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第5話 まあいいだろうの精神

「ぎょえええええええええええぇぇぇぇぇっぇぇぇぇぇ!!!」


カッパーが地面を転がり回る。

ランクがEと低かったので一気に2段階上げた訳だが、その苦しみ様は想像以上だった。


……俺の時の様な部分単位ではなく、全体のランクアップだったからかな?


因みに、カッパーは部分的なランクアップは出来ない仕様となっていた。


なぜできないのか?


そう言う仕様だからとしか答えようがない。

別に俺が作った能力って訳じゃないからな。

区分なんてわかる筈もない。


「ほぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ……あ……あが……」


藻掻き苦しんでいたカッパーの動きが突然止まる。


「体がぴくぴく痙攣してるし……まあ死んではないだろう」


気絶したと考えるのが妥当だ。


「取り敢えず……体でも綺麗にするか」


ただ待っていても仕方ない。

井戸から水をくみ上げ、それでタオルを濡らして体を拭く。

ひんやりして気持ちいい。


「腹が減って来たな」


体を拭き終わっても、まだカッパーはぴくぴくしていた。

人の事を『この豚やろう』なんて言ってた奴を心配してやるつもりもないので、俺は屋敷に戻って荷ほどきする。

食料を取り出すために。


「今一だな」


口にしたのは全て保存食だ。

酷いとまではいわないが、それでも王宮の食事に馴れた身としてはどうしても粗末に感じてしまう。


「まあダイエットもしないといけないし、これぐらいで丁度いいと思っとこう」


このままのぶよぶよの体形で過ごすつもりはない――ランク上げても体形は変わらない。

美味過ぎれば無駄に食が進むだけなので、ちょっと不味いぐらいがダイエットには丁度いいのだ。


「ふむ……」


食事を終え、更に荷ほどきを進めていくとかなり暗くなってきた。

俺は手を止めカッパーの様子を見に戻ったが、彼女はまだ気絶してままでぴくぴくしていた。


「どう考えても、人間が受ける痛みより強いよな」


俺の時も筋力上げた際は悶絶してしまったが、此処まで酷くはなかった。

少なくとも短時間で回復出来たし。

そう考えると、全体とは言え、精霊のランクアップに伴う痛みは人間以上と考えた方がよさそうである。


「取り敢えず水でもぶっけとくか」


流石にそのまま放っておくのも気が引ける。

さりとて、一応女性である彼女を抱えて屋敷に連れ込むと言うのもあれだ。

そこでお俺の出した答えが『水をぶっかけておく』である。


水の精霊だし。

水かけときゃ良いだろの精神である。


「寝よ」


屋敷に戻って引き続き荷ほどきをしていると、眠くなって来たので就寝。

朝目が覚めて軽食を取り、再びカッパーを見に行くとまだぴくぴくしていた。


大丈夫かこいつ?

と、少し心配になるが、俺ではどうしようもない。

取りあえずまた水をかけておく。


「取り敢えず荷ほどきは殆ど終わってるし、いっぺん村に行ってみるか……」


この領地には村が一つだけあった。

と言うか、一つしかないと言うのが正解か。

領地自体は糞広いのに、人の住む村はたった一個しかないのだ。


流石僻地である。

さすへき。


そんな下らない事を考えながら、俺は朝食を摂って村へと向かう準備をした。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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大魔王を倒して100年ぶりに戻ってきた勇者が、没落した侯爵家を執事として再興させるお話になります
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