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素行不良で僻地に追いやられた第4王子、自分が転生者だった事を思い出す~神様から貰ったランクアップで楽々領地経営~  作者: まんじ(榊与一)


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第153話 ボーンドラゴン

黒い閃光と、衝撃波。

進化中で動けないカッパーに、あれを防ぐ手立てなどない。


「カッパー……」


すまない。

心の中で、彼女に詫びる。

いつも愚痴ばかり行っていたが、それでも、何だかんだと俺のために頑張って来てくれたカッパーに、結局、俺は何もしてやれなかった。


俺も直ぐそっちに行くから……


ふと、自然の一部である精霊と。

死んだ人間は、果たして同じところに行くのだろうか?

そんなくだらない考えが頭を過る。


今考えなければならないのはそんなくだらない事ではなく、どうやって自身や精霊達を守るかって事なのだが……


「皆、逃げる力はあるか?」


「マイロード。私達の事は捨てて、どうかお逃げください」


「ワシらは消えても構わん。じゃから早く逃げるんじゃ」


「マスター。騎士は……主を守るためにあります。我々の事は、お気になさらずに」


精霊達はボロボロで、逃げ出す力も残っていない状態だ。

しかもあの黒竜は、真っすぐ俺を睨みつけている。

向けられる殺気も半端ない。


カッパーを殺したブレスを連発できないと想定しても、力の差があり過ぎて、逃げ出せるとは到底思えなかった。


「逃げ出したいのは山々だけど……どう考えても逃がしてくれそうにないんだ」


「マイロード……」


「ぐ、エドワード殿……」


「マスター……」


「フェンリル。最後に一仕事して頼む?あいつを……一発ぶん殴ってやりたいんだ」


何もできずにこのまま殺されるのは、余りにも腹立たしすぎる。

カッパーの仇ではないが、せめて一発位ぶん殴ってやらなければ気持が収まりそうもなかった。

幸い、何故か相手は動きを止めているので、一発位ぶん殴ってやれるはずだ。


まあ近付いた途端、尻尾でバーンって可能性もあるが……


「ぷぎゃぎゃ(うん、頑張る)」


「ありがとう」


俺は拳を構え、そこにありったけの力を集中する。

そして黒竜に向かって突っこ――


「ん?なんだ?」


その時、異変が起こった。

奴の体から黒い煙が上がり、肉の部分が腐って解けるかの様に剥がれていく。

そしてみる間の内に、その体が骨だけに代わってしまう。


それと同時に、奴から感じていたどうしようもない程の邪悪な力の気配が消える。


「力を……使い果たしたのか?」


骨だけになった姿と。

そこから感じる、先ほどまでとは比べ物にならない程小さくなった死を思わせるプレッシャー。

どう考えても弱体化している。


「さっきのブレスで力を使い果たしたのか?なら……」


何とかなるかもしれない。

そんな希望が脳裏をよぎる。


「ゴオオオオオォォォォ!!」


骨だけになったドラゴンが雄叫びを上げる。

それと同時にすご勢いで突っ込んで来た。


「く、早い!?」


想像以上の速度だ。

俺はその突進を、咄嗟に横に飛んで躱す。


弱くはなった。

弱くはなったが……


だがそれでも先ほどまで戦っていたデスロードと同等か、へたしたらそれ以上の力だ。


今のボロボロの状態でこいつに勝つのは無理だな……


なら、逃げるだけである。


「ついてこい!」


俺はそのまま空に飛び、足元の奴を挑発する。

精霊達から引きはがし、その上で逃げ切る。

それが俺のプランだ。


「なんだ……うおっ!?」


ボーンドラゴンが口を開く。

するとそこから、黒い閃光が発射された。


「飛び道具も使えんのかよ!!」


「ガアアアアァァァァァ!!」


ドラゴンが雄叫びを上げ、そして骨だけの翼を羽ばたかせた。

すると奴の体が空高く浮かび上がる。


骨だけの翼で何で飛べるんだよ!


そんな野暮な突込みはしない。

ここは魔法があって、精霊なんかがいる世界である。

羽なんてなくても飛べるのが常識だ。


「フェンリル!鬼ごっこだ!奴から逃げ切るぞ!」


「ぷぎゃぎゃ!(わかった!)」


逃げる俺達。

そしてそれを折って来るボーンドラゴン。

さっきの閃光の様なブレスも飛んでくるが、あると分かっている遠距離攻撃ならどうとでもなる。

力を感知し、回避するだけだ。


「速度はこっちの方が上だ。このまま遠くまで引き連れて行ってから、奴を巻く……なにっ!?」


背後を追いかけた邪悪な力が急に遠ざかった。

慌てて振り返ると奴は――


「まさか……ジャガリック達を狙いに行ったのか!?」


反転し、ジャガリック達の方へ向かっていた。


俺達に追いつけないと判断して、標的を変えやがった!

くそが!!


「行かせるかよ!」


俺も反転し、奴の後を追う。


「くっ、この速度じゃ追いつけねぇ!最大速度だ!!」


温存した最大速度で奴に突っ込む。

そしてそのまま追いついた所で、奴を地面に向かって蹴り飛ばした。


「くそ……全然効いてる気がしねぇ」


奴は体は地面に叩きつけらる直前、空中で一瞬静止してからそのまま着地する。

その様子を見る限り、全くダメージを受けていない様に見えた。


全力で突進して、しかも背後から攻撃したのにほぼノーダメージ。

スピードでは此方に分があるが、耐久力は圧倒的に相手が上と考えるべきだろう。


「ジャガリック!ポッポゥ!タニヤン!時間を稼ぐからお前たちは逃げろ!!」


戦って倒すのは無理筋なので、とにかく時間を稼ぐ。

その間に精霊達には逃げて貰い。

その後俺も逃走を――


「なんだ!?」


ボーンドラゴンの骨の一部がハズレ、それが組み合わさって人型になる。

デスナイトだ。

それも3体。


そして産み落とされたデスナイト達は――


「ふ……ふざけんな!!」


――俺を無視してジャガリック達の方に向かって駆け出した。


奴らの狙いはジャガリック達だ。

その行動に、俺は怒りの雄叫びを上げる。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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