サイコパスの新パートナー
「……バスガイド」
しばらくの間、静寂の時間が訪れる。僕は敗北を悟り、目を閉じうつむく。
「……正解です」
ナゾナゾオッサンはそう呟くと、失望の顔をし、その場にひざまづく。その瞬間、サチの麻痺状態が解放され、彼女が動き出す。
「やったね、ユウト。助かったよ」
サチは笑顔で僕の肩を叩く。
「サチ、契約だ。ナゾナゾオッサンと早く契約しないと」
落ち込んでいるナゾナゾオッサンを僕はチラリと見ながら、サチに促す。
「コイツとは契約しない。したくない。コイツ、要らない」
サチが怒った顔で、ナゾナゾオッサンを睨んでいる。そして、顔をプイとオッサンから背ける。
「いやいや、そう言わずに。命懸けで服従させたんだから。何かあった時のためにも、ね? 頼むよ、サチ」
僕は必死でサチを説得する。サチはしぶしぶナゾナゾオッサンとの契約の儀式を行う。オッサンは泣いていたが、契約は無事成立し、サチは新たな召喚獣を従える事となった。
そして、ナゾナゾオッサンは肩を落としながら、魔界へと帰って行った。
「このオッサンは二度と呼び出さない。私の中で封印する」
サチの怒りは収まってないようだ。僕は何度も彼女をなだめ、ご機嫌を取ることにした。
こうして、サチは第五の召喚獣と契約をし、僕達は明日からの新たなる戦いの場を迎える事となった。
* * * *
次のチェックポイント、サードの町へと向かう旅の出発の日となる。僕とサチはまた三番手スタートだ。セカンドの町の門を出て、再び町の外へと旅立つ。
僕達は悪党チームリーダー、ツボネが指定した待ち合わせ場所へと向かう。
もうすでに、アカヅキのコンビとクロスギのコンビは待ち合わせ場所に着いていた。なぜなら、奴等は僕達よりランキング上位だったので、先にスタートしていたからだ。
アカヅキは、綺麗な魔法使い風の女の子をパートナーにしている。一方、クロスギは全身黒ずくめの鎧で固められた戦士を引き連れている。
そうか。クロスギは人狼戦で、相方のゴウケツを殺してしまったから、新しい相方になったんだな。
そんな風にクロスギコンビを分析していると、クロスギコンビが僕とサチの方に歩み寄って来る。クロスギは相変わらず作り笑顔のような表情だ。そして、奴はゆっくりと僕達に話し掛けて来る。
「これはこれは、サチさんとそのオマケさんじゃないですか? あなた達とはよく会いますね。ここに居るって事は、もしかして私達と同じチームに入るつもりなんですか?」
「あぁ、そうだよ」
サチが代表して応える。僕はクロスギが嫌いなので、視線は絶対に合わせない。
「そうなんですね。意外です。あなた達は私達のような人間を嫌っていると思ってましたから、向こうのチームに入ると思ってましたよ」
「私達は合理的なのだよ。負けるチームには入らない」
「なるほど。やはり、サチさんは頭が良い方ですね。隣のおバカさんと違って」
いちいち僕を怒らせるような事を言って来るクロスギをキッと睨む。クロスギはそんな僕の視線を受け流すように涼しい顔をし、話を続ける。
「あ、そうそう私の新しいパートナーです。彼女の名前は、オスクリタ。こっち側の人間で魔剣士です」
クロスギが後ろにいる黒ずくめの鎧の騎士をチラリと見る。顔を包みこんでいる鉄仮面のようなマスクをしてる為、どんな人物なのか正直、分からない。
「こっちの世界で十字男に殺された女の子の代わりに入った子か? ファンタジー世界側の」
サチは腕組みをして、全身黒の鎧の騎士を確認している。
あ、思い出した。十字男に殺されて40名じゃなくなったから、一人こちら側の人間を補充すると、黒ローブのスタッフ言っていた。あの補充された子か? え、女の子なの?
もう一度、黒の鎧の騎士を見てみる。重厚な鎧で顔を含め全身覆われている為、性別はよく分からない。しかし、確かに身長は僕よりも低い。
などと考えていると、黒の騎士がクロスギの側に寄って来て、耳打ちを始める。
「マスター、この者達を始末してもよろしいのですか?」
鎧の騎士は確かに女の子の声であった。仮面を被っている為か響いたような声に聞こえる。
「ダメですよ。オスクリタさん。この人達は一応、これから私達と同じチームになるみたいですからね。殺しちゃったら、ツボネさんに怒られてしまいますから、まだダメですよ。まだね」
と言って、チラリとクロスギは僕達を見る。相変わらず、人を見下したような目だ。
僕はそんな挑発を無視して、サチを連れてクロスギ達から離れる。そして、ツボネや他の悪党どもが来るのを待つ事にした。
しばらくすると、悪党チームのリーダー、ツボネが待ち合わせ場所へとやって来る。ツボネは四番手スタートだった。ツボネは僕達の事を見ると、真っ先に僕とサチの所へとやって来る。
他の人間とは違う異質なオーラのような物を放っている。ツボネはで僕の前で立ち止まり、笑顔で話し掛けて来る。
「昨日はゴメンなさいね、ユウトさん。失礼な態度を取ってしまって。気を悪くされたんじゃなくって?」
ツボネは僕の腕を取り、上目使いで視線を送って来る。
な、何だ? この態度の変わりようは? 昨日と違い過ぎるぞ。何があったんだ?
ツボネの態度の変化に僕は恐怖を感じる。何か企んでいるのか、そんな考えが僕の脳裏をよぎる。
「いえ、気にしてないですよ」
「そう? なら、良かった。あなた達と仲間になれてホント良かったわ。これからもよろしくお願いしますね」
ツボネは僕に軽くお辞儀をすると、アカヅキやクロスギの方へ向かって歩いて行った。
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