表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/158

第2話 ランクアップ

「あっぶねー」


俺は鉈の刃先を、あてていた首筋から慌てて離す。

危うく自殺するところだった。

危ない危ない。


「しっかし、ひでーな」


何がって?

自分の行動が、だ。


ああ、素行不良の部分じゃないぞ。

無能でいらない子扱いされたら、ぐれるのも当然だからな。

その事については別段反省していない。


問題は、ペカリーヌ王女に怪我をさせてしまった事だ。


「いくら初恋でやり方が分からないからって……」


恋愛ハウツー本に書いてあった当たって砕けろを物理的にするとか、完全にアホの子である。

ペカリーヌ王女には悪い事をしてしまった。


「いつか機会があったら、彼女にはちゃんと謝るとしよう」


まあ相手は俺の顔なんか見たくもないだろうが。

あくまでも、何らかの形で顔を合わせてしまったらの話である。


「さて、どうしたもんか」


世間一般では、俺はギフト無しの無能と言う事になっている。

だが違う。

ギフトはちゃんと貰っているのだ。


転生時に。

それも、超有用な奴を。


じゃあなんでギフト無し扱いになってるんだって?


簡単な事だ。

転生時に貰ったギフトは神の力に準拠する物であるため、一般の鑑定では判定できなかったに過ぎない。


「取り敢えず……【ランクアップ】があるから、生きていくには困らないとは思うけど」


【ランクアップ】

それが俺が神から貰った特殊なギフトである。


「まずはこの屋敷からだな。こんな廃墟みたいな場所で生活なんかできるかっての」


廃墟屋敷を見ると、【ランクアップ】の付随効果である鑑定で屋敷の詳細が示される。


『屋敷F-』


F-、これがこの屋敷のランクだ。

ランクにはFからSまであり、±も含めると21段階に分かれている。

Fのマイナスは言うまでもなく、その中における最低ランクだ。


「どれ、使ってみるか」


おれは屋敷に手を向け、自らのギフトを発動させる。

ボロボロの廃墟に近かった建物が光り輝き、まるで時間を巻き戻すかの様にみるみる修復されていく。


建物だけではない。

周囲の囲いや門なんかもだ。


「おお、こりゃスゲェな」


ランクをF-からCにまで引き上げた所、廃墟同前のボロボロだった屋敷はそこそこ見栄えのいい建物へと生まれ変わる。

これなら生活するのに十分だ。


え?

何で一気にSまで上げなかったのかって?


理由は簡単。

【ランクアップ】にはポイントが必要になるからだ。


この強力なギフトは、残念ながら無条件で使える物ではなかった。

スキル使用には専用のポイントが必要となり、無軌道にランクアップさせまくる事は出来ないの様になっているだ。


無制限にできてしまったら、滅茶苦茶出来てしまいそうだしな。


「ポイントは大分溜まってるけど、無限じゃないからな」


スキル使用に必要なポイントの獲得は3パターンある。


ひとつはデイリー。

毎日0時に10ポイントが入って来る。

1年で入ってくる総ポイントは3,650――この世界の周期は地球とほぼ一緒。


もう一つはクエスト。

俺には様々なクエストが用意されており、それを達成する度にポイントが付与されていく。


因みに、生まれてこの15年間で達成したクエストは一つもない。

まあ能力自体忘れてたんだから、そりゃそうだよな。


そして最後が狩りだ。

ある一定レベルの生命体を殺すと、ポイントが入る様になっている。

この世界には魔物が居るので、主にそいつらを狩って稼ぐ事システムだな。


現在俺の所持しているポイントは54,704ポイント。

生まれてから15年間のデイリーでたまったものである。

一けた台に端数があるのは、さっき屋敷につかったせいだ。


屋敷に使ったポイントは――


F-からF+に上げるのに2ポイント――1段階1ポイント。

F+からE+に上げるのに6ポイント――1段階2ポイント。

E+からD+に上げるのに12ポイント――1段階4ポイント。

そしてD+からCに上げるのに16ポイント――1段階8ポイント。


――全部合わせて、合計36ポイントとなっている。


基本的にランクが上がれば上がる程、ランクアップに必要なポイントは増えていく。

それに、何のランクを上げるのかにもよってもポイントは変わる。


例えば、このボロンゴ領を見てみよう。

まあここも最低ランクだろうが――


「え!?」


自らの与えられた領地を鑑定で確認し、俺は思わず変な声を上げる。

何故なら、ゴミ扱いされている領地のランクがA+と表示されたからだ。


「いやいやいや、それはないだろ?」


もう一度鑑定してみるが、やはりランクはA+のままだ。


「やばい魔物だらけの死の森と、荒れ地しかないってのに……なんでこんなにランクが高いんだ?」


完全に意味不明である。

因みに、ボロンゴ領をSに上げるのに必要なポイントは100万と表示されていた。


くっそ高い。

まあ領地は相当広しい、その影響力を考えると妥当なのかも知らないが。


「まあそこはいいや。まずは荷物でも運び込むか……」


荷馬車には生活用品や食料が積んであった。

まずは引越しを優先するとしよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作宣伝
天才ですが何か?~異世界に召喚された俺、クラスが勇者じゃないからハズレとして放逐されてしまう~だがやがて彼らは知る事になるだろう。逃がした魚が天に昇る龍であった事に
異世界に召喚されたがハズレクラスだったため異世界に放棄された主人公。本来なら言葉すらも通じない世界に放り出されれば絶望しかない。だが彼は天才だった。これは持ち前の超学習能力で勇者を越える存在へと昇りつめる天才の物語
スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~
『現代ファンタジー』ユニークスキル【幸運】を覚醒したダンジョン探索者が、幸運頼りに頂上へと昇りつめる物語
ブラック企業務だった前世に懲りて転生先で俺はスローライフを望む~でも何故か隣の家で生まれた幼馴染の勇者が転生チートを見抜いてしまう。え?一緒に魔王を倒そう?マジ勘弁してくれ~
転生先でスローライフしようとしたらお隣さんは勇者で、しかも鑑定でチートクラスを見抜かれてしまう。魔王を一緒に討伐!?冗談じゃねぇ!俺は一市民としてやっていくから放っておいてくれ!!
― 新着の感想 ―
4日で廃墟をリノベできちゃうって…コト!?
続きに期待して星入れた
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ