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第80話 ケチる

――タゴルの死の森で訓練から2月ほどたつ。


町には順調に人が集まってきており、つい先日【領民千人集めろ!】のクエストが達成され10万ポイントが入ってきた。

住民の数自体はそれ以前に達成していたのだが、どうやら定着した領民とみなされるまでには時差がある様だった。


まあ引っ越してきても、あわないって理由で直ぐに出ていくやつもいるだろうからな。

当然すぐに出て行く様な奴は領民とは言えないので、その辺りが影響しているのだと思われる。


因みに、次は【領民10万人集めろ!】のクエストが発生している。

成功報酬は500万ポイント。

達成しようとすると、冒険者用の町を後数個必要だ。

流石にこれは相当先になりそうである。


「そろそろ寒くなってきたな」


村に向かう道中、感じる肌寒さに俺はそう呟く。

もうそろそろ冬の到来である。


「マスター。私にお任せください」


ポッポゥがそういった次の瞬間、周囲の温度が上がる。

彼女の炎の力で周囲の空気を温めてくれた様だ。


「ありがとう」


「あったかいわねぇ。流石炎の騎士ねぇ」


「これぐらいお安い御用です」


ほんと、精霊ってのは便利な存在である。

今こうして俺が順調にやっていけてるのも、間違いなく精霊4人の力によるところが大きい。

そう考えると、あの時カッパーに出会えたのは本当にラッキーだったと言える。


まあ、あいつを幸運の女神とは思いたくないけど……


彼女が定着してジャガリックを呼び。

そこから芋づる式に精霊達が増えて行ったので、間違いなくカッパーが起点であることは疑い様がなかった。


ただやはり心情的には、その考えを素直に受け入れられない。


怠け者だし。

かっとなったら蹴って来るし。

その性格は厄介極まりないからな。


まあそんな事はどうでもいいか。


「村に着いたら村長と越冬計画も立てないとな」


この辺りは雪も降るそうなので、食料や燃料なんかの心配が例年に比べてないとはいえ、ちゃんと計画は立てておかないと。

気温が下がると免疫力とかも下がるからな。

病気なんかで死人が出たりしたら事だ。


まあ最悪、生き返らせてやる事もできるけど……ってそういや、病気とかでの死亡でも蘇生って出来るのかな?

後、寿命とかはどうなんだろうか?


今まで生き返らせて来たのは、外傷による者達だけである。

死に方次第で蘇生できない可能性も十分あり得る話だ。

特に寿命の方は。


まあ確認はできんよな……


出来るとしたら、誰かが病死した後である。

そして蘇生できなかったら後の祭りになるので、試しにという訳にもいかない。

なので寿命はともかく、病気は予防する方向で動かんと。


「なあジャガリック、精霊草関連で病気の治療とかは出来ないもんか?村には医者もいないしさ」


備え付けの医療薬などは、オルブス商会を通して村においてある。

が、それも完璧には程遠いし、そもそも医者と呼べる物がいない。


なにせ僻地の小さな村だからな。

だいぶ暮らしが良くなったとはいえ、こんな僻地の村にやってきてくれる様なもの好きはいないのだ。


「病気は様々な要素で発生しますので、なかなか一元的な治療薬と言うのは難しいかと。申し訳ありません、マイロード」


「そうか。まあそうだよな」


精霊草は結構万能気味ではあるが、流石に何でもとままでは行かない様だ。


「とりあえずですが、精霊草で作った丸薬を村に常備薬として置いてみてはいかがでしょうか?あれは気力や体力を補う効果もありますので、時間稼ぎには有効かと」


「あー。まあそうだな。緊急時に飲ませて時間稼ぎでもできれば、屋敷に運んでジャガリック達に見て貰うなり、ゲートを使って医者を呼ぶなり出来るか」


「はい。もしくは……精霊草か、我々精霊をランクアップしていただければ対応できるかもしれません」


「ランクアップかぁ……」


精霊達のランクアップには少々問題があった。


前回は三日程だったが、次のランクアップには恐らくひと月近く行動不能になる可能性があるとタニヤンからは聞いている。

ひと月も激痛に堪えるとなると、その負担は相当な物だろう。


また、パワーアップするまでの間、その精霊の力を使えなくなるのもマイナスだ。

現在利用しているゲートなんかは、精霊4人居ないと使えなくなってしまう。


そしてこれは精霊草と共通なのだが……


とにかく、くっそポイントがかかる点だ。

現在はC-な訳だが、そこから上げるのには一段階につき8千ポイントかかり。

Bに上げるには1万6千ポイントプラス、限界突破費用が追加で数万かかる事が予想される。


なので、一人上げるだけで相当な量のポイントが飛んで行く事になってしまう訳だ。

それが4人分ともなれば、下手をすれば手持ち――30万ポイント近く――が全部吹っ飛んでしまいかねない。


因みに、精霊のランクアップに関する永続クエストは出ていないのでキャッシュバックは無しだ。


俺は貧乏性だからすっからんとか嫌なんだよなぁ……


まあ全員上げなければいいだけな気もするが、差をつけるのも正直戸惑われる。


で、精霊ではなく精霊草のランクアップなのだが……


こちらは此方でポイントが糞かかる。

以前試しに一本Aランクにしてみようとして見た所、その際システムに提示されたのが――


なんと20万ポイントである。


高すぎ!


明らかにBまでと次元が違う必要ポイント数。

これで株分けが出来るのならともかく、次の段階の精霊草を増やせるかどうかはジャガリック達にとっても未知数だそうなので、最悪使い捨てという事にもなりかねない。


そんな事になったら卒倒ものなので、小心者の俺は出来ればそういうギャンブルは避けたかった。


なので――


「まあランクアップは保留で、丸薬を対処法としていくつか村用に用意しよう」


――ポイント節約を選択する。


まあ環境も大幅に改善されてるし、彼らは長年続いた過酷な状況を生き抜いた、ある意味エリート達だ。

だからそうそうキッツイ病気にはかかったりはしないはず。


たぶん。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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最強執事の恩返し~転生先の異世界で魔王を倒し。さらに魔界で大魔王を倒して100年ぶりに異世界に戻ってきたら世話になっていた侯爵家が没落していました。お世話になった家なので復興させたいと思います~
大魔王を倒して100年ぶりに戻ってきた勇者が、没落した侯爵家を執事として再興させるお話になります
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『現代ファンタジー』ユニークスキル【幸運】を覚醒したダンジョン探索者が、幸運頼りに頂上へと昇りつめる物語
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