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第78話 実践訓練

死の森から探索隊が戻り、その情報を吟味して問題ないと判断。

なので今日これかから、死の森でのタゴルの実践訓練と言う名のポイント稼ぎが始まる。


「お兄ちゃん頑張ってね」


「おう。俺がいない間は寂しいだろうが我慢するんだぞ」


「え……あー、うん、まあそうだね」


真剣にそういうタゴルに対して、アリンが何とも言えない様な顔で返事する。

兄の方はシスコン全開だが、妹の方はブラコンのブの字もない常識人なのでその温度差は顕著だ。


死の森で実践訓練は、一週間の籠りの予定となっている。

最初はゲートを使って日帰りの予定だったが、そんな甘い内容じゃ中途半端になるとエクスが主張したため、一週間籠る形になった訳だ。


「随分と荷物が多いな」


エクスは大荷物を背負っていた。

軽装のタゴルとは対照的に。


「女はね。いろいろと物入りなのよ。これでも随分諦めたぐらいなんですから」


エクスがウィンクしながらそう言う。

いったい何が詰まっているのやら。


因みに、彼らの食事は特製の小さな丸薬だけだ。


これは精霊草から作った物で、一粒食べれば三日は何も口にしなくて済む栄養食となっていた。

しかもスパムポーション同等の回復効果持ちなので、緊急時の回復にも使える超優れものとなっている。


それを数粒渡しているので、タゴル達は食料を持ち運ぶ必要がなくなり、一週間と言う長丁場にもかかわらず、食糧で荷物が圧迫される心配はなかった。


便利だからそれも商品化するのか?


これはしない。

もちろん便利な代物なので需要はあるとは思うが、問題は価格だ。


実はこれ一個作るのに、スパムポーション二つ作る事が出来るぐらいの精霊草が必要となる。

当然、売り出すとなれば倍の価格でなければ元は取れない。


が、その価格では絶対売れないだろう。


まあ領地内価格なら多少は売れるんだろうが……


領地外に一般普及する際は、スパムポーションは20倍という価格で販売予定となっていた。

ぶっちゃけ、これは一般人には気軽に手の出せない強気価格だ。

なのでそのターゲット層は、万一に備えての富裕層や貴族、それに上級の冒険者などである。


一般人が買えないとか高すぎないか?


いやいや、効果を考えたらこんなもんだよ。

産出量が多ければ薄利多売も考えてもいいんだろうけど、現在の産出量じゃ、安く売っても買い占められて転売されるのが落ちである。

だから糞高いのは仕方がないのだ。


あと、ぼろ儲けしたいし。


で、くっそ高いスパムポーションの倍の価格になる丸薬。

その追加効果は三日間腹が減らないだけ。


これで誰が買うと言うのか?


だから作らない。


「はぁ……面倒くさいですねぇ」


カッパーが心底めんどくさそうにため息をついた。


「悪いな。貴重なポイント源でもあるから頼むよ」


今回のタゴルの訓練には、カッパー、ジャガリック。タニヤンも同行する事になっている。

正確には、その分け身――分身が、ではあるが。


分身なので当然大した事は出来ない。


基本的にカッパーの役目は水筒。

ジャガリックはキャンプ時の寝床づくり。

そしてタニヤンは就寝時の風の結界――魔物が触れると音が鳴る鳴子的な物。


という感じだ。

後、三人の分身は帰還時のゲートを開ける際のGPS的な役割も担っている。

場所が分からないと、帰還が徒歩になってしまうからな。


「はぁ……カッパーの悠々自適なアンニュイライフが、どんどん崩れて行って憂鬱極まりないです」


人の屋敷の井戸水を勝手に拝借したのが、君の転落精霊生の始まりである。

まあ別に転落はしてないけど。


「これカッパー。若いうちから怠けていると、ろくな精霊にならんぞ。こうやってすべき事を与えられている事に、エドワード殿に感謝せねば」


「はーい」


死の森へと通じるゲートを精霊達が開く。


「じゃあ行ってくる。くれぐれもカンカンには気を許すなよ」


「はいはい」


「いっぱいレアな素材を持ち帰って来るから、期待しててね男爵様」


「ああ頼んだ。でも、くれぐれも無理しないでくれ」


「うふふふ。あたしこう見えて超ベテランだから、その辺りは任せて頂戴。ちっちゃい精霊さん達もついてきてくれるしね」


ゲートを通り、タゴル達が消えていく。


「期待してるぞ」


ポイントがっぽがっぽ頼む。

タゴルの強化?

そんなもんはおまけだおまけ。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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