまでも付いていきます」
そんな時だった
ドカン!!!!!!!!!!
病院の方から大きな爆発音。
「なっ? 何が起きたのさ?」
“人類の敵出現、人類の敵出現”
“距離、南西100メートル。距離南西100メートル”
“人類の敵出現、人類の敵出現”
“距離、南西100メートル。距離南西100メートル”
「こんな時に?」
人類の敵はいつどこで現れるか分からない。こちらの都合なんて関係ない。戦力が整っていなくても、どんなに疲弊してても、魔法少女は戦わなければならない。
そこに人類の敵が現れる限り
“魔法少女契約開始”
“対象者、時藤日葵”
“魔法少女契約開始”
“対象者、時藤日葵”
日葵様の私服が消失。青い制服ドレスに身を包まれる。
「日葵様、敵は梅毒です」
「分かったわ。梅毒なら30分停止させられる。今回はみんな助ける」
日葵様は全速力で病院に向かう。
トゥルルルルル
トゥルルルルル
「こんな時に電話? 誰だ?」
相手は
玉筋部長? え? どうして?
オイラは慌てて出る。
「もしもし、玉袋です」
「忙しい所悪いね。少し悪い情報が入ってね」
え? 悪い状況? 今以上に悪い状況が? 嫌な予感がしつつ話を聞く。
「河童社の妖精が時藤繭様に接触したと情報が入ってね。心配で電話したんだ」
「え? 河童社がですか?」
河童社とはここ最近設立されたベンチャー企業。契約のためなら何でもするらしく悪い噂が絶えない。そんなだからか名家である時藤家が相手にするはずもなく門前払いが当たり前だった。
それがここに来て繭様と接触?
「まさか! 繭様と契約? いけない!!」
魔法少女契約は早い物勝ち。油断していた。
「時藤繭様の所までテレポート」
オイラは急いで病室に向かう。
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