赤い悪魔の恐怖
赤い悪魔はバタバタと羽を動かし、空中で静止している。そして、バルコニーの上にいるガクヤ達五人をじっと見ている。
すると、赤い悪魔の身体が光に包み込まれ、身体から何本もの槍のような光が放たれる。複数の光の槍はガクヤ達を襲う。
ガクヤ達はそれを間一髪で交わす。屋敷の窓ガラスや壁が破壊されるガシャーンという音が辺りに響く。
続けざまに、赤い悪魔は炎の玉のような物をガクヤ達にドンドン放つ。炎の玉は見るも無残に屋敷を粉々にしていき、三階は煙と粉塵により何も見えなくなっている。
何ていう攻撃だ。あんな魔法の連発を立て続けに受けたら、さすがに無事じゃ済まない。
僕は食い入るようにガクヤ達の様子を見ている。しかし、屋敷上部は煙まみれで、彼等がどうなったか分からない。
悪魔と僕達四人はしばらく静止して、ガクヤ達の様子をうかがっている。
風が吹き、煙と粉塵がだんだん薄れて行く。視界が少しずつ良くなっていき、三階のフロアが見えて来る。
そして、三階の様子が鮮明になる。パラディンのマコトがバリアのような物を展開させている。ガクヤ達五人は全員無事みたいだ。マコトがバリアで全員を守ったように見える。
しかし、屋敷の三階の屋根は悪魔に吹き飛ばされ、三階は壁も窓もない無防備な状態になっている。
腕で顔を覆っていたガクヤがスッと腕を下ろす。そして、赤い悪魔をキッと睨み、口を開く。
「マコト、すまない。助かった」
「いいってことよ。屋根と壁が吹っ飛んで戦いやすくなったな。あの赤い羽根野郎を全員でぶっ飛ばすぞ」
マコトはそう返すと、バスタードソードを両手に持ち、構え直す。フトオとジャイ、その他の男達も武器を手に取り、臨戦態勢に入る。
ガクヤ達は強い。でも、あの赤い悪魔もかなり強そうだぞ。一体、どうなるんだ?
彼等の戦いに、僕は目が離せなくなっている。
ガクヤが右手を伸ばし、叫ぶ。得意の召喚魔法のようだ。
「出でよ、シルフィード! あの赤い悪魔を切り刻んでやれ!」
その声と同時に、緑色の髪の長い女の子が現れる。上級召喚獣、"風の精霊シルフィード"だ。過去の戦いの経験からあの召喚獣の恐ろしさを僕は思い出す。
シルフィードは手を前に出し、透明な刃を無数に放って来る。刃は簡単に赤い悪魔の身体を切り飛ばして行く。赤い悪魔は五体がバラバラになり、その肉片は地面へとバタバタと落ちる。
「やったぜ、ガクヤ。悪魔って言うから少しビビったけど、大した事なかったな」
笑顔のマコトがガクヤの肩をポンと叩いている。ガクヤもニコリとマコトに笑顔を返している。ガクヤチームの男達はみな勝利を確信し、奇声を上げている。
バラバラになった悪魔を僕は注意深く観察する。肉片がプルプルと振動している。そして、生き物のように動き出し、一つに集まって固まり始める。固まった赤い物体はウネウネと動き出し、再び悪魔の形を形成する。
ガクヤ達もそれを見て、驚きの表情を隠せないでいる。赤い悪魔は飛び上がり、バルコニーの前の上空でガクヤ達を見ている。
「あの悪魔、かなりの再生能力だね。バラバラになったのに、すぐに復活したのだよ。もしかすると、不死身かもしれないね」
サチがアゴに手を当て、分析している。僕は一瞬、サチの顔を見た後、再び、あの飛んでいる赤い悪魔をじっと見て考える。
不死身? 死なない倒せない魔物なのか? 身体をバラバラにしても、すぐに再生してたし。つまり、それって戦ってはダメという事? ヤバ過ぎる。
ガクヤが召喚獣シルフィードを呼び出す。シルフィードは再び透明な刃を出し、赤い悪魔を攻撃する。しかし、赤い悪魔は無数の刃をヒラリと交わし、ガクヤ達の元へと突進して来る。
ドンという衝撃音が辺りを包み、フトオとジャイの身体を吹っ飛ばす。二人はうわあという叫び声を上げながら、真っ逆さまにゾンビの大群の待つ大地へと落ちて行く。二人はゾンビ達の集団の中に沈んで、見えなくなっていった。
は、早いぞ。あの悪魔。シルフィードの攻撃を一度食らって、攻撃のスピードを覚えたのか? 適応能力がハンパない。
僕は愕然としながら、ガクヤチームの残った三人を見る。残っているのは、ガクヤとマコトと魔導士風の男だけだ。
ガクヤは必死でシルフィードに命じ、赤い悪魔を激しく攻撃している。しかし、赤い悪魔は見切ったかのように全ての攻撃を交わしている。
再び、赤い悪魔の身体から槍のような光が放たれる。パラディンのマコトが大きな盾のようなバリアを張り巡らす。しかし、槍はバリアを貫通し、ガクヤ達三人の胸を貫く。三人は大量の血を流し、その場に倒れ込む。
ガクヤ達が負けた……。あの強かった召喚士ガクヤのチームが……。
倒れた三人の状態を見て、彼等は絶命したと感じ取る。恐怖と驚きで身体が動かない。僕は赤い悪魔を呆然と見ている。
次の瞬間、ガクヤ達に視線を向けていた赤い悪魔がピクリと顔を上げる。何かを感じ取ったような感じだ。それから、悪魔はゆっくりと僕の方へと視線を向ける。
僕は直感する。あの反応、僕達は赤い悪魔に見つかり、標的にされたのだと。
「サチ、あの悪魔に見つかった。離れて、隠れていたのに何でだろ? とにかく、みんな逃げるんだ! 急げ!」
僕達四人は屋敷と逆方向へと走り出す。サチは走りながら、何かを考え込んでいる。ミスギと相棒の忍者の子は必死で走っている。
僕は走りながら、チラリと後ろを振り向く。赤い悪魔は恐ろしい顔をしながら、僕達の方へと向かって来た。
小説を読む方は、頭が良く、優秀な方が多いと聞きます。
これからも、そんな皆さんに喜んで頂けるような面白い小説を書いていきますので、もしよろしければ応援して頂けると大変嬉しいです。
読んで頂き、ありがとうございました。
また、次話でお会いしましょう。




