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第14話 魔力アップ

「ふむ……永続クエストが増えたな……」


屋敷に戻った俺は、井戸の水で水浴びをして身なりを整えてからベッドに寝転びクエストの確認をする。

なんか増えた様な気がしたから。


アラームとかはないが、クエストの増加や達成はどうも感覚で分かる仕様っぽい。


増えたのは精霊に関する物だ。

一つは『カッパーをCランクにせよ!』である。


合意したにもかかわらず、D-になった際の痛みで怒ってドロップキックまでかまして来たのだ。

ここから更にCにするとか絶対オッケーする筈もない。


だからと言って、黙って勝手にランクを上げる訳にもいかなかった。

下手したら怒り狂ったあいつにぶち殺される可能性すらあるからだ。


ここは平和な日本じゃないし、あいつは人間でもないからな。

大丈夫だろうとか軽い気持ちで試すには、余りにもリスクが高すぎる。


なのでまあ、これはやるかどうか今の所は保留だ。


もう一つは『水魔法を習得せよ』である。


村人の信頼を得るや、カッパーを更にランクアップさせろからも分る通り、永続系のクエストは何らかのトリガーがあって発生する。

なので水魔法を覚えろが出たのは、カッパーが俺の目の前で使ったためだと思う。


「達成で5,000ポイントか……」


報酬は若干低めだが、これなら比較的簡単に達成可能だ。

低ランクの魔法ぐらいなら、才能――魔力さえあれば誰でも使えるって聞くからな。


因みに俺は魔力がからっきしだ。

何せF-だからな。

だから魔法は全く使えない。


魔力さえあれば簡単に覚えられるってのは、才能がないと習得が困難の裏返しだからな。

魔力がゴミだった俺は、当然魔法など習ってこなかった。


――が、俺にはランクアップがある。


「まあ多少の痛みなら我慢できるし……」


痛いのは勿論いやなんだが、E位まで上げる程度ならそこまでの痛みではない。

なので我慢して魔力をランクアップさせる事にする。


そして魔法を習得して5,000ポイントゲットだ。


「よし。魔力をランクアップだ」


俺はF-を、二段階上げてF+へと上げた。

因みに、一気にEまでしないかったのは日和っためである。


「う……おえぇぇぇぇぇ……」


痛みはなかった。

だが代わりに滅茶苦茶気持ち悪い。

まるで内臓をかき回されるかの様な感覚に、俺はえづいて胃の中の物をベッド脇に吐き出す。


「ほ……おぉぉ……うぉぉぉ……」


やっば、きっつ。

肉体の痛みとはまた違った辛さに腹を押さえて悶える。


「はぁ……はぁ……やっと収まった」


なんかもうF+でいいかなって気がしてきた。


いやまあ、流石に此処で止めるのは微妙だから頑張ってEまで上げるけどもさ。

ある程度魔力がないと、魔法の習得に手間取る事になるだろうし。


「はぁ……やりたくねぇな。でもこのままだとあれだし、ポイントはストックしておかないと……しゃあねぇ」


覚悟を決めてF+から二段階引き上げる。

そして襲って来る、先ほどを超える不快感。


「おぼぉぉぉっぉ……」


再びもんどりうちつつも耐える。

ランクアップの仕様はマジでどうにかして欲しい。


「はぁ……ふぅ……終わった……」


せっかく水浴びしたってのに、全身汗びっしょりになってしまった。

また水をあびせんと。


「さて、魔法を習いに行くか」


少し放心して体調を戻し、俺はベッドから起き上がる。

魔法を習う為に。


誰に?

カッパーに、だ。


俺の引っ越し荷物に魔法を学べるような書物はない。

なので、魔法を使える彼女に教えてもらう。


屋敷をでると、庭にはデカい穴が開いていた。

そこは水で満たされ、中を覗き込むとカッパーが大の字で沈んでいるのが見える。


この池?は、カッパーが許可も取らずに勝手に作った物だ。


非常識極まりない行動だが、まあ精霊だしな。

言っても仕方がない。

特に弊害もないので黙認している。


「おーい、カッパー」


池に手を入れて水面でバシャバシャさせると、そこに沈んでいたカッパーが浮いて来る。


「どうかしました?フォカパッチョ」


この際フォカパッチョは聞かなかった事にする。

他者を利用する為には、時には我慢する事も必要だと俺は知っているから。


「水の魔法を教えてもらいたいんだ」


「水の魔法を習いたいんですか?ああ……大精霊になった私に憧れちゃったんですね。分かります。その気持ちはよーく分かりますよ」


都合の良い解釈である。

が、満更でもなさそうなのでそれに乗っかっておく。

おだてるだけでスムーズに話が進むなら安い物である。


「ああ、凄かったからな。だから俺も水魔法を使いたくなってさ。教えてくれないか?魔法の使い方」


「いいでしょう!この私に任せて貰えれば、水船に乗った様な物です!ドーンとお任せください!」


チョロくて助かる。


しかし水船ってなんだ?

沈む沈まない以前に、乗っても窒息しそうなんだが?


まあそういう余計な突っ込みはしないけども。


「ありがとう。よろしく頼むよ」


俺はカッパーの指導の下、水魔法の習得に乗り出した。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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